マスターカードのメールが『パソコンお助け隊』から?!
いつもご覧いただきありがとうございます!
最近、マスターカードに成りすますフィッシング詐欺メールが急に増えた気がしますが
皆さんはいかがでしょう?
大概が、年会費が正常に支払われていないことをネタにしたものが多く見られるのですが
今回のように不正利用をネタにしたものも多くあります。
余りに謎過ぎて色々と落書きしてしまいましたが、今回ご紹介するメールはこちらです。
落書きした通りですが、まず差出人に記載のあるメールアドレスのドメインがなぜかマスターカードではなく
『パソコンお助け隊』のもの。
これでこのメールは間違いなくマスターカードからのものではないことが明らかです。
まあ、『パソコンお助け隊』がマスターカードを騙るはずも無いので、このメールアドレスだって
本物かどうか…。
次に気になるのは、このメールが開封確認を求めていること。
どうしてフィッシング詐欺メールがこのように開封確認を求めているのでしょう?
もしかして届いたかどうか知りたいんでしょうか?
そしてその開封通知の送付先が”amz@fwu229.com”。
一般的に考えれば開封通知の送信先は、差出人のメールアドレスの『パソコンお助け隊』になるはずです。
更にこのメールにはなぜか発行者欄が2箇所もあって、もうさっぱり意味が分からないメールですよね。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『[spam] MasterCardカード:不正使用疑惑のセキュリティチェック』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『MasterCard <tws@otasuketai.ne.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
このメールアドレスは『パソコンお助け隊』さんの物ですが、これも眉唾。
次の項でその辺りを詳しく見ていくことにしましょう。
やっぱりウソの上塗り
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail1.fwu229.com (hwsrv-1185169.hostwindsdns.com [104.168.175.47])』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
やる必要も無いような気がしますが、メールアドレスにあった『パソコンお助け隊』さんの
ドメイン”otasuketai.ne.jp”が本当に差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。
先程も見ていただきましたが、これがドメイン”otasuketai.ne.jp”の登録情報です。
これによると”219.118.216.30”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”104.168.175.47”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”otasuketai.ne.jp”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”104.168.175.47”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、アメリカのシアトル付近。
そして送信に利用されたプロバイダーもシアトルを拠点とする『Hostwinds LLC.』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して私に届けられたようです。
ここのホスト名欄に”hwsrv-1185169.hostwindsdns.com”とあるので、このIPアドレスには
このドメインが割当てられていることが分かります。
このドメインもついでに調べておきますか!
このドメインはアメリカのワシントンの方が申請したようです。
詐欺サイトはアムステルダムで運営
では引き続き本文。
【Mastercard】利用いただき、ありがとうございます。このたび、ご本人様のご利 用かどうかを確 認させていただきたいお取 引がありましたので、誠に勝手ながら、カードのご利 用を一部制 限させていただき、ご連 絡させていただきました。
つきましては、以下ヘアクセスの上、カードのご利 用確 認にご協力をお願い致します。お客様にはご 迷 惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。ご回答をいただけない場合、カードのご利 用制 限が継続されることもございますので、予めご了承下さい。
▼ご利用確認はこちら
ご不便とご心配をおかけしまして誠に申し訳ございませんが、何とぞご理 解 賜りたくお願い申しあげます。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『▼ご利用確認はこちら』って書かれたところに付けられていて、
そのリンク先をウェブサイトの危険性をチェックしてくれる『gred(グレッド)』で確認してみると
このような結果が出ました。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
このURLで使われているドメインは”83149ib.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
あんまり詳しい情報は得られませんでしたね・・・
このドメインを割当てているIPアドレスは”174.138.11.113”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、オランダにある『アムステルダム大学』付近。
利用されているホスティングサービスは、アメリカに拠点を置く『DigitalOcean, LLC』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
マスターカードの詐欺メールは、ログインをさせることなくいつも直接カード情報を問合せてきますね。
そんなの絶対にあり得ませんよね!
まとめ
マスターカードから直接利用者宛にメールを送ることは絶対にありません。
もしあるとしてもその加盟店からですから騙されないようにご注意ください!
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |