件名を変えて何度も何度も送られてくる 「えきねっと」の自動退会処理を騙るフィッシング詐欺メールはまだまだ衰えることを知らず
今朝も複数のものが「JR東日本」や「JR東日本ネットステーション(JRNet)」の名を借りて
送られてきています。
質が悪いのは、件名をアレンジして何度も何度も送られてくることです。 今回ご紹介するのは「JR東日本ネットステーション」を騙るもの。
「JR東日本ネットステーション」、インターネットサービスのポータルサイト「えきねっと」を
運営するWebサービスです。 そのようなところから「JR東海」の藩中である中部地方に住む私に何の用なのでしょうか？
もう何度も何度も見てきた例の自動退会処理に関するテンプレートが使われたメールです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう！
まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は
「[spam] 本人情報自動退会処理について【JR東日本ネットステーション】」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は
「”JR東日本ネットステーション” <info@jreast.co.jp>」
皆さんはご存じでしょうか？
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。 上手く化けたつもりしょうか？…
”jreast.co.jp”は確かに「JR東日本」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
あっさりと”jreast.co.jp”を捨て では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか！
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 | Return-Path: 「www@karsonzjcybartow13.example.com」 ありゃ…もう”jreast.co.jp”は捨てたのでしょぅか？
差出人とは全く異なるドメインのメールアドレスになっていますね。
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | | Message-ID:「20221101095436.EC28C190777B@karsonzjcybartow13.example.com」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | | Received:「from karsonzjcybartow13.example.com (unknown [31.13.213.69])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | 差出人のメールアドレスのドメインと”Return-Path”に記載のあるドメインが異なるので
この差出人は、メールアドレスを偽装しています。
これは「特定電子メール法違反」となり処罰の対象です。 ※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する 一転し「フィールド御三家」では、あくまで自分のドメインは”example.com”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか！ 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。 では、ドメイン”example.com”について調べてみます。
”93.184.216.34”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”31.13.213.69”ですから全く異なります。
これで「フィールド御三家」までも偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね！ 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”31.13.213.69”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、ニューヨークのマンハッタン付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
見飽きているので本文の解説は省略 もうこの本文は見飽きてしまったので、直接詐欺サイトへのリンクの調査を。
URLがこちらです。
 このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「違法または禁止されたコンテンツ」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、”wxeite.cn”とまたしても中国の国別ドメイン。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者は、私には読めない文字を含む漢字2文字の氏名の方。
その申請は、中国成都にあるプロバイダが担っているようです。 このドメインを割当てているIPアドレスは”78.153.145.16”
このIPアドレスを元にその危険性と割り当て地を確認してみます。
 このIPアドレスの脅威レベルは「高」とされています。
そしてその詳細はWebによるサイバーアタックとされています。 ピンが立てられのは、ロシアのモスクワにあるロシア国立歴史博物館付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 もう何度となくご紹介してきたのでうんざりと言う方もいらっしゃるかもしれませんね。
開いたのは例によって「えきねっと」へのログイン画面。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください！
 もし間違ってログインしてしまった場合は、直ちにえきねっとサポートセンターまで連絡してください。
まとめ 余りにも「えきねっと」を騙る詐欺メールが多くて紹介するのも面倒なのですが、件名を変えてくるので
質が悪いです。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; | 