【続報】総務省統計局かたる「労働力調査2026」詐欺が第三波で74通に急増——4月・6月に続く波状キャンペーン、誘導サーバーはいずれもTencent Cloud

今日も猛暑が続いていますが、皆さまお変わりございませんか。今回はこの夏、何度もご紹介してきた「総務省統計局」なりすまし詐欺の最新動向についてお伝えします。
ご覧の通り、このメールは総務省統計局を装った真っ赤な偽物です。3日間で74通という異常な物量が確認されているため、ご家族にもこの記事を転送して注意喚起してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。
総務省統計局 労働力調査事務局 お客様各位 平素より政府統計調査へのご協力を賜り、誠にありがとうございます。 ■ 労働力調査への回答が未確認です 現在、お客様の労働力調査へのご回答がまだ確認できておりません。 労働力調査は、日本の雇用・失業状況を把握するための重要な基幹統計調査であり、 回答は統計法に基づく義務となっております。 ■ 回答期限 2026年7月31日(金) 23:59まで ■ オンライン回答の流れ ステップ1 以下のURLにアクセスし、回答ページへ進む ステップ2 画面の案内に従い、必要事項を入力 ステップ3 内容を確認のうえ、送信を完了 ▼ 労働力調査 回答ページ https://www.soumu.go.jp/online/ ←(表示上の文字列。実際のリンク先は別ドメイン) ※スマートフォン・パソコンから、いつでも回答できます ※ご協力いただける方を対象に、先着3000名様にセブン-イレブンで使える 500円分のデジタルクーポンをプレゼントいたします。 ■ 本メールについて 本メールは送信専用です。ご返信いただいても対応できません。 総務省統計局 G1NZZRNW36
実際に届いたメールの画面(件名の通知番号No.555119434-2166571211)
■ 送信ルート及び偽装判定
送信元IP(Received-SPF: client-ip):
40.121.5.115(SPF認証:Pass、HELO: omkrwz.com)
【偽装判定】:
このIPアドレスはMicrosoft社のクラウド基盤(Azure)に割り当てられています。総務省の公式サーバーとは一切関係がなく、正規のクラウドサービスを踏み台に利用した送信です。なお、メール本文には総務省の正規ドメイン「soumu.go.jp」名義のDKIM署名情報が付いていますが、これは送信者側が独自に用意できる情報であり、公式ドメインからの送信を保証するものではありません。実際の送信元を特定するには、SPF認証で確定するIPアドレスを見る必要があります。
発信元ロケーション:
アメリカ・バージニア州(Microsoft Azureのデータセンター所在地)
詳細:【ip-sc.netで確認する】
■ フィッシングサイト詳細解析
今回もリンクの表示文字列と実際の遷移先が異なる偽装が使われていました。本文中ではhttps://www.soumu.go.jp/online/と表示されていますが、実際にクリックすると全く別のドメインへ遷移する仕組みです。
■ 第一段階:疑似セキュリティ確認画面
誘導先URL(伏せ字):hxxps://cdyuedong[.]com/page/zrnjpkmljf
■ 誘導先サーバー情報
リンク先IP:43.167.208.189
組織:Tencent Cloud Computing (Beijing) Co., Ltd.(AS132203 / TENCENT-NET-AP-CN)
詳細:【ip-sc.netで確認する】
ip-sc.net上の住所表示は「東京都渋谷区」となっていますが、AS名が「TENCENT-NET-AP-CN」であることから中国系クラウド事業者の割り当てであり、実際の運用実体の所在地についてはこの情報だけでは断定できません。Tencent Cloudは世界中の一般企業も利用する大規模クラウドサービスであり、このIPアドレス自体が「危険」というわけではなく、攻撃者が一時的に間借りしている状態にすぎません。
アクセスすると、盾のアイコンを選ばせる疑似的な「セキュリティ確認(CAPTCHA)」画面が表示されます。これは実際のセキュリティチェックではなく、自動検知ツールを回避するための時間稼ぎと、人間による操作であることを確認するための仕掛けです。
セキュリティ確認を装った疑似CAPTCHA画面
■ 最終着地先
誘導先URL(伏せ字):hxxps://zitingzhenpin[.]top/jp
■ 最終着地先サーバー情報
リンク先IP:43.153.155.161
組織:Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited(AS132203 / TENCENT-NET-AP-CN)
詳細:【ip-sc.netで確認する】
こちらも第一段階と同じくTencent Cloudの割り当てで、ip-sc.net上の住所表示は「東京都渋谷区」ですが、AS名からは中国系クラウド事業者であることが分かります。第一段階・最終着地の両方が同じTencent Cloud基盤上で稼働しており、攻撃グループが一連のインフラをまとめて調達している可能性がうかがえます。
今回はウイルスバスターとChromeのセーフブラウジングの両方が、この最終着地先を「危険」「フィッシング」として警告・ブロックしていました。
ウイルスバスターが「フィッシング」として警告
Chromeのセーフブラウジングでも「危険なサイト」としてブロック
警告を突破すると、今回は最初から一貫して「労働力調査」をテーマにした偽の回答フォームが表示されました。以前の記事(国勢調査2026詐欺がリバイバル)で見られたような「国勢調査」から「労働力調査」へのテンプレート取り違えはなく、偽装の一貫性が増している点も注意が必要です。
警告を突破した先に表示された、偽の「労働力調査 かんたんガイド」ページ
■ 4月・6月に続く、第三波の全体像
「総務省統計局」を騙るこの詐欺キャンペーンは、今回が初めてではありません。当ラボでは2026年4月の第一波から継続して観測しています。
- 第一波(2026年4月):Google Cloudを送信元、Cloudflareを誘導先に使用。詳細解析はこちら → 【重要】国勢調査2026 回答期限のご案内(法令に基づく最終通知)を徹底解析
- 第二波(2026年6月):イタリアの回線業者から送信され、スマートフォン限定でクローキング(端末による表示の出し分け)を実装した個体を確認 → 国勢調査2026「罰則適用前最終通知」詐欺が一新。7日間で27件を集計した記事もあります → 国勢調査2026詐欺、7日間で27件確認!
- 第三波・前半(2026年7月28日ごろ):新ドメインで再送、最終着地が「労働力調査」の偽サイトになる珍事を確認 → 【続報】国勢調査2026詐欺がリバイバル。同日中にリンク表示偽装の手口も確認 → 総務省統計局を騙る「労働力調査2026」詐欺——リンク表示と実際の行き先が異なる偽装手口
- 第三波・今回(2026年7月28日〜31日):わずか3日間で74通に急増。送信元・誘導先ドメインは前述の記事とすべて別物に入れ替わっており、詐欺グループがインフラを次々に使い捨てながら大量送信を継続していることが分かります。
1通だけを見て「もう収まっただろう」と判断せず、同様の件名・差出人のメールには継続してご注意ください。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 統計調査をメールで催促されたら:総務省統計局を含む公的機関が、個別にメールで回答を催促することはありません。
- リンクは押す前に確認:パソコンではマウスを乗せて、スマートフォンでは長押しして、実際の遷移先URLを確認してください。表示と実際の行き先が違えば詐欺です。
- 「セキュリティ確認」画面が出ても油断しない:本物らしく見えるCAPTCHA画面も、詐欺サイトの一部として作られている場合があります。
- 同じ件名が繰り返し届いても慌てない:通知番号だけを変えた大量送信は、詐欺グループの常套手段です。1通ごとに削除して問題ありません。
- 不安なときは:総務省統計局の公式サイト(検索エンジンやブックマークから直接アクセス)で、実際に調査対象になっているか確認してください。
本レポートの結論
総務省統計局を騙る「労働力調査2026」詐欺は、4月・6月・7月末と波状的にキャンペーンを繰り返しており、直近の3日間だけで74通という過去最大級の物量が確認されました。送信元・誘導先は次々に使い捨てられていますが、いずれもクラウド基盤を踏み台にしている点は共通しています。身近な方が慌てて手続きしてしまう前に、この記事のURLをコピーして、ご家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Forest
















