総務省統計局を騙る「労働力調査2026」詐欺——リンク表示と実際の行き先が異なる偽装手口、同日中に複数通の波状攻撃を確認

今日は少し変わった手口の詐欺メールをご紹介します。件名や差出人だけでなく、メール本文中のリンクの「見た目」と「実際の行き先」が違うという、少し注意深く見ないと気づけない偽装が使われていました。しかも同じ日のうちに、文面や差出人名を変えながら複数通届いていることも確認できましたので、あわせてお伝えします。
ご覧の通り、このメールは総務省統計局を装った真っ赤な偽物です。同じ日のうちに複数のパターンが確認されているため、ご家族にもこの記事を転送して注意喚起してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。
総務省統計局 労働力調査事務局 お客様各位 平素より政府統計調査へのご協力を賜り、誠にありがとうございます。 ■ 労働力調査への回答が未確認です 現在、お客様の労働力調査へのご回答がまだ確認できておりません。 労働力調査は、日本の雇用・失業状況を把握するための重要な基幹統計調査であり、 回答は統計法に基づく義務となっております。 ■ 回答期限 2026年7月31日(金) 23:59まで ■ オンライン回答の流れ ステップ1 以下のURLにアクセスし、回答ページへ進む ステップ2 画面の案内に従い、必要事項を入力 ステップ3 内容を確認のうえ、送信を完了 ▼ 労働力調査 回答ページ https://www.soumu.go.jp/online/ ←(表示上の文字列。実際のリンク先は別ドメイン) ※スマートフォン・パソコンから、いつでも回答できます ※ご協力いただける方を対象に、先着3000名様にセブン-イレブンで使える 500円分のデジタルクーポンをプレゼントいたします。 ■ 本メールについて 本メールは送信専用です。ご返信いただいても対応できません。 総務省統計局 ZQM9SUF

実際に届いたメールの画面
💡 ここで!豆知識:リンクの「見た目」は簡単に偽装できます
■ 用語解説
リンクの表示偽装:ホームページやメールのリンクは、画面に表示される文字列(例:https://www.soumu.go.jp/online/)と、実際にクリックしたときに移動するURL(href)を別々に設定できます。今回のメールはこの仕組みを悪用し、本物の総務省サイトのURLを表示しながら、実際には全く別の詐欺サイトへ移動する作りになっていました。
発見方法:パソコンではリンクの上にマウスを乗せる(クリックしない)と、画面の隅に実際の遷移先URLが表示されます。スマートフォンではリンクを長押しすると、実際のURLをコピーやプレビューできます。表示文字列と実際のURLが違っていれば、詐欺サイトへの誘導と判断できます。
DKIM署名について:今回のメールにはご丁寧に総務省の正規ドメイン名を含む署名情報が付いていましたが、これは送信者が独自に用意できる情報であり、公式のドメインからの送信を保証するものではありません。実際の送信元を特定するには、SPF認証で確定するIPアドレスを見る必要があります。
■ 送信ルート及び偽装判定
送信元メールアドレス:偽装表示は「労働力調査事務局」を名乗る総務省風のアドレスでしたが、SPF認証で確定した実際の送信元は以下の通りです。
送信元IP(Received-SPF: client-ip):
20.119.40.13(SPF認証:Pass)
【偽装判定】:
このIPアドレスはMicrosoft社のクラウド基盤(Azure)に割り当てられています。総務省の公式サーバーとは一切関係がなく、正規のクラウドサービスを踏み台に利用した送信です。
発信元ロケーション:
アメリカ・バージニア州(Microsoft Azureのデータセンター所在地)
詳細:【ip-sc.netで確認する】
■ フィッシングサイト詳細解析
■ 誘導の流れ(PC・スマートフォンとも同一)
第一段階の誘導先URL(伏せ字):hxxps://fjzebovin[.]com/page/dzpywfqjbv
リンク先IP:43.163.207.119 ※ip-sc.net上の位置情報表示は「東京都渋谷区」ですが、AS名が「TENCENT-NET-AP-CN」であることから中国系ネットワークの割り当てである可能性があり、実際の運用実体の所在地については断定できません。
アクセスすると、盾のアイコンを選ばせる疑似的な「セキュリティ確認(CAPTCHA)」画面が表示されます。これは実際のセキュリティチェックではなく、自動検知ツールを回避するための時間稼ぎと、人間による操作であることを確認するための仕掛けです。

セキュリティ確認を装った疑似CAPTCHA画面
■ 最終着地先
誘導先URL(伏せ字):hxxps://mwfgcozfmvf[.]top/jp
リンク先IP:43.155.174.59(韓国・ソウル特別市、Tencent Cloud)
このIPアドレスは、当ラボが直前に解析した別の「国勢調査2026」を騙る詐欺記事で確認したものと同一です。件名や送信元ドメインは変わっても、詐欺グループが使う誘導先のサーバー基盤自体は使い回されていることが分かります。

ウイルスバスターが「フィッシング」として警告

Chromeのセーフブラウジングでも「危険なサイト」としてブロック

警告を突破しても最終的に接続エラーとなり、現時点でページの実体は確認できず
■ 同じ日のうちに複数パターンが確認されています
今回ご紹介したメールと同じ日のうちに、全く同じ文面のメールがもう1通、さらに差出人名を「国勢調査オンライン」に変更したメールが1通、あわせて計3通が届いていることを確認しています。詐欺グループが短時間のうちに文面や名乗りを変えながら送りつける「波状攻撃」の典型的なパターンです。1通だけを見て「うちには関係ない」と判断せず、同様の件名・差出人のメールには継続してご注意ください。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 統計調査をメールで催促されたら:総務省統計局を含む公的機関が、個別にメールで回答を催促することはありません。
- リンクは押す前に確認:パソコンではマウスを乗せて、スマートフォンでは長押しして、実際の遷移先URLを確認してください。表示と実際の行き先が違えば詐欺です。
- 「セキュリティ確認」画面が出ても油断しない:本物らしく見えるCAPTCHA画面も、詐欺サイトの一部として作られている場合があります。
- 不安なときは:総務省統計局の公式サイト(検索エンジンやブックマークから直接アクセス)で、実際に調査対象になっているか確認してください。
本レポートの結論
総務省統計局の正規URLをリンクの表示文字列として使いつつ、実際には全く別の詐欺サイトへ誘導する巧妙な手口でした。同じ日に複数パターンが確認されていることからも、詐欺グループが活発に活動していることがうかがえます。この記事のURLをコピーして、ご家族のLINEグループで『これ気をつけてね』と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy














