【続報】「ありがとうのポイントが届いています」楽天ポイント詐欺が「特別ポイント進呈」で新訴求、同日6通の波状攻撃——韓国経由Mailgun踏み台・偽栃木HELO・Tencent Cloud着地の3か国インフラを解析

9月4日に解析した「楽天ポイントカード偽Android限定15,622ポイント」の記事は覚えていらっしゃるでしょうか。あの偽Google Playストア誘導の手口が、少し間を置いて同じ日の朝に6通もの波状攻撃として再来しました。今回は代表として届いた一通を、送信インフラの奥まで掘り下げて解析します。
ご覧の通り、このメールは楽天カードとは無関係の真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族やご友人のLINEグループで共有してください。
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:ありがとうのポイントが届いています(件名中に見えない特殊文字が混入)
送信者表示:“【Rakuten】”
送信元アドレス:outlook@outlook.acigloballtd.com(楽天とは無関係のドメイン)
経由サービスのIP(Received-SPF解析):20.196.209.22(正規メール配信サービス「Mailgun」/韓国リージョン)
実際の投稿元IP:199.183.150.161(アメリカ/HELO名「mail.e55e7ae.tochigi.jp」は栃木県を装うが実在しない偽ホスト名)
SPF認証:Pass(※Mailgun自身への認証にすぎず、楽天との関連を示すものではありません)
※メールヘッダー詳細(宛先・Message-ID等)は個人情報保護のため非掲載
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
特別ポイント進呈のお知らせ 長期ご利用感謝・特別進呈 15,000ポイント (15,000円分に相当) 条件なし・そのままお受け取りいただけます [Android版アプリでポイントを受け取る>] いつも楽天カードをご利用いただき、誠にありがとうございます。お客様の長期のご利用に感謝申し上げますとともに、ささやかながら特別ポイントを進呈いたします。 進呈ポイント 特別進呈ポイント:15,000pt 金額相当:15,000円分 受取条件:なし(全額無条件) ポイントの付与 お受け取り確認後7営業日以内に順次付与いたします。付与が完了しましたらメールまたはSMSにてお知らせいたします。 受取期限 特別進呈ポイントの受取は2026年9月20日23:59までです。期限を過ぎますと進呈の権利が失効いたしますので、お早めにお受け取りください。

▲ 実際に届いたメールの表示。添付ファイル付きで、楽天カードの公式デザインを精巧に再現している。
■ 件名に仕込まれた「見えない文字」の見つけ方
今回の件名「ありがとうのポイントが届いています」には、目には見えない特殊な文字(ゼロ幅文字)が文字と文字の間に紛れ込まされていました。これは迷惑メールフィルターが特定の文字列をそのまま照合する仕組みを、すり抜けようとする手口です。
スマートフォンの通知一覧やメール一覧で件名を見たとき、文字の間隔が不自然に空いていたり、改行の位置が妙にずれていたりする場合は、こうした見えない文字が仕込まれているサインです。気になる場合は、件名や本文をメモ帳などのテキストエディタに貼り付けたり、メールソフトの「ソースを表示」機能で元のコードを確認したりすると、通常の文字とは違う特殊な文字コード(エスケープシーケンス)が挟まっていることを確認できます。
■ 送信ルート及び偽装判定
Receivedヘッダー解析(サーバー通過証明):
Received: from mail.e55e7ae.tochigi.jp ([199.183.150.161])
(Authenticated sender: mailer624@outlook.acigloballtd.com)
by outlook.acigloballtd.com (Mailgun) with ESMTPSA
【偽装判定】:
攻撃者は正規のメール配信サービス「Mailgun」に自前のアカウントで認証してから一括配信しており、Mailgun自体は正規サービスのため、これ単体ではSPF認証がPassしてしまいます。しかしヘッダーを一段深く辿ると、実際にMailgunへ投稿してきた大元のIPアドレスと、そのとき名乗っていたホスト名が記録として残っていました。
※そのホスト名は「mail.e55e7ae.tochigi.jp」と、いかにも栃木県の何かのメールサーバーを思わせる名前でしたが、実際の投稿元IPはアメリカで、そのホスト名自体も現在は存在しません。地名を借りるだけ借りて、実体は影も形もないという、なかなか大胆な偽装でした。
さらにDKIM署名には、送信経路とは無関係な中国の大手ウェブメールサービス「163.com」宛の署名も同居しており、フィッシングキットの使い回し跡がうかがえます。
■ フィッシングサイト詳細解析
ボタンのリンク先(伏せ字):hxxps://alaled[.]com/blog/j3c4K6lqFw (一部伏字)
着地サーバーIP:43.165.171.134(既知パターン:Tencent Cloud、住所表示は東京都渋谷区だが実運用は中国系クラウド)
ご提供いただいた最終フィッシングサイト:hxxps://raku-point-unda[.]com/ (一部伏字)(Google Cloud上で稼働、現時点でどこからもブロックされない危険な状態)
誘導の手口は9/4に解析した過去記事と同様で、Google公式のPlayストアそっくりの偽ページから、正規のアプリではないものをインストールさせようとするものです。

▲ 誘導先で表示される、Google Playストアを模した偽ページ。インストールボタンの先は正規のGoogle Playとは無関係。
なお、メールには「4vTP59N1.ekf」という添付ファイルも付いていましたが、開封・実行は一切行っておりません。ファイルの先頭部分を確認したところ、意味のある形式のデータではなく、ごく短い無意味な文字の羅列でした。おそらくメール1通ごとにこの部分だけを変え、メール全体のハッシュ値(電子的な指紋)を毎回変化させることで、単純な指紋照合型のスパムフィルターをすり抜けようとする水増し工作と考えられます。
■ 同日確認された件名バリエーション(波状攻撃)
同じ朝、ほぼ同時刻に次のような件名の類似メールが確認されています。手口の系統は共通していると見られますので、あわせてご注意ください。
- 無条件でポイントをもらえる(09:39:15)
- 会員ランクアップのご報告(09:36:14)
- 会員ランク変更のお知らせ(09:35:48)
- ダイヤモンド会員特典のご案内(09:34:57)
- 特別進呈のお知らせ(09:34:28)
■ 注意点と対処法
- URLをクリックしない:リンク先は情報を盗む、または不正なアプリをインストールさせるための偽サイトです。
- アプリはGoogle Play公式アプリからのみ:メール内のリンクからではなく、必ずスマートフォンの公式Playストアアプリから検索してインストールしてください。
- 件名の見た目のズレに注意:件名の文字間隔や改行が不自然な場合、見えない文字が仕込まれている可能性があります。
- 誤ってインストールしてしまった場合:直ちにそのアプリをアンインストールし、セキュリティソフトでスキャンを行ってください。楽天カードのログイン情報を入力してしまった場合は、パスワードを変更してください。
■ 関連記事(同一系統の偽Google Playストア誘導)
本レポートの結論
正規のメール配信サービスを踏み台にし、実際の投稿元を偽の地名入りホスト名で隠しながら、同日6通もの波状攻撃を仕掛けてきた一件でした。前回の偽Google Playストア誘導の記事と合わせてご確認ください。身近な人が騙されてからでは手遅れです。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Burgundy














