個人情報漏えいのあとに届く詐欺への備え|今すぐできる対策と、届いたときの行動ルール【特集③】

【特集③】個人情報漏えいのあとに届く詐欺への備え|心構えと対策、届いたときの行動ルール

Heartland-Lab (ハートランド・ラボ) 専門調査レポート|2026年10月16日時点

特集の最終回は、備えと対策です。これから本名入りで本物そっくりの連絡が届いても、慌てずに動けるように、「心構え」「場面ごとの行動ルール」「今日やっておくこと」「被害に遭ったときの動き方」「相談窓口」の順にまとめました。

緊急性レベル ★★★★☆ (4/5)
今日からできる度 ★★★★★ (5/5)
守れる範囲 ★★★★☆ (4/5) ※100%ではありません。備えは「被害を小さくする」ためのものです

※このページは随時更新します(最終更新:2026年10月16日)。何が起きているかは特集①、予想される被害は特集②、全体像は親ページをご覧ください。

こんにちは、Heartland-Labです。地震が起きてから、避難経路を考え始めても間に合いません。防災訓練で、あらかじめ道順を決めておくのは、そのためです。

詐欺も、まったく同じです。本名入りの連絡が届いてから考えると、焦りの中で判断することになります。だからこそ、届く前の今のうちに、「自分のルール」を決めておきましょう。むずかしいことは、ありません。

心構え:まず覚えておきたい3つのこと

① 「急がせる」のが、詐欺の手口

「今日中に」「アカウントを停止します」といった言葉は、考える時間を奪うためのものです。急かされたと感じたら、それ自体が、いったん立ち止まるサインです。

② 「本物らしさ」で判断しない

本名、住所、実際に使っているサービス名が正しく入っていても、それは本物とは限りません。漏れた情報を使えば、誰でもそれらしく作れるからです。詳しくは特集②をご覧ください。

③ 確認は、メールの「外」で行う

届いた連絡の中で、すべてを済ませない。確認は、自分で開き直した公式の入口から行う。これが、この特集でいちばん伝えたいことです。次の項目で、具体的に説明します。

いちばん大事なルール:「入口を自分で開き直す」

本物の通知か偽物かは、メールの文面や見た目では、見分けられなくなってきています(特集②)。そこで、見分けようとするのをやめて、メールやSMSの中のリンクや電話番号は使わず、自分で公式の入口を開き直すというルールにします。

  1. 公式アプリを開く:アプリの「お知らせ」や、マイページから確認します。
  2. 自分で登録したブックマークを使う:普段ログインしているページから入り直します。
  3. 会社名で検索して、公式サイトを開く:検索結果の上に出る広告ではなく、公式サイトのドメインかどうかを確かめます。
  4. 電話は、公式サイトや過去の書面、カードの裏面に載っている番号を使う:連絡に書かれていた番号や、相手が伝えた番号にはかけません。

たとえばソースネクストは、公式サイト上に、今回の件のお知らせとお問い合わせ窓口を載せています(公式のお知らせ)。メールが届いたら、そのメールのリンクではなく、自分で開いた公式サイトで、同じ内容の発表があるかを確認する。これが「入口を自分で開き直す」という動きです。

※通知メール自体に「手順どおりにパスワードを再設定してください」とある場合も、メール内のリンクではなく、公式サイトから手続きを始められるかを、まず確認してください。

場面別:届いたら、こう動く

起こりそうな場面ごとに、「やること」と「やってはいけないこと」をまとめました。

場面 やること やってはいけないこと
①「パスワード再設定のお願い」が届いた 自分で再設定の手続きを始めていないなら、メールのリンクは開かない。再設定が必要かどうかは、公式サイトのお知らせで確認する。ソースネクストは、再設定のメールは「本人が手続きしたときだけ送る」と説明している メールのリンクから再設定画面を開く。今のパスワードを入力する
②「あなたの情報が漏えいしました」と通知が届いた そのサービスを本当に使っていたか思い出す。公式サイトやアプリのお知らせで、同じ発表があるかを確認する。本物でも、まず通知のリンクではなく公式の入口から確認する 「確認フォーム」に氏名やカード番号を入れる。添付ファイルを開く
③「返金」「口座の確認」「本人確認」を求められた 無視するか、公式の窓口に自分から問い合わせる。skyticketのように、返金先の口座情報が漏れた事案もあるため、特に注意する 口座番号、暗証番号、カード番号を入力したり、伝えたりする
④ SMSで「再配達」「会員情報の確認」「利用停止の予告」が届いた リンクは開かない。公式アプリで、本当に手続きが必要かを確認する リンクを開く。SMSに書かれた番号に折り返す
⑤ 電話で、本名や生年月日を言い当てられた いったん電話を切る。自分で調べた公式の番号に、かけ直す 相手が伝えた番号にかけ直す。認証コードや暗証番号を伝える
⑥ 勤務先や役職を名指しした、請求書や送金の依頼が届いた 送金先の変更や、急ぎの依頼は、メール以外の方法(あらかじめ知っている電話番号や、直接の確認)で、本人に確認する。会社のルールに従う メールに返信しただけで、送金や情報提供をする
⑦ 郵便物で、「重要なお知らせ」が届いた 書かれた電話番号やQRコード、URLは使わず、公式サイトで確認する。本物の通知が郵送で届くこともあるため、「郵便だから本物」とも「偽物」とも決めつけない。ソースネクストは、メールアドレスが未登録の人には郵送で連絡する予定だと案内している 書かれた番号に電話する。QRコードを読み取る
⑧ 身に覚えのない契約、請求、督促が届いた 支払わず、契約したとされる会社に、公式の窓口から確認する。運転免許証の画像などが漏れた場合は、特に念のため確認する。迷ったら消費者ホットライン188へ 督促の電話番号に連絡する。慌てて支払う

なお、企業は、メール・SMS・電話で、パスワードやカード番号、暗証番号を尋ねません。今回の通知でも、ソースネクストとskyticketの両社が、パスワードやクレジットカード番号は尋ねないと、はっきり書いています。尋ねられたら、その時点で偽物です。

今日やっておくこと:被害を小さくする準備

① パスワードの使い回しをやめる

今回、メールアドレスとパスワードが含まれる事案がありました。同じパスワードを使い回さないことが、いちばんの備えです。全部をいっぺんに変えるのは大変なので、優先順位をつけましょう。①メールアカウント、②銀行・カード・決済、③通販・ポイントサービス、④それ以外、の順です。パスワードは長めにして、管理アプリを使うと、覚える負担が減ります。

② 多要素認証を有効にする

パスワードが漏れても、もう1つの確認があれば、勝手にログインされにくくなります。メール、金融、通販の順に、設定できるものから有効にしましょう。選べるなら、SMSで届くコードより、アプリで確認する方式や、パスキーのような、フィッシングに強い方式を選ぶのがおすすめです。

③ 使っていないアカウントを整理する

タイムズカーの約660万件には、退会済みの人の情報も含まれていました。退会しても、情報が残る場合があるため、完全な対策ではありません。それでも、使っていないサービスの会員を増やさないことは、漏えいに巻き込まれる確率を下げます。退会の手続きは、サービスごとの公式窓口で行います。

④ 利用明細やログインの通知を、ときどき確認する

カードや銀行の利用明細、ポイントの履歴に、身に覚えのない動きがないかを見ます。infoQでは、会員からの問い合わせで、不正なポイント交換が見つかりました。ログイン通知の設定ができるサービスでは、オンにしておくと気づきやすくなります。

💡ここで! 「多要素認証」とは?

ログインのときに、パスワードに加えて、もう1つ別の方法で本人かどうかを確認する仕組みです。たとえば、スマホに届くコードを入力したり、指紋や顔で確認したりします。パスワードだけが漏れても、それだけでは入れなくなります。

💡ここで! 「パスキー」とは?

パスワードの代わりに、スマホやパソコンの指紋・顔認証などでログインできる仕組みです。偽のサイトでは使えない作りになっているため、偽サイトに誘導されても、情報を盗まれにくいとされています。使えるサービスでは、設定しておくのがおすすめです。

家族で決めておきたい、ひとつのルール

本名や生年月日を言い当てられると、特に高齢の方は、本物だと信じてしまいがちです。ご家族の間で、次のルールを決めておくと安心です。

「お金、暗証番号、認証コード、リンクのどれかが出てきたら、その場で答えず、いったん家族に電話する」

一人で判断しないだけで、被害に遭う確率は大きく下がります。この記事のURLをご家族に送って、一緒に読んでおくのもおすすめです。

もし、被害に遭ってしまったら

リンクを開いてしまった、情報を入力してしまった、お金を払ってしまった。そんなときは、自分を責めずに、次の順番で動きましょう。早く動くほど、被害を小さくできます。

  1. 入力した情報に応じて、すぐ止める:パスワードを入力したなら、そのサービスのパスワードを変更し、同じものを使い回していた他のサービスも変更します。カード番号を入力したなら、カード会社に連絡して、利用の停止や再発行を相談します。銀行の情報なら、銀行に連絡します。
  2. 認証コードを伝えてしまったなら、特に急ぐ:認証コード(ワンタイムパスワード)は、誰に聞かれても教えてはいけません。伝えてしまったときは、すぐに、そのサービスや金融機関に連絡してください。
  3. 証拠を残す:届いたメールやSMSの画面、サイトの画面、電話のあった日時などを保存します。相談するときに役立ちます。
  4. 相談する:お金を取られた場合や、脅された場合は、最寄りの警察署や、警察相談専用電話(#9110)に相談します。ほかの窓口は、下の一覧をご覧ください。

※いますぐ危険が迫っているときは、110番に連絡してください。

相談窓口の一覧

連絡先は、各公式サイトの情報をもとにしています。変更されることがあるため、かける前に、公式サイトで最新の情報を確認してください。

窓口 連絡先・受付時間 こんなときに
ソースネクスト 不正アクセス専用窓口 0120-035-116(フリーダイヤル)
10:00〜18:00(土日祝も受付)
お問い合わせフォーム
今回の件についての質問や、退会手続きなど
skyticket カスタマーサポート メール:info@skyticket.com
10:00〜18:00(土日祝も受付)
今回の通知を受け取った人の問い合わせ(通知メールに記載の窓口)
警察相談専用電話 #9110 全国共通。受付時間は、各都道府県警察の案内をご確認ください 不審な連絡を受けた、被害が心配、というとき。緊急のときは110番
消費者ホットライン 188 188(全国共通)。最寄りの消費生活センターにつながります 身に覚えのない契約や請求、悪質な勧誘など
IPA 情報セキュリティ安心相談窓口 03-5978-7509
10:00〜17:00(土日祝・年末年始を除く)。メール相談も可
ウイルスや不正アクセスなど、技術的な相談。フィッシングが対象になるかは、電話かメールで確認してください
個人情報保護委員会 個人情報保護法相談ダイヤル 03-6457-9849
9:30〜17:30(土日祝・年末年始を除く)。電話のみ
企業の個人情報の取り扱いへの苦情や、個人情報保護法についての質問(個人も相談可)

※そのほかの企業の窓口は、通知メールや、各社の公式サイトのお知らせに載っています。

本レポートの結論

本名入りの連絡が届く時代は、「見た目で見分ける」から、「確認の入口を自分で決める」へと、考え方を切り替えるときです。メールやSMSの中のリンクや電話番号は使わず、公式アプリやブックマークから自分で開き直す。お金・暗証番号・認証コードが出てきたら、その場で答えない。この2つだけでも、被害の多くは防げます。身近な人が騙されてからでは手遅れです。このページのURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。

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Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
参考:各社の通知メール・公式のお知らせ、および以下の公的機関の情報(2026年10月16日時点)
ソースネクスト(お知らせ) IPA(安心相談窓口) 政府広報オンライン(消費者ホットライン188) 個人情報保護委員会(相談ダイヤル)

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