個人情報が漏えいしたらどうなる?予想される二次被害と詐欺を情報の種類別に解説【特集②】

【特集②】個人情報が漏えいしたあと、何が起きるのか|予想される二次被害と詐欺を情報の種類別に整理

Heartland-Lab (ハートランド・ラボ) 専門調査レポート|2026年10月16日時点

2026年10月に相次いだ個人情報の漏えいで、盗まれた情報は今後どう悪用されうるのか。流出した情報の種類ごとに、起こりうる被害を整理しました。特集の第2回にあたるこのページは、予想を含む内容です。確認できている事実と予想は、見出しや表示で分けています。

緊急性レベル ★★★★☆ (4/5)
被害の広がり(予想) ★★★★★ (5/5)
実害の確認状況 ★☆☆☆☆ (1/5) ※確認できた実害は、現時点では限られています

※このページは随時更新します(最終更新:2026年10月16日)。事案の整理は特集①(原因と現状編)、特集の全体像は親ページをご覧ください。

こんにちは、Heartland-Labです。宅配の不在通知、銀行からのお知らせ、サービスの利用明細。メールやSMSは、毎日たくさん届きます。その中に、ある日、あなたの本名が入った、実在するサービス名の連絡が混ざっていたら。気づける自信はありますか?

今回の漏えいで心配されているのは、まさにそこです。盗まれた情報が、どんな形で使われうるのか。起きていることと、これから起こりそうなことを、分けて見ていきましょう。

■ このページの読み方

【確認済み】は、各社の発表や報道で確認できた事実です。【予想】は、流出した情報の種類から、起こりうることを考えたものです。「予想」は、実際に起きたという意味ではありません。必要以上に怖がる必要はありませんが、備えておくための材料としてお読みください。

【確認済み】すでに起きていること

私たちが確認できた範囲では、今回の漏えい情報を使った詐欺メールやSMSの被害は、まだ報じられていません。一方で、盗まれた情報や、そこから派生した被害が実際に出た例は、次のとおりです。

  • アンケートサイト「infoQ」(GMOリサーチ&AI):611件、合計約287万円分のポイントが、会員の意思と関係なく、Amazonギフトコードに交換されました。最大94万8498件の会員情報が対象で、会社はポイントを全額補填するとしています。発覚のきっかけは、会員からの問い合わせでした。
  • skyticket:不正にログインされた会員アカウントが、1件確認されたと発表されています。
  • ブックオフ・第一興商:発表の時点では、悪用は確認されていないとされています。

また、情報を漏らした企業自身が、二次被害を警告しています。ソースネクスト、skyticket、infoQの3社とも、漏えいした情報を悪用した、なりすましの連絡が届くおそれがあると、利用者に呼びかけています。

【予想①】詐欺は「バラマキ型」から「個人特定型」へ

当ブログでこれまで扱ってきた詐欺メールの多くは、誰に届いても同じ内容の「バラマキ型」でした。名前や住所が出回ると、攻撃する側は、相手一人ひとりに合わせた内容を作れるようになります。

項目 これまで(バラマキ型) これから(個人特定型・予想)
宛名 「お客様」「会員様」など 本名や、登録した氏名
内容 有名ブランドを装った、一斉送信 実際に使っているサービスや、最近の利用に合わせた内容
見分け方 宛名の不自然さ、不自然な日本語、身に覚えのないサービス名 内容が本物に近く、これまでの見分け方が通用しにくい
届く経路 メールが中心 メール、SMS、電話、郵便物まで

つまり、「宛名が自分の本名だから本物」とは、言えなくなるおそれがあります。宛名が正しいことは、本物であることの証明にはなりません。

【予想②】流出した情報の種類別に考える、起こりうる悪用

どんな情報が漏れたかによって、狙われ方が変わります。今回の事案で実際に含まれていた情報と、そこから予想される悪用を、種類ごとにまとめました。

流出した情報 含まれていた主な事案 予想される悪用
メールアドレスとパスワード ソースネクスト(パスワードを含む可能性)、skyticket(約413万件分)、infoQ、タイムズカー。skyticket・タイムズカーは変換して保管、infoQは暗号化して保管 他のサービスで同じ組み合わせを試す不正ログイン。ポイント、予約、購入履歴の乗っ取りにつながる。保管されていたパスワードも、よくある文字列や短いものは、割り出されるおそれがある。実例:infoQのポイント不正交換、skyticketの不正ログイン1件
氏名・住所・電話番号・生年月日 ほぼすべての事案 本名・住所入りのフィッシングメールやSMS、なりすましの電話、郵便物。生年月日を知られていると、本人確認の質問に答えられてしまうおそれもある
運転免許証の画像・情報 タイムズカー 本人確認書類として使われ、なりすましの契約や申し込みに悪用されるおそれ。身に覚えのない契約や請求が届いたら、すぐ確認する必要がある
返金先の口座情報 skyticket(約1.78万件の事案) 「返金のご案内」「口座の確認」を装った連絡。実際の取引を知っているように見せて、信用させる手口が考えられる
会社名・役職・部署名 ソースネクスト 勤務先や役職を名指しした、請求書メールや、上司・取引先を装った指示(ビジネスメール詐欺)。個人だけでなく、会社の被害にもつながる
証券口座の番号 大和証券(問い合わせ管理サービス経由) 証券会社を装い、ログインを誘導するメール。口座番号を知っていることで、本物らしく見せやすくなる
問い合わせの内容 シチズン時計(問い合わせ欄に書かれた銀行・カード情報の可能性)、オリックス生命(病歴などの可能性) 問い合わせた内容を知っているかのように装う連絡。知られたくない情報を持っていると示して、不安をあおる手口も考えられる
会員番号・ポイントカード番号・ポイント残高 ブックオフ、焼肉きんぐ、infoQ 会員を装った連絡や、ポイントの不正利用
通知メールそのもの ソースネクスト(全会員のパスワードをリセットし、再設定を案内) 本物の通知を真似した、偽の「パスワード再設定のお願い」や「お詫び」のメール

※「含まれていた主な事案」は、各社の発表や報道の内容です。情報の有無は利用状況によって異なり、すべての人に全項目が含まれるわけではありません。

💡ここで! 「不正ログイン(パスワードの使い回しを狙う攻撃)」とは?

どこかのサービスから漏れたメールアドレスとパスワードの組み合わせを、別のサービスに片っ端から入力して、ログインできるものを探す攻撃です。同じパスワードを複数のサービスで使っていると、1つが漏れただけで、ほかのサービスまで開けられてしまいます。

【予想③】複数のサービスから漏れた情報が、つなぎ合わされる

今回の事案では、ソースネクスト、skyticket、infoQ、ブックオフ、タイムズカーなど、少なくとも5つの事案で、氏名・住所・電話番号・生年月日・メールアドレスがそろって含まれています。

同じ人が複数のサービスを使っていれば、それぞれから漏れた情報を、氏名やメールアドレスをもとに突き合わせることができます。そうすると、「この人は旅行に行く」「このお店をよく使う」「勤務先はここ」といった、より詳しい人物像ができあがります。これは予想ですが、情報が多くなるほど、本物そっくりの連絡を作りやすくなるのは確かです。

1つのサービスの通知が届いていなくても、別のサービスから漏れた情報が使われることもあります。「うちは関係ない」と思わないことが大切です。

【予想④】入口はメールだけではない

電話番号や住所が漏れた事案が多いため、連絡の入口は、メールだけとは限りません。実際に、ソースネクストもskyticketも、通知の中で「メール、SMS、電話、郵便物」に注意するよう呼びかけています。infoQも、メール、SMS、電話でのフィッシングに注意するよう求めています。

  • SMS:短い文章とリンクだけなので、不自然さに気づきにくい。
  • 電話:本名や生年月日を言い当てられると、本物の担当者だと信じやすい。
  • 郵便物:住所が分かっていれば、郵送で偽の案内を送ることもできる。

メールだけでなく、SMS・電話・郵便物にも注意が必要です。これは予想というより、漏えいした企業自身が出している警告です。

【予想⑤】本物の通知と偽物を、「形」では見分けられない

Heartland-Lab運営者に実際に届いた通知メールを見比べると、同じ「漏えいのお知らせ」でも、会社によって形がまったく違いました。

  • ソースネクスト:本文にパスワード再設定の手順とURLが、複数書かれている。自分で手続きしていないのに再設定のメールが届いたら、URLを開かないよう注意している。
  • skyticket:本文にURLはなく、連絡先はメールアドレスのみ。日本語と英語が併記されている。

つまり、「リンクがあれば偽物」「リンクがなければ本物」とは、言い切れません。通知メールの形は会社ごとに違うため、形だけでは本物かどうか判断できません。もし、この通知メールを真似した偽物が届けば、本物と見比べても区別がつかない可能性があります。

では、どうすれば安全に確認できるのか。メールの形ではなく、「自分の行動」を決めておくのが、いちばん確実です。具体的な方法は、次の特集③でまとめます。

💡ここで! 「ビジネスメール詐欺」とは?

取引先や上司、経営者になりすましたメールで、送金や情報の提供をさせようとする詐欺です。勤務先や役職、部署名が分かっていると、「それらしい相手」を装いやすくなるため、会社の情報が漏れた場合は特に注意が必要です。

今後の見通しと、このページの更新について

漏えいが公表されてから、実際に詐欺の連絡が届き始めるまでの時間は、ケースによって違います。今のところは、「いつ届いてもおかしくない」と考えておくのが現実的です。

今回の漏えい情報を使ったとみられる連絡が実際に届いた場合は、このページに実例として追記することがあります。予想がどこまで当たったのか、外れたのかも、分かった範囲でお伝えします。

本レポートの結論

今回の漏えいでは、氏名・住所・電話番号・生年月日といった、本人を特定できる情報が、複数の事案で広く流出しています。これからは、本名入りで本物そっくりの連絡が、メール・SMS・電話・郵便物で届くおそれがあります。実害はまだ限られていますが、備えは今からできます。身近な人が騙されてからでは手遅れです。このページのURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。

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Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
参考:各社の通知メール・発表、および以下の報道(2026年10月16日時点)
@IT(infoQ) @IT(skyticket) @IT(i-ask) @IT(タイムズカー) INTERNET Watch(第一興商) 熊本日日新聞(ブックオフ)

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