セゾンカード「セキュリティシステム更新に伴う再認証の手続き」は詐欺!アルゼンチンの家庭用回線から日本企業ドメインを騙る手口を解析

HL-META: date=2026-08-31 | brand=セゾンカード(SAISON CARD/Netアンサー) | sender_geo=AR(Fibertel/家庭用回線) | site_geo=unknown(Tencent Cloud) | spf=softfail | dkim=unknown | cloaking=no

セゾンカードを騙る詐欺メールは当ブログでも繰り返し取り上げてきましたが、今回のものは「名乗っている場所」と「実際に接続してきた場所」があまりにかけ離れていました。地球の裏側からの一通を、じっくり解析していきます。

🔍 調査レポート:概要

かたられたブランド セゾンカード(SAISON CARD/Netアンサー)
件名(表示上) [spam] 【セゾンカード】セキュリティシステム更新に伴う再認証の手続き
受信日時 2026年8月31日 13:19
送信元IP 190.247.143.164(アルゼンチン/家庭用ブロードバンド回線)
誘導先IP 43.165.196.142(Tencent Cloud/AS132203)
脅威レベル いずれも「低」(ip-sc.net調査。ただし「低」=安全という意味ではありません)
技術的な見どころ 名乗るドメインと実際の送信元が無関係/件名・本文全体への広範なゼロ幅文字挿入/MyJCBと同一テンプレートの使い回し

⚠️ このメールはセゾンカード(株式会社クレディセゾン)とは一切関係のない偽物(フィッシング詐欺メール)です

📧 実際に届いた詐欺メール

▲ 実際に届いたメールの表示。公式に近いデザインで再現されています。

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載

ご登録情報の確認およびセキュリティ認証に関するお知らせ

いつもセゾンカードおよびNetアンサーをご利用いただき、誠にありがとうございます。

株式会社クレディセゾンでは、会員の皆様に安全な環境でサービスをご利用いただくため、
定期的なセキュリティシステムの確認および本人認証サービスの状況点検を実施しております。

今回、お客様のカードご利用に関して、セキュリティ上の確認事項が検出されたため、
念のため再認証のお手続きをお願いしております。

ACCOUNT INFO
(受信者のメールアドレス表示欄/個人情報保護のため非掲載)

お手続き項目:本人認証(3Dセキュア)確認
ご対応期限:2026年9月03日(木)

【注意事項】
※期日までにお手続きが完了しない場合、安全保護の観点からカードのご利用を一時的に制限させていただく場合がございます。
※ご不明な点がある場合は、ブラウザから「セゾンカード公式ホームページ」または「Netアンサー」を検索し、直接ログインしてご確認ください。

発行元:株式会社クレディセゾン

🕵️ 送信ルートと偽装の判定

メールヘッダーのReceived-SPF行を確認したところ、次のような結果でした。

client-ip:190.247.143.164

helo/envelope-from:test.19raft.co.jp

SPF判定:Softfail(ドメイン所有者が「このホストからの送信は推奨しない」と表明している状態)

ip-sc.netで190.247.143.164を確認したところ、プロバイダーは「Telecom Argentina S.A(Fibertel)」、利用形式はconsumer(家庭用回線)と表示されました。逆引き(PTR)も164-143-247-190.fibertel.com.arとなっており、企業のメールサーバーではなく、アルゼンチンの一般家庭のブロードバンド回線から直接送信されていることが確認できました。

一方、HELOおよびReturn-Pathで名乗っていたtest.19raft.co.jpというドメイン名自体は実際に名前解決ができ、アルゼンチンの回線とは全く別のネットワークを指していました。つまり、メールが名乗っているドメインの本来のインフラと、実際に接続してきた回線が完全に無関係ということです。これがSPFのSoftfail判定の理由であり、ドメイン名を借用しただけの典型的な送信元詐称と考えられます。

👁️ 件名から本文、ブランド名まで――徹底したゼロ幅文字の挿入

メールのHTMLソースを確認したところ、件名・挨拶文・手続き項目・ボタンの文言、さらには文末の著作権表記に至るまで、ほぼすべての重要な単語に目に見えない制御文字(ゼロ幅文字)が挿入されていました。発見方法は単純で、メールのHTMLソースコードを表示すると、通常の日本語の間に\u200b(ゼロ幅スペース)や\u200c\u200d\u2060\ufeffといった、通常は存在しないはずのエスケープシーケンスが並んでいるのが確認できます。

確認できた挿入箇所の一部(文字と文字の間に見えない制御文字が挟まっています):

  • 件名・見出しの「登録」「情報」「確認」「認証」
  • 本文冒頭の「いつも」「セゾンカード」
  • 手続き項目欄の「本人認証」「3Dセキュア」「確認」
  • ボタン文言の「認証」
  • 文末の著作権表記に含まれる「SAISON」の文字自体

件名から本文、そして皮肉にも自分たちが騙ろうとしているブランド名「SAISON」まで、隙間なく細工されています。ここまで徹底していると、逆に「機械的に一括処理しただけ」という印象も受けます。なお、当ブログでは以前にもセゾンカードを騙るメールでUnicodeの文字列反転(RLO)による偽装を確認していますが(下記関連記事)、今回はそれとは異なる「ゼロ幅文字の挿入」という手法で、同じセゾンカードというブランドに対して複数の偽装パターンが使われている実態がうかがえます。

さらに、件名の文言「セキュリティシステム更新に伴う再認証の手続き」は、当ブログが6月に解析したMyJCBを騙るメール(下記関連記事)の件名と一言一句同一でした。カード会社のブランド名だけを差し替えて使い回す、共通キットの存在がうかがえます。

🌐 誘導先フィッシングサイトの解析

⛔ メール内のリンク(絶対にアクセスしないでください)

hxxps://blueress[.]zdmeevv[.]info/H80AoO

このリンク先ドメインの名前解決結果は43.165.196.142でした。ip-sc.netで確認したところ、AS番号132203(TENCENT-NET-AP-CN)、つまりTencent Cloud上に設置されたフィッシングサイトであることが判明しています。当ブログでは43.x.x.x帯のTencent Cloudインフラを何度も確認しており、使い勝手の良い定番インフラとして詐欺グループに利用され続けているようです。

▲ リンク先へアクセスすると、ウイルスバスターがこの時点で既に「フィッシング」として明確にブロックしていました。

▲ 警告を解除して先へ進むと、一瞬読み込み中の画面が表示されます。

▲ 最終的に表示されたのは、本物のNetアンサー/SAISON IDログイン画面をかなり精巧に再現した偽サイトでした。IDとパスワードを入力すると、そのまま盗み取られてしまいます。

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📝 注意点と対処法

✅ このようなメールが届いたら

  • 本文中のリンクは絶対にクリックしない
  • セキュリティ確認が必要か気になる場合は、メールのリンクを使わず、公式アプリやブックマークからNetアンサーへ直接アクセスして確認する
  • 件名や本文のデザインが精巧でも安全とは限らない(見た目の文字列そのものが偽装されている場合があります)
  • セキュリティソフトが警告を出した場合は、内容を無視して先に進まない
  • 身に覚えのない場合は、メールを削除するか、セゾンカードの公式窓口に別途確認する

⚠️ 万が一Netアンサーのログイン情報を入力してしまった場合は、直ちにパスワードを変更し、同じパスワードを他サービスでも使い回している場合はあわせて変更してください。カード情報も入力してしまった場合は、セゾンカードの公式窓口へすぐにご連絡ください。

💳 名乗る場所と、実際に送られてきた場所は別物かもしれません

少しでも不審に感じたら、リンクを開かず削除を。この記事が役立ったら、ぜひ周りの方にも共有してください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit/送信元IPの調査にはip-sc.netを利用しています。本記事は2026年8月31日時点の調査に基づくものです。詐欺の手口は日々変化しており、本記事の内容と異なる形の類似メールが届く可能性もありますので、引き続きご注意ください。

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