ANA「マイルの延長期間とお手続き条件が変更になります」は詐欺メール!Zendesk悪用の送信元、2段階の偽ドメインでログイン情報を狙う手口

今回は、実在のカスタマーサポートサービスの送信機能を悪用した、少し変わった手口のANAなりすまし詐欺メールをご紹介します。
ご覧の通り、このメールはANA公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
ANAマイル有効期限延長サービスの変更について 【重要】セキュリティのお知らせ ANAマイレージクラブを装った不審なメールやサイトにご注意ください。当社からの正式な通知は、必ず公式サイト(ana.co.jp)から発信されます。 サービス改定日:2026年8月31日 【現在のサービス】 24ヶ月延長 無料 【改定後のサービス】 12ヶ月延長 500マイル必要 現行条件での最終期限: 2026年8月31日 23:59 ※期限までに手続きを行わない場合、改定後の条件が適用されます [延長手続きへ進む] ANAマイレージクラブ カスタマーセンター 0120-029-333(毎日7:00〜21:00)

実際に届いたメールの画面。「不審なメールにご注意ください」という一文まで盛り込む念の入りよう
「不審なメールにご注意ください」という注意喚起文をメール自身に盛り込むことで、逆に信頼させようとする巧妙な演出が見られます。さらに本文をテキスト表示に切り替えると、末尾に次のような記載が現れました。
The attachment has been blocked: attachment [ana.html] contains virus [Malware-Outbreak].

HTMLメールをテキスト表示に切り替えると現れた、添付ファイルブロックの記録
これはKAGOYA側のウイルス対策機能が、メールに同梱されていた「ana.html」という添付ファイルをマルウェアとして自動的にブロックした記録です。当編集部でもこの添付ファイルは開封・解析していません。
■ 送信ルート及び偽装判定:正規サービスZendeskの悪用疑惑
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
Received-SPF解析:
Received-SPF: Pass; client-ip=144.24.250.86; helo=spsender.xobqg.com
送信元IPロケーション:144.24.250.86(Oracle Corporation、スイス)
SPF認証は「Pass」ですが、これも「spsender.xobqg.com」という攻撃者側ドメイン自体の認証が通っているだけで、ANA公式であることの証明にはなりません。
今回特に注目すべき点は、ヘッダー中に「X-Mailer: Zendesk Mailer」「X-Zendesk-From-Application: support_ticket」という記載があったことです。Zendeskは世界的に広く使われている正規のカスタマーサポート・問い合わせ管理サービスで、そのメール送信機能(サポートチケットの自動返信など)が悪用された可能性があります。さらにヘッダーには「mail-out-55.zendesk.com (unknown [192.168.90.84])」という記載もありましたが、192.168.90.84はインターネット上に存在しないはずのプライベートIPアドレスです。外部から観測できるはずのない値が記載されている時点で、正当性を装うための偽装記載であることが分かります。
■ フィッシングサイト詳細解析:2つのドメインを使った多段誘導
■ 誘導リンクの解析
本文中の誘導先URL(伏せ字):hxxps://ana-mileage.lpsgpw.com/vip
着地先IPアドレス:172.245.154.186(HostPapa/RackNerd LLC、米国・ニューヨーク州バッファロー)
リンクをクリックすると、まずウイルスバスタークラウドが「安全ではない可能性があります」と警告しました(対象:ana-mileage.lpsgpw.com/vip/)。

1回目の警告。この時点でアクセスを中止するのが正解
警告を越えて先へ進むと、「安全チェック」と称した疑似的な人間確認画面が表示されます。

「確認」ボタンを押させる、自動検知ツール避けの人間確認画面

確認処理中と表示され、しばらく待たされる演出
この確認画面を突破した先で、最初とは全く別のドメイン「mileage-club.bozhouxd.com」へ切り替わっていることを確認しました。ウイルスバスタークラウドは、この2つ目のドメインに対しても改めて「安全ではない可能性があります」という警告を表示しています。

2回目の警告。ドメイン名が最初のリンクと異なる点に注目
2つのドメインの解決先IPアドレスを調べたところ、いずれも「172.245.154.186」と完全に同一でした。表向きのドメイン名を使い分けながら、裏側では同じサーバーを共有しているという、複数の記事でも確認してきた典型的なインフラ使い回しのパターンです。
最終的にたどり着くのは、ANA公式サイトによく似たデザインの「会員ログイン」画面です。「お客様番号」と「Webパスワード」の入力を求めてきます。

最終着地点の偽ログイン画面。デザインは本物に近いが、URLはANAと無関係
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- メール内のリンクは絶対にクリックしない:「延長手続きへ進む」のようなボタンは押さず、必ずご自身でANA公式サイトへアクセスしてください。
- 不審な添付ファイルは開かない:「.html」形式の添付ファイルは特に注意が必要です。
- セキュリティソフトの警告は絶対に無視しない:「安全ではない可能性があります」の警告が出た時点でアクセスを中止してください。
- 不安を煽る内容は疑う:ANAは、お客様の不安を煽り手続きを促すようなメールを送信することはないと公式に案内しています。
ANA公式の「ANAグループを装った詐欺メール・詐欺電話等にご注意ください」ページにも、実例や対処法が詳しく掲載されています。あわせてご確認ください。
本レポートの結論
実在のカスタマーサポートサービスの悪用が疑われる送信元、内部プライベートIPを使った偽装ヘッダー、そして2つのドメインを使い分けながら同じサーバーに着地する多段誘導——手口の一つひとつが巧妙に組み合わされた一件でした。身近な人が油断してからでは手遅れです。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy














