【ANA急増警報】仕事用アドレスにも到達!「マイルキャンペーン締切迫る」の正体を暴く――同日11件以上殺到した異常事態を解析

今回はいつもと少し違う形の記事です。本日午前だけで、ANAを騙る詐欺メールが編集部に11件以上、さらに私の仕事用アドレスにまで殺到するという異常事態が発生しました。まずはその実態を件名一覧でご覧いただき、そのうえで仕事用アドレスに届いた1通を詳しく解析します。
【緊急警報】本日、ANAを騙る詐欺メールが同日午前だけで11件以上殺到しました。仕事用のメールアドレスにまで到達しています。ご家族・ご友人にも「ANAからのメールは要注意」と、今すぐ共有してください。
■ 本日午前、殺到したANAなりすましメール一覧
受信時刻順に並べると、9時30分から11時23分までのわずか2時間弱で、次々と異なる件名・差出人名のメールが届いていたことが分かります。
| 受信時刻 | 件名 | 差出人表示名 |
| 11:23 | [spam] ANAマイレージクラブから重要なお知らせ | ANAからのお知らせ |
| 11:22 | [spam] 【ANAより】お客様情報の再登録をお願いします | ANA予約センター |
| 11:21 | [spam] 【ご案内】補償申請の再手続きの流れについて | ANAマイレージクラブ |
| 11:05 | [spam] 【お知らせ】補償申請の審査は継続できます | ANA予約センター |
| 11:01 | ANAカードご利用者様必見:お見逃しなく!マイルキャンペーン締切迫る | info(仕事用アドレス宛) |
| 10:59 | マイルの有効期限が近づいているお客様へ | ANAからのお知らせ |
| 10:53 | 【ANA】補償申請手続きに関するご連絡 | ANA Japan |
| 10:52 | 【ANAより】お客様情報の再登録をお願いします | ANAからのお知らせ |
| 09:43 | [spam] ANAマイル延長サービス改定前のご案内 | ANAマイレージクラブ |
| 09:41 | [spam] ANAマイル有効期限延長サービスをご利用の皆様へ | ANAからのお知らせ |
| 09:35 | [spam] ANAマイル有効期限延長制度の一部改定について | ANA |
| 09:30 | [spam] ANAマイル延長サービス改定のお知らせ | ana.co.jp |
これほど短時間に、これほど多様な件名・差出人名でなりすましメールが届くのは異例の事態です。「マイル延長」「補償申請」「お客様情報の再登録」と、テーマを次々に変えながら大量配信していると見られ、当ラボでもマイル延長系については既に別記事で解析済みです。今回は、この波の中でも一般的な受信箱をすり抜けて仕事用アドレスにまで届いた1通を詳しく見ていきます。
■ 仕事用アドレスに届いた「マイルキャンペーン締切迫る」の詳細解析
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
ANAマイレージクラブからのご案内 いつもANAマイレージクラブをご利用いただき、誠にありがとうございます。 以下の内容に関して、マイルが自動的に加算されていないことを確認いたしました。 「ANAマイレージクラブ会員情報」をご確認いただき、必要に応じて修正をお願い申し上げます。 未加算マイル 25,152マイル 手続き期限 メール受信後3日以内 ご確認のお願い ご登録情報と予約時の情報が一致しないため、マイルが自動加算されていません。 下記のボタンより情報をご確認のうえ、手動でマイルの加算をお願いいたします。 [手動で修正する] ※ URLの有効期限は72時間以内です。 ※ 加算されたマイルの有効期限は積算日より1年間となります。

実際に届いたメールの画面。装飾を一切排したテキストメール形式
これまでご紹介してきた多くの詐欺メールと違い、色付きのボタンや画像を使った派手な装飾が一切ありません。淡々としたテキストメール形式のほうが、かえって業務連絡らしく見えて警戒心を下げる効果を狙っている可能性があります。「25,152マイル」という具体的な数字と「メール受信後3日以内」「URLの有効期限は72時間以内」という二重の期限設定で、焦りを煽る構成です。
■ 送信ルート及び偽装判定:日本の地域名を騙る多重偽装ヘッダー
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
Received-SPF解析:
Received-SPF: Pass; client-ip=20.63.184.139; helo=magazine.cidofaa.cn
送信元IPロケーション:20.63.184.139(Microsoft Corporation/Azure、東京都渋谷区)
今回のメールで最も注目すべきは、本文へたどり着くまでのヘッダー内に、日本の地域・組織を思わせる名称を持つ複数の偽装中継記録(Received行)が積み重なっていた点です。「smtp.form-resource.gr.jp」(非営利団体等が使う.gr.jpドメイン風)、「smtp.chain-systems.yamagata.jp」(山形県の地域ドメイン風)といった、いかにも日本の団体が使っていそうな名称が並んでいました。
しかし、これらの行に記載されたIPアドレスを実際に調べたところ、「.gr.jp」を名乗る行のIPは実際にはカザフスタン、「yamagata.jp」を名乗る行のIPは実際にはメキシコという、地名や組織名とは全く無関係な国であることが判明しました。さらに別の行では実在の大手プロバイダ「biglobe.ne.jp」まで登場しており、ヘッダー解析を複雑に見せかけて正当性を装う、非常に手の込んだ偽装工作です。実際の送信元を特定するには、必ず「Received-SPF」に記載された「client-ip」を基準にする必要があります。
■ 用語解説:なぜ偽装Received行がここまで精巧なのか
通常、メールソフトの画面には送信者名しか表示されませんが、その裏側には送信経路を記録する「Received」ヘッダーが積み重なっています。攻撃者はこの仕組みを逆手に取り、実在しそうな日本の組織名・地域名を含む偽の経由記録を大量に書き込むことで、解析者が本物の経路と勘違いするよう仕向けます。今回のように地名とIPの所在国が一致しないという矛盾を見つけることが、こうした偽装を見破る有効な手がかりになります。
■ フィッシングサイト詳細解析:どこにもブロックされない危険な着地
■ 誘導リンクの解析
誘導先URL(伏せ字):hxxps://www.u4e.shop/domesticescv/shoufu/standardsets/reevglularcidio=PR1002/
着地先IPアドレス:134.122.194.173(BGP Network Limited Co., Ltd/CTGSERVERLIMITED-AS-AP、東京都千代田区)
備考:ip-sc.netでは既に複数の苦情コメントが寄せられている要注意IP
今回最も不気味だったのは、ウイルスバスターをはじめとするセキュリティソフトの警告が一切表示されなかった点です。これまでの記事でご紹介してきた事例の多くは、着地前に何らかの警告画面を挟んでいましたが、今回のリンクはどこからもブロックされることなく、あっさりと次の画面へ進んでしまいました。
まず表示されたのは、hCaptcha風の「I’m not a robot」というチェックボックスです。

実在のCAPTCHAサービスを模した確認画面。自動検知ツールを回避する目的とみられる
チェックを通過すると、ANA公式サイトとほぼ同じデザインの「会員ログイン」画面が表示されます。

最終着地点の偽ログイン画面。フッターのグループ企業情報リンクまで作り込まれている
添付ファイル「ana.trc」については、拡張子が不審なため当編集部では開封・解析していません。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 装飾のない地味なメールほど油断しない:派手な偽装だけがフィッシングの特徴ではありません。
- 短時間に複数の異なる件名で届く場合は要警戒:同一の攻撃キャンペーンが波状的に配信されている可能性があります。
- セキュリティソフトの警告が出ないからと安全と判断しない:今回のように、警告を経ずに到達する危険なサイトも存在します。
- メール内のリンクは絶対にクリックしない:必ずご自身でANA公式サイトへアクセスしてください。
ANA公式の「ANAグループを装った詐欺メール・詐欺電話等にご注意ください」ページにも、実例や対処法が詳しく掲載されています。あわせてご確認ください。
本レポートの結論
1日で11件以上という異常な急増、そして仕事用アドレスにまで到達した事実は、この種の詐欺メールがもはや「個人の受信箱の問題」ではなくなっていることを示しています。日本の地域名を騙る精巧な偽装ヘッダー、どこにもブロックされない危険な着地先——手口はますます巧妙化しています。この記事のURLをコピーして、家族や職場の同僚にも「ANAからのメールは要注意」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Forest














