【警告】「メールセキュリティのアップグレードが必要で」はKAGOYA詐称!実在企業サイトを踏み台にした多段リダイレクトと、宛先自動入力の標的型偽ログイン画面

レンタルサーバーやメールサービスの「セキュリティアップグレードが必要です」という通知は、業務で使っている方ほど反射的に対応してしまいがちです。今回はそんな心理を突く、かなり手の込んだKAGOYA Japan詐称メールを調査しました。
「KAGOYA」はレンタルサーバー大手の実在企業ですが、このメールは同社とは一切関係のない詐欺メールです。同社自身も公式サイトでなりすましメールへの注意喚起を行っています。
実際に届いたメールがこちらです。

▲ 「本手続きが完了しない場合、アカウントが停止される恐れがございます」と急がせる典型的な文面
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
お客様のメールアカウントにおいて、セキュリティ保護を最新の状態に保つための アップグレードが必要となっております。アカウントをより安全に保護するため、 直ちにセキュリティアップグレードの手続きを行ってください。 本手続きが完了しない場合、アカウントが停止される恐れがございます。 [こちらをクリックして、今すぐメールのセキュリティアップグレードを完了してください] 敬具 KAGOYA Japan セキュリティチーム Copyright © 2026 KAGOYA Japan, K.K Inc. All rights reserved.
今回、特に注目したいのはリンク先の構造です。1つのリンクをクリックしただけで、実在する海外企業2社のサイトを次々と経由し、合計3段階のリダイレクトを経て最終的な偽サイトへたどり着く作りになっていました。
■ 送信ルート及び偽装判定(リダイレクトチェーン解析)
① hxxps://rminformatique[.]com/4000I_EXTURL.php?url=(以下URLエンコード)
フランスのIT関連企業とみられる実在サイトです。URLパラメータで次の遷移先を指定できる「オープンリダイレクト」機能が、外部から自由に悪用できる状態になっていました。同社は攻撃に加担しているわけではなく、被害者側です。
② hxxps://studyrama-emploi[.]com/tracking.php?id=3521&systeme=PUBLI_BODY&url=(以下URLエンコード)
フランスの求人・就職情報サイトとみられる実在サイトです。広告効果測定用とみられる「tracking.php」というリダイレクト機能が、同じく外部から悪用可能な状態でした。
③ hxxps://activemail-kagoymail-jp[.]com/ky/auth-(識別子)
ここで初めて攻撃者自身が用意したドメインが登場します。「activemail」「kagoy(a)mail」「jp」といった単語を組み合わせ、KAGOYAの公式Webメールサービスであるかのように見せかけた偽ドメインです。
①②はいずれも実在する正規企業のサイトを踏み台として悪用したものであり、これらの企業自体に問題があるわけではありません。むしろ自社サイトが気づかぬうちに詐欺の中継地点にされてしまった被害者と言えます。
💡 ここで! 用語をやさしく解説
オープンリダイレクト:Webサイトの機能の一つで、URLの一部に別のアドレスを指定すると、そこへ自動的に転送してくれる仕組みです。本来はキャンペーンの効果測定や外部サイトへの案内などに使われますが、転送先を誰でも自由に指定できてしまう設計になっていると、悪意のある第三者が「実在する信頼できるサイトのドメイン」を経由地点として悪用できてしまいます。受信者から見ると、最初のクリック先が実在の有名企業のドメインに見えるため、警戒心が薄れやすいという問題があります。
最終的な着地点である④のサイトにアクセスすると、まずCloudflareのボット検証画面が表示されました。

▲ Cloudflareの「セキュリティ検証」画面。自動解析ツールによる調査を避ける目的とみられる
この検証画面を通過すると、KAGOYAの実際のWebメールサービス「Active!mail」のログイン画面を精巧に模倣した偽サイトが表示されます。

▲ 本物そっくりのActive!mailログイン画面。ユーザID欄には既に文字が入力された状態で表示された
最も見過ごせない点は、このログイン画面のユーザID欄に、あらかじめ受信者のメールアドレスが自動入力された状態で表示されたことです。これは無差別に同じ文面をばらまく通常のスパムとは異なり、攻撃者が事前に入手した宛先リストをもとに、URLの中にメールアドレス情報を埋め込んで配信している標的型の手口であることを示しています。パスワード欄にだけ入力してログインボタンを押してしまえば、それだけでパスワードが攻撃者に渡ってしまう危険な作りです。
■ 注意点と対処法
- ID欄が自動入力されていても信用しない:むしろ「事前に狙われている」危険信号と捉えてください。
- メール内のリンクを開かない:レンタルサーバー・メールサービスのセキュリティ通知は、必ずご自身でブックマークした公式サイトから確認してください。
- 短時間に同じ件名が繰り返し届く場合は要警戒:波状的に何度も同じ攻撃が届くのは、狙われている可能性を示すサインです。
- 万一パスワードを入力してしまった場合:速やかに契約しているサービスの管理画面から、そのサービス自体のパスワードを変更し、他のサービスで同じパスワードを使い回していないか確認してください。
本レポートの結論
今回のKAGOYA Japan詐称メールは、実在する海外企業2社のサイトを踏み台にした多段リダイレクトと、宛先メールアドレスを自動入力させる標的型の仕掛けを組み合わせた、非常に手の込んだ攻撃でした。「ID欄が埋まっているから安心」ではなく、むしろ危険信号として捉えることが大切です。この記事のURLをコピーして、レンタルサーバーやメールサービスを利用している身近な方にも「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Charcoal














