【解析】セゾンカード「カード一時停止解除のお知らせ」は詐欺!表示URLと実リンク先が別ドメイン、英国の乗っ取り回線から届いた巧妙ななりすまし

今日は関東を中心に急な雨予報が出ていますね。傘の準備をしつつ、こちらの記事も少しお付き合いください。今回はセゾンカードの「Netアンサー」を騙るフィッシングメールをご紹介します。
📋 調査レポート:概要
| 件名 | [spam] 【Netアンサー】カード一時停止解除のお知らせ |
| 差出人表示 | “SAISON” <Renata@fuufu-tabi.jp>(表示名詐称) |
| 受信日時 | 2026年7月27日 10時16分頃 |
| 送信元IP(地域) | 英国・ロンドン付近の一般家庭用回線(詳細は後述) |
| SPF判定 | Softfail(送信元ドメインの管理者自身が「このサーバーからの送信は正規ではない可能性がある」と表明している状態) |
| 危険度評価 | ★★★★☆(中〜高) 表示名詐称・リンク先偽装・見えない文字による隠蔽の三重の手口 |
実際に届いたメール本文
実際に届いたメールの文面を、レイアウトも含めてできるだけ忠実に再現したものです。
◆Netアンサーにご登録いただきありがとうございました。 セゾンカードでは、昨今のセキュリティ強化および関係法令に基づき、すべてのお客様を対象に、 ご登録情報の正確性を確認するための「本人確認の再実施」をお願いしております。 お手続き期限 2026年07月26日 23時59分 ※期限までにお手続きいただけない場合、安全保護の観点から カードの一部機能が制限される可能性がございます。 お忙しいところ恐縮ですが、下記のボタンよりログインのうえ、案内に従ってお手続きを完了させていただけますようお願い申し上げます。 Netアンサーを確認する https://netanswerplus.saisoncard.co.jp/WebPc/QNWDEL/exec_auth お手数ですが、2026年07月31日 までに、以下のボタンよりお手続きを完了させてください。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ※このメールはNetアンサーから自動配信しております。 ※本メールにご返信いただきましても、ご質問・ご依頼などに お答えできませんので、あらかじめご了承ください。 株式会社 クレディセゾン 〒170-6073 東京都豊島区東池袋3-1-1 https://www.saisoncard.co.jp/

▲実際に届いたメールの画面です。件名の先頭に「[spam]」と表示されているのは、受信サーバー側で既に危険なメールと自動判定されている証拠です。
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
送信ルートと偽装の実態
まず送信者表示から見ていきましょう。メールソフト上では「SAISON」という差出人名が表示されていますが、実際のメールアドレスは Renata@fuufu-tabi.jp であり、クレディセゾンとは一切関係のない個人ドメインです。これは「表示名詐称」と呼ばれる古典的かつ効果の高い手口で、メールソフトの一覧画面では差出人名しか目に入らない人が多いことを悪用しています。
ヘッダー情報を確認すると、送信元IPアドレスの逆引き(IPアドレスから元のホスト名を調べる操作)ではイギリスの通信事業者「BT」系の一般家庭用ブロードバンド回線であることが分かりました。企業のサーバーではなく、一般家庭のインターネット回線が踏み台にされ、そこから日本向けの詐欺メールが送信されている可能性が高い状況です。個人のパソコンやルーターがウイルス感染などによって外部から操られ、知らないうちに迷惑メールの発信元にされてしまうケースは珍しくありません。
SPF(送信元のメールサーバーが、そのドメインの管理者によって正式に許可されているかを確認する仕組み)の判定は「Softfail」でした。これは、ドメインの管理者自身が「このサーバーからの送信は正規のものと言い切れない」と表明している状態を意味します。つまり、送信者側のドメイン設定自体が、正規のメールではないことをある程度示唆しているのです。
最大の罠:表示されているURLと、実際に飛ばされる先が別物
今回のメールで特に注意していただきたいのが、リンクの仕掛けです。メール本文には次のように、いかにも公式サイトらしいURLが文字として表示されています。
https://netanswerplus.saisoncard.co.jp/WebPc/QNWDEL/exec_auth
しかし、このリンク文字列はあくまで「表示上の飾り」にすぎません。実際にクリックしたときに接続先として指定されているアドレス(リンク先の実体)は、まったく別のドメインです。
hxxps://helpent.kkjhtb[.]info/eD9490/index
画面に表示されているURLと、実際にジャンプする先のURLが違う——これは「リンクテキスト偽装」と呼ばれる手口です。一見して正規サイトのURLに見えても、実際のリンク先までは肉眼で確認できないため、パソコンやスマートフォンでリンクの上にカーソルを合わせる(またはタップして長押しする)と、画面の隅などに実際の飛び先URLが表示されます。この一手間が被害を防ぐ大きな鍵になります。
💡ここで! 見えない文字による隠蔽とは?
このメールのリンク文言「Netアンサーを確認する」をテキストエディタに貼り付け、書式なしのプレーンテキストとして表示させたところ、文字と文字の間に「ゼロ幅文字」と呼ばれる、画面には何も表示されない特殊な文字がほぼ1文字ごとに挟み込まれていることが分かりました。人の目には普通に「Netアンサーを確認する」と読めますが、コンピューター上のデータとしては見えない文字で細かく分断されています。これは、迷惑メールを自動でふるいにかけるフィルターが「Netアンサー」「確認」といった単語のかたまりをそのまま検知できないようにするための偽装テクニックです。
送信元IPアドレスの詳細
送信元IPアドレスの詳細情報(プロバイダー・地域・脅威レベル等)は、下記の外部サイトでどなたでも確認いただけます。
※調査時点の情報であり、日々変化する可能性があります。今回の送信元は英国ロンドン近郊の家庭用回線(BT Public Internet Service)で、プロキシ経由ではないと判定されており、脅威レベルは「低」(この数値はこの1本のIPだけを見た統計であり、迷惑メール送信という行為自体の危険性を否定するものではありません)となっていました。
誘導先フィッシングサイトの様子
リンク先のドメイン(kkjhtb.info、mhrnuj.info)は、本記事執筆のために調査した時点では、すでに名前解決(ドメイン名からサーバーの住所にあたるIPアドレスを調べる仕組み)ができなくなっており、フィッシングサイト自体が停止済みとみられます。攻撃者はドメインを使い捨てにし、短期間で使い回しながら次々と新しいアドレスに乗り換えていく手口を取ることが多く、今回もその一例と考えられます。ただし、これは今回確認した特定のリンクが機能しなくなっているという意味であり、同じ手口の詐欺メールが別のドメインで届く可能性は十分にあります。
Heartが実際にリンクへアクセスした際の画面を確認したところ、まず読み込み中を示す画面が表示され、続けて本物そっくりの「SAISON ID」「Netアンサー」ログイン画面が表示されたとのことです。

▲第1段階:リンクをクリックした直後に表示される読み込み中の画面。

▲第2段階:本物のデザインを忠実に再現した偽のログイン画面。ここでIDとパスワードを入力すると、そのまま攻撃者に送信されてしまいます。
こんなときどうする? 対策リスト
- ✅ メール本文中のリンクは、たとえ表示されている文字が正しく見えても、絶対にクリックしない
- ✅ Netアンサーへアクセスする場合は、必ずブックマークしてある公式サイトか、公式アプリ「セゾンPortal」から行う
- ✅ 差出人名だけでなく、実際のメールアドレス(@より後ろの部分)を必ず確認する習慣をつける
- ✅ 「期限内に手続きしないとカードが使えなくなる」といった急かす表現は、詐欺の典型的な焦らせ手口と心得る
- ✅ 万が一IDやパスワードを入力してしまった場合は、速やかにセゾンカード公式のお問い合わせ窓口へ連絡し、パスワード変更やカード利用停止の手続きを行う
まとめ
今回のメールは、表示名を「SAISON」に偽装し、本文のリンク文字列も正規URLに見せかけながら、実際の飛び先は無関係の海外ドメインという、二重三重の偽装が仕込まれた巧妙な詐欺メールでした。見た目のURLをうのみにせず、公式サイトやアプリから直接アクセスする習慣が、何よりの防御になります。この解析結果が、ご家族や周りの方への注意喚起の参考になれば幸いです。よろしければ下のボタンからLINEでシェアしていただけると、被害の予防につながります。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
調査日:2026年7月27日/根拠データ参照元:ip-sc.net
※本記事に記載のIPアドレス・ロケーション情報は調査時点のものであり、日々変化する可能性があります。本記事の情報に基づいて生じた損害について、当ラボは責任を負いかねます。















