ENEOSカードの成りすましこのメールは、トヨタファイナンス系のクレジットカード会社のENEOSカードに成りすまし 心当たりの無い支払金額を提示してリンクへ誘い込み、会員専用サイトの「MY TS3」への ログイン情報や個人情報、最終的にはカード情報まで盗み取るフィッシング詐欺メールです。  では、メールのプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] ENEOSカード お支払い金額確定のご案内」 このメールには”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールなのは明らかです。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”TS CUBIC CARD” <ak@ts3ard.com>」 今回は中国ドメインじゃありませんね! 正規「MY TS3」のドメインは”ts3card.com”ですが、ここで使われているドメインを よく見ると”ts3ard.com”と”c”が抜けています。 危うくここだけ見ると、信じてしまいそうですよね! ま、それ以前にこのメールアドレスも偽装の可能性が高いです。
差出したのはウェブアリーナユーザーか?!では、このメールのヘッダーソースを確認し偽装を暴いていきましょう。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<ak@ts3ard.com>」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「<20220202095655406177@ts3ard.com>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from ts3ard.com (116-80-118-229.pro.static.arena.ne.jp [116.80.118.229])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
ではまず、この差出人が使ったメールアドレスのドメイン”ts3ard.com”を割当てている IPアドレスを取得してみたいと思います。  割当てられているIPアドレスは”199.59.243.200”と書かれていますが、”Received”に書かれて いたIPアドレス”116.80.118.229”とは似ても似つかぬ数字が並んでいますよね。 本来なら同じ数字が出てこなければならないのでこのメールアドレスは偽装が確定です。 この”Received”にあったIPアドレス”116.80.118.229”を使ってそのサーバーの情報を 拾ってみます。  差出人は、ここに書かれているように「WebARENA(ウェブアリーナ)」と言う 「NTTPCコミュニケーションズの提供するデータセンタサービス」のユーザーのようです。 そして、このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみました。  その場所は、東京都千代田区付近。 差出人は、この付近に設置されたメールサーバーからこのメールを送ってきたことになります。
詐欺サイトは既に削除このメールは、フィッシング詐欺メールですからメール本文には1つ以上の詐欺サイトへの リンクが付けられています。 一番大きなリンクは本文中ほどのオレンジ色のボタン。 そのリン先のURLがこちらです。  まずは、このリンク先のサイトについてトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」 で確認してみました。  このように危険であると表示されました。 行くなと言われると、どうしても行きたくなるのが人情です。 ちょっとだけ覗いてみると、詐欺サイトは既に閉鎖されて接続ができませんでした。 
危険サイトだと周知されたので慌てて閉鎖したんでしょうか? ドメインについても検索結果が出ませんでしたからもう同じドメインで詐欺サイトを 開くことは無いでしょうね。
まとめどこかで入手したメールアドレスのリスト宛に機械的に詐欺メールを送るグループの仕業です。 大きな特徴は、本文に宛名が無いことと、リンク先のURLに「MY TS3」のドメインが使われて ないこと。 この辺りに注意してメールを見分けることが重要です。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |