登録したアドレスと違うアドレスに いつもご覧いただきありがとうございます! 気付けば4月も折り返し。 3月が寒かったのでこのところの急激な温かさで体調不良を訴える方も多いと思いますが 皆さんはいかがお過ごしでしょうか? 何事も急激な変化はいけませんね。 さて今回ご紹介するのは、Appleから届いた不思議なメールです。 何が不思議かと言うと、確かに私はApple IDを持っていますが、登録したメールアドレスはこれじゃなく 別の私用メールアドレス。 故にAppleがこのメールアドレスを知っているはずがないのです。 と言う訳でこのメールは、Appleに成りすますフィッシング詐欺メールです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] お支払い方法の問題』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『Apple <no_reply@email.apple.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 確かに”apple.com”はAppleのドメインですが、このメールは詐欺メールなので偽装されています。 その辺りは次の項で詳しく探ってみることにします。 ジャカルタからのメールだった では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 あらま? ドメインは”apple.com”じゃなかったのですか? ここにはなぜだか”minervor.com”と記載されています。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する 間違いなく詐欺メールですが試しにメールアドレスにあったドメイン”apple.com”が 差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。 これがドメイン”apple.com”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”17.253.144.10”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”152.32.155.73”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”apple.com”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なのでこのメールアドレスはご本人さんのもので 間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、インドネシアのジャカルタ付近。 そして送信に利用されたプロバイダーは、香港の『Ucloud Information Technology (Hk) Limited』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 香港で運営されていた詐欺サイトとは?! では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『お支払い情報を更新』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは”acconuapps.appensmes.com”とApple社の物とは似ても似つかぬ ドメインとなっています。 このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは東京の方が取得されています。 割当てているIPアドレスは”192.253.238.4” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、香港の九龍(Kowloon)地区 利用されているホスティングサービスは『CTG Server Limited』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 開いたのはそれっぽいログインページ でもAppleのログインページとは似て非なるもの。 ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで 詐取されることでしょう。 まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |