速度制限中は追加料金必要?
最近懐かしい詐欺メールが続きます。
先日の「NHKプラス」に続き、少し前に流行った[au]の通信速度制限に関するメールがまた届きました。
いつでしたか、かなり流行していましたね。
書かれているのは、月間通信量が制限に達したから速度制限をしておりこのままだと超過料金を
課せられるので、制限解除したければリンクに従うよう促すものです。
速度制限をそのまま使い続けても追加料金が必要だなんて聞いたことないしと思うんだけど
auさんにそんなプランってありましたっけ?
それに「直(ちょく)」と読むんでしょうけど、こんな漢字見たことないんですけど…(笑)
もしかして、お主中国の方??
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] auからの重要な知らせ【月間のデータ通信量の通信速度制限】M789067237」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
あれ?本文にもメール番号が「M15」って書いてあったけど、件名だと9桁もありますね?
どっちが正解なんでしょうか?(笑)
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"info" <sc@suzhoutianba.com>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
あれ?auさんじゃなかったんですか?
auさんなのに”suzhoutianba.com”なんて見知らぬドメインってどういうことなの?
auさんには確か”au.com”って社名を使ったドメインがあったはず、それなのにそれを使わない
ドメインのメールアドレスって、企業としておかしくないでしょうか?
いくら一生懸命に本文を考えようが、この時点でアウトでしょう(笑)
差出人は「さくらインターネット」ユーザーか?!
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「sc@suzhoutianba.com」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「22BC08A8FDA16A1B685B35EA1D885429@suzhoutianba.com」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from suzhoutianba.com (unknown [133.125.82.144])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”suzhoutianba.com”と言い張るようですね。
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”suzhoutianba.com”について調べてみます。
ありゃ?
このドメイン、IPアドレスに割当てられていないようですね。
IPアドレスに割当てられていないってことは、ネット上で利用することはできません。
これでこのアドレスは偽装確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”133.125.82.144”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元に利用プロバイダーとその割り当て地を確認してみます。
まず、利用されたプロバイダーから。
「SAKURA Internet Inc.」と書かれているので、この差出人は「さくらインターネット」のサーバーを
利用してこのメールを送信したようです。
次に位置情報。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、「JR神田駅」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
始まりが「auのお客様」ってのも違和感ありあり
では引き続き本文。
auのお客様:
いつもauをご利用いただき誠にありがとうございます。お客様の月間のデータ通信量がご利用中のプランの上限を超過したため、通信速度を低速に制限しております。
通信速度制限中にそのまま使い続けた場合、超過料金は発生しますので、早めに解除手続きの程よろしくお願い致します。予めご了承ください。
h**ps://connect-auone-jp-net-vwc-cca-lg-nets-login.sh-guahao.com/
(直接アクセスできない場合は、手動でブラウザにコピーして開いてください)
====================
メール番号:M15
※このアドレスへの返信は出来ませんので、ご注意ください。 |
本文をそのままペーストしてあるので文字化け等はご容赦ください。
始まりが「auのお客様」ってのも違和感ありありですよね?
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、直接本文に直書きさられていて、リンク先のURLとトレンドマイクロの
「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”connect-auone-jp-net-vwc-cca-lg-nets-login.sh-guahao.com”
とまあクソ長くてauには全く関連性の無い物。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請登録は、中国遼寧省瀋陽市(しんようし)から。
そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.201.5”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
代表地点としてピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊の
リトルトーキョーに程近い場所。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのはauへのログイン画面です。
ちなみに実際に私はauユーザーですが、このメールは恐らそんなことはお構いなしでdocomoや
ソフトバンクなどキャリアに関係なく送られてきておると思います。
まとめ
NHKプラスと同様にまたしばらくこの攻撃は続くのでしょうか?
もうこれ以上詐欺メールは増やさないでほしいです…(;´・ω・)
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |