詐欺メールにもトレンドがある
コンスタントに送られてくるAmazonやAMERICAN EXPRESSを騙る詐欺メールもありますが
詐欺メールには流行みたいなものがあるようで、ここ数日は「ソニー銀行」を名乗るものと
「取引申し込み」と言う件名のアダルトハッキングメールがトレンドのようです。
これは昨夜から今朝にかけてのその2種類のメールをまとめてみたものです。
こんなにたくさんのメールをまとめて送られて、私はどうすれば良いのでしょうか?(笑)
では今回は、「取引申し込み」と言う件名のメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
このメールの文面がこちらです。
アダルトハッキングメールなので、マルウェアに感染させデバイスを乗っ取った上で
カメラとマイクを通し保存したとされるアダルトサイト閲覧中のお楽しみ動画をネタに
取引をしようと持ち掛けるものとなっています。
件名は
「[spam] 取引申し込み」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
「取引申し込み」なんて、所謂仕事上の取引なのかな?と思うかもしれませんが、実は全く違って
このメールでの意味は「一方的な交渉」を表しています。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
このメールの差出人には受取人と同じメールアドレスが記載されています。
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
この取引には差出人のメールアドレスは必要は無いので偽装したものと思われます。
南米チリからのメール
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path:
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここにも受取人の
メールアドレスを記載し偽装してありました。
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Message-ID:「735798530950542200056652@*****.***」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも受取人のメールアドレスと同じドメインが記載されていました。
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Received:「from 186-78-175-218.baf.movistar.cl (186-78-175-218.baf.movistar.cl [186.78.175.218])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
ここだけは、偽装することができないので、犯人の足跡を調べる唯一の手掛かりになります。
ですからこれを紐解けば差出人の素性が見えてくると言うもの。
この”Received”には”baf.movistar.cl”なんてドメインや、”186.78.175.218”なんてIPアドレスが
記載されています。
では”baf.movistar.cl”と”186.78.175.218”と言うIPアドレスについて調べてみましょうか。
これによると、このIPアドレスは現在南米チリの首都サンティアゴで利用されているようです。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたことになります。
そしてこのIPアドレスはTelefonica S.A.と言うレジストラが管理しているようで、Wikipediaによると
Telefonica S.A.は、スペイン・マドリードに本拠を置く大手通信事業者でスペインおよびスペイン語圏の
ラテンアメリカ諸国で最大の通信事業者だそうです。
時勢に合わせ少し値上げしてるし
では引き続き本文。
こんにちは、お世話になっております。
貴方のアカウントに最近メールをお送りしましたが、お気づきになられたでしょうか?
そうです。私は貴方のデバイスに完全にアクセスできるのです。数ヶ月前から拝見しております。
どうすればそんなことが可能なのか疑問に思っておられますか?それは、訪問されたアダルトサイトに付いていたマルウェアに感染されていらっしゃるからです。あまりご存知ないかもしれないので、ご説明いたします。トロイの木馬ウイルスにより、私は貴方のパソコンや他のデバイスに完全にアクセスが可能です。
これは、貴方のスクリーンに搭載されたカメラやマイクをオンにするだけで、貴方が気づくことなく、私が好きな時に貴方を見ることが可能となることを意味します。その上、貴方の連絡先や全ての会話へのアクセスも行なっておりました。
「自分のパソコンにはウイルス対策ソフトを入れているのに、なぜそれが可能なのか?なぜ何の通知も今まで受信しなかったのか?」とお考えかもしれませんね。その答えは単純です。
私のマルウェアはドライバーを使用し4時間毎に署名を更新するため、ウイルス対策ソフトでは検出不可能なので通知が送られないのです。
左側のスクリーンで貴方がマスタベーションを行い、右側のスクリーンでは貴方が自分を弄っている間に閲覧していた動画が再生されるビデオを私は所有しています。
これからどんな悪いことが起きるのか心配ですか?私がマウスを1度クリックするだけで、この動画は貴方のソーシャルネットワークやメールの連絡先全てへと送信されます。
また、ご利用のメールの返信やメッセンジャーにもアクセスして動画を共有することだって可能です。
この状況を回避するために出来ることは 、$1650相当のBitcoinを私のBitcoinアドレスへと送金するだけです(方法が不明な場合は、ブラウザを開け「Bitcoinを購入」と検索するだけで分かります)。
私のbitcoinアドレス(BTCウォレット) は下記の通りです。: 1MUVfW9rF4KNKEwMdgaxJBtsSxpFCckkHA
お支払いの確認が取れ次第動画をすぐに削除し、もう2度と私から連絡を取ることはありません。
この取引が完了するまでに2日(48時間)の猶予がございます。
このメールが開封されると同時に私は通知を受信し、タイマーが始動します。
このメールと私のBitcoinのIDは追跡不可能なため、苦情を申し立てようとしても何も起こりません。
非常に長い間この件に取り組んできたため、 どんな隙も与えませんよ。
このメッセージについて誰かに話したことを私が感知すると、先ほども申し上げた通り、ビデオはすぐに共有されます。 |
説明も面倒なので、ご興味があれば自身で読んでみてください。
くだらない嘘しか書かれていませんが…(笑)
これらアダルトハッキングメールの特徴は、身代金として必ず身バレのしない仮想通貨である
ビットコインを支払い方法として要求してきます。
今回は、$1650相当と書かれています。
確か以前は$1350相当だったのでこのご時世に合わせ少し値上げしたようです。(笑)
おまけ
毎度のお話で恐縮ですが、アダルトハッキングメールと言えば、セットでワードサラダが
付いてきます。(笑)
ワードサラダなんて聞きなれないと思いますが、以前に特集を書いてありますので
ご存じなければこちらのブログエントリーを先にお読みになってください。
『詐欺メールに付き物』「ワードサラダ」とは?
で、今回のメールについていたのはこちらです。(集合体恐怖症の方は読み飛ばしてください)
スクロールバーが示す通り、この意味の分からない記号と数字が永遠に並べられています。
こんなことしたって。件名の[spam]が示す通り、受信サーバー側でしっかりとスパム判定されています。
まとめ
もうすでにご承知の通り、このメールの内容は全てフェイクですからけして信じないでください!
でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |