すべてウソ!忘れた頃にふらっと送られてくるのが「アダルトハッキングメール」 アダルトサイトでマルウェアに感染させトロイの木馬を使いデバイスの全権を掌握した上で アダルトサイトを鑑賞しながらの一人エッチの様子を動画に収めたと。 その動画をデバイス内の連絡先に拡散されたくなければ、ビットコインで身代金を支払えというもの。 もちろんそんなのは全て大うそです! そのメールがこちらです。  たいていの場合、「こんにちは」と馴れ馴れしく始まります。 いつも必ず身代金はビットコインでの要求で、これは仮想通貨のため足がつきにくいからなのでしょう。 そしていつもは日本円で19万円と書かれていたのが、今回はUSドルで$1600になっていますが。 これは、最近為替変動が大きいからでしょうか?(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 追加料金を避けるために債務を清算しましょう。」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 いつも受信者の気を引いたり、不安になったりするような件名がつけられています。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 今回の差出人は、身バレを防ぐため受信者メールアドレスが記載されています。 こんなことしてもおおよそバレるのにね…(笑)
ブラジルからのメールだったでは、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 ここも身バレ防止でしょうか受信者のメールアドレスが記載されていました。 | Message-ID:「A5CEAA661EC102D2B9DD1169B675A5CE@4UJ01V5MU3U」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from hosts-177-223-108-29.zaaztelecom.com.br (hosts-177-223-108-29.zaaztelecom.com.br [177.223.108.29])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 ここに記載のIPアドレスを紐解けば、おおよそ差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”177.223.108.29”について調べてみます。  どうやらこのIPアドレスには、”Received”に記載のあったように”zaaztelecom.com.br”と言うドメインが 割り当てられているようです。 このドメインは、”.br”が示す通りブラジルの国別ドメインが使われています。 調べるとこのドメインは、ブラジルにある「ZaaZ」というプロバイダーの持ち物のようです。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、やはりブラジルで「サンパウロ」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
ワードサラダ付き「アダルトハッキングメール」に漏れなく付いてくるのが「ワードサラダ」 これは、メールサーバーを混乱させるために付加される手法です。 それは、メールの表示形式をHTMLからテキスト表示に切り替えることで見えてきます。 詳しくはこちらのページで説明していますのでそちらを参考にしてください。 『詐欺メールに付き物』「ワードサラダ」とは? (ymg.nagoya) そして今回のワードサラダがこちら。  このような意味不明の文字がだらだらと続きます。 これで受信メールサーバーに備わったセキュリティーを突破しようとしているのです。 でも、残念ながら件名の「[spam] 追加料金を避けるために債務を清算しましょう。」が示す通り 文頭に”[spam]”(スパム)が付けられているので、うちのサーバーを突破することはできなかったようです。
まとめ今朝は、この件名と同じメールが6通も届いていました。 こんなの同じアドレス宛に大量に送っても仕方ないのにね…(笑) 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |