長すぎる件名 またもや「えきねっと」を騙るフィッシング詐欺メールの新種が登場。 内容は、例によって第三者不正利用を疑いリンクに誘い込もうとするテンプレ利用のもの。  またメール番号なんて付けて… メール番号の付いたメールにロクなメールはありませんよ! では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【重要なお知らせ】えきねっとアカウントの本人確認のお知らせ、情報を更新してください。メール番号:3578466」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 それにしてもこんなに長い件名って必要ですかね? もう少し簡潔にすればいいのにと思うのは私だけでしょうか? この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”えきねっとサポートセンター” <member@eki-net.com>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 上手く化けたつもりしょうか?… ”eki-net.com”は確かに「えきねっと」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 あれ?”eki-net.com”じゃなかったっけ?? では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「www@10-40-181-105.localdomain」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 あらら、いつの間にはドメインが”.localdomain”なんてあり得ないものに 書き変ってしまっています。 もうこの時点で”member@eki-net.com”なんてメールアドレスはウソ確定です。 | Message-ID:「20220822075610.0C8F713024F7@10-40-181-105.localdomain」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from 10-40-181-105.localdomain (unknown [152.32.144.77])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”152.32.144.77”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、「東京都庁」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 タグ見えちゃってますよ(笑) では引き続き本文。 客様各位: 最近の第三者による不正利用の急増に伴い、当社では「不正利用監視システム」を導入し、24時間365日体制でアカウントの使用を監視しています。この度、ご本人が使用しているか確認したい取引がありましたので、勝手ながら一部アカウントの使用を制限させていただきますのでご連絡させていただきます。 また、以下のアクセスとアカウントの使用確認にご協力ください。ご回答を得られない場合は、アカウントの使用制限が継続されることもございますので、予めご了承ください。 アカウントのご利用確認のお知らせについてはこちら お問い合わせ先 えきねっとサポートセンター TEL 050-2016-5000 受付時間 8時00分~22時00分 サイト運営・管理 JR東日本ネットステーション このメールは「えきねっと」より自動配信されています。 メール番号:M%{RAND_NUMBER_0}返信いただきましても対応致しかねますので、あらかじめご了承ください。 | 「客様各位:」から始まるこのメール。 普通は「客様各位」じゃなくて「お客様各位」ですよね。 それに詐欺メールでは時々見られるのですが、「{RAND_NUMBER_0}」ってのは 乱数を発生させるプログラムタグで、ここにメール番号を乱数を使って表示させようと 思ったので背負うけど、上手く動かなかったのでしょうね。(笑) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「アカウントのご利用確認のお知らせについてはこちら」って書かれた緑色の ボタンに張られていて、リンク先のURLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.eki-net.copr1.co” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  登録者は、「namegear」とあるので京都にあるドメイン登録サービスを行っている「Namegear」 リンク先サイトの運営者は、ここにドメイン登録の代行を依頼したようです。 このドメインを割当てているIPアドレスは”103.45.69.249” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  結局どっっかかんかで中国が絡んで来るんですね。 ピンが立てられのは、香港の「Kwai Chung(葵涌:きちょう)」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 まずはしっかりとウィルスバスターに遮断されてしまいました。  危険を承知で先に進めると  「Not Found」と書かれています。 下の行に「404 Not Found error」とも書かれています。 404エラーは、存在しないページへのアクセス時に表示されるHTTPステータスコード。 詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。 こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。 先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に 復活することが可能な状態です。 まとめ 私は「えきねっと」利用者ではないので騙されたくても騙されることはできませんが、 利用者の方は、くれぐれもお気を付けください。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |