NHKからのメール、件名から怪しすぎる
早いもので詐欺メール系のブログエントリーが1100本目となりました。
最近は加速しているようで、それだけフィッシング詐欺メールが多いと言うことですね。(;^_^A
さて、今回ご紹介メールは最近多いNHKプラスに関するもの。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 〔NHK放送受信料〕IDではチャージバック手続きができない旨の通知」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
それにしてもなんだか小難しい件名ですね。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"NHKサポートセンター" <system@nhk.or.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けているつもりでしょうけど…
”nhk.or.jp”は確かに「NHK」のドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
偽装に更に偽装を重ねる
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「jreast-co-jp@rm0vir.cn」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
あれ?”nhk.or.jp”じゃありませんでしたっけ?(笑)
もう偽装バレバレですな!
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Message-ID:「20220624083315285225@rm0vir.cn」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from xu (unknown [103.45.68.6])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”rm0vir.cn”について情報を取得してみます。
割当てられているIPアドレスが”121.37.88.46”となっていますが、これは本来”Received”と
同じでなければなりませんが、”103.45.68.6”と全く異なります。
”nhk.or.jp”も偽装でしたが、”Return-Path”まで偽装とか…(;^_^A
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”103.45.68.6”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、香港の「葵涌(Kwai Chung)」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
へたくそな日本語
では引き続き本文。
NHKプラスのご利用手続きありがとうございます。
私たちはあなたの最近の請求書を処理する時、システムは正常に料金を引くことができません。
その原因は、登録情報を変更したことにあるかもしれませんが、
私たちのサービスをよりよく利用するために、できるだけ早くあなたのIDを確認してください
以下のURLをクリックし、必要な項目の入力をお願いいたします。
https://pid.nhk.or.jp/account/regist/id/input1.do?receiptid=1daf6f8b6c7012aecb20dc97bea30c0d
このURLの有効期限は24時間です。24時間以内にアクセスし、入力まで終えてください。 |
件名も小難しいものでしたが、この本文もなんだかへたくそな日本語ですね。
「正常に料金を引く」なんて使いませんよね?
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本ツンに直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。
使われているドメインは”nhk.or.jp”とNHKの正規のものになっています。
もしかして本物?なんてそんなわけもなく、このリンクは当然偽装。
実際の接続先のURLはこちら。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”login.nhk-sidti.live”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
まず割当てているIPアドレスは”155.94.182.79”
このIPアドレスを逆引きすると。
このIPアドレスには別に”unassigned.quadranet.com”なんてドメインも割当てているようです。
このドメインの申請は、カリフォルニア州 ロサンゼルスのウェブ ホスティング会社「QuadraNet」
利用者がこのホスティング会社にドメインの申請管理を依頼しているようです。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。
NHKがこのような場所でウェブサイトをね…(笑)
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのは、NHKプラスのログイン画面。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください。
それにしても本物そっくりです。
まとめ
最近NHKに成りすますフィッシング詐欺メールが大量に流れています。
NHKに既にユーザー登録されている方なら別ですが、登録していないのにNHKからメールが届くのは
それは詐欺です。
NHKがこちらのメールアドレス知っているわけがありませんからね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |