「えきねっと」を騙る新種 週末と言えども詐欺メールは容赦してくれないようで、今朝も大量のクソメールが 私のメールボックスに届いております。 その中から今回は、この「えきねっと」を騙るもの。  「えきねっと」を騙るフィッシング詐欺メールは、大量に流れていますが、その大半がすぐに ログインしないとアカウントが削除されると脅すもの。 でも今回は、クレジットカードがセキュリティーチェックを通過できなかったのでリンク先で 再確認を促すものです。 では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【重要】異常ログイン通知」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 でも、本文にはクレジットカードがセキュリティーチェックを通過できなかったと書いてあるのに 件名には「異常ログイン通知」と… 今に始まったことではありませんが、件名と本文に乖離がありますね。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”JR東日本” <eki-net-info-@rlvt.cn>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 「えきねっと」さんには、”eki-net.com”って正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめな中国のドメインを使った メールアドレスでユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。 偽装は無いけど… では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「eki-net-info-@rlvt.cn」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20220611061145866715@rlvt.cn」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from rlvt.cn (unknown [137.220.188.212])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”rlvt.cn”について情報を取得してみます。  申請者は、私には読めない文字を含む漢字3文字の氏名の方。 申請の代行は中国企業のアリババに委託されています。 ”137.220.188.212”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”のIPアドレス”137.220.188.212”ですから全く同じなので差出人のメールアドレスに 偽装は認められません。 この中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”137.220.188.212”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ルックアップされたロケーションは、都心の新宿辺り。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 使われたホスティングサービスは、シンガポールの「BGPNET Global ASN」です。 2か所の「?」…こっちが「?」なんですけど… では引き続き本文。 「えきねっと」をいつもご利用してありがとうございました。 お支払い方法は、当社のセキュリティチェックを通過していないため、クレジットカード情報を 再確認する必要があります。 この問題が24時間以内に解決されない場合、不正行為のために利用される可能性があるので、 そちらのクレジットカードが永遠にロックされることになります。 ?ここをクリックしてログインしてください。 確認用アカウント なお、アカウントが退会処理された場合も、新たにアカウント登録(無料登録)していた だくことで すぐに「えきねっと」をご利用いただくことができますので、今後もご愛顧いた だけますよう よろしくお願いいたします。 Copyright ? JR East Net Station Co.,Ltd. All Rights Reserved. | 何故か「?」が2箇所もある不気味なメール。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「確認用アカウント」って書かれた緑色のボタンに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おや?「安全」と書かれていますね。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”infomation.17laigo.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請者は、香港にある「GatherNames」と言うレジストラ。 このドメインを割当てているIPアドレスは”107.174.121.233” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ルックアップされたロケーションは、アメリカワイオミング州「シャイアン」って街付近。 使われているプロバイダーは、この手のフィッシング詐欺サイトでよく使われている アメリカの「ColoCrossing」 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  ははぁ~ん、それでトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」では「安全」と 表示されたのですね。 でも、詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。 こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。 先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に 復活することが可能な状態です。 まとめ 今までは自動アカウント削除を騙ったものが多かった「えきねっと」を騙るメールの 第二弾って感じですかね。 今後はこちらにシフトするのかも知れません。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |