【特集】ANA騙り詐欺メール35通を分析:「搭乗便補償」ばかり送る理由は”生存確認”?

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今週はAmazon一強のお話をしましたが、実は2番手争いの中に、ちょっと不思議な動きをしているブランドがありました。ANA(全日空)です。今回はその35通を掘り下げて、「なぜこんなに対象者が狭そうな内容を、こんなに大量に送るのか?」という素朴な疑問から出発してみます。

【特集】ANA騙り詐欺メール35通を分析:「搭乗便補償」ばかり送る理由は"生存確認"?

Heartland-Lab (ハートランド・ラボ) 特別調査レポート

今週(8/22〜8/28)に受信したANA(全日空)を騙るメールは35通。件名を見比べると、実際に搭乗予定のある会員でなければピンとこない「搭乗便補償申請」を騙るものが半数以上を占めていました。しかし、搭乗便の遅延・欠航に遭遇して補償を申請する人は、ANA利用者全体からすればごく一部のはずです。この"対象者の狭さ"に、あえて注目してみました。

19通/35
が「搭乗便補償」系
6通/35
同一件名を同日連投
14種
類の送信者名を使い分け

■ その1:内訳を見ると「搭乗便補償」が主役

① 搭乗便補償申請系
19件
② 事前旅客情報・パスポート
4件
③ マイル有効期限系
4件
④ ポイント交換・登録系
4件
⑤ 当選・プレゼント系
2件
⑥ eチケット確認系
1件
⑦ 登録エラー対処系
1件

「マイル有効期限」「ポイント交換」はANA利用者なら誰にでも刺さる広い訴求ですが、「搭乗便補償申請」はその名の通り、実際に遅延・欠航に遭遇した搭乗者でなければ意味が通らない内容です。にもかかわらず、全体の過半数をこのパターンが占めていました。

■ その2:8/24に集中した同一件名の波状攻撃

8/22
2
8/23
3
8/24
15
8/25
6
8/26
4
8/27
5

8月24日(月)だけで15通、うち「【重要】申請者情報ご確認のお願い(ANA補償申請)」という全く同じ件名が6通連続で届いていました。送信者表示はすべて「ANA」で統一。Amazonが件名を毎回パラフレーズするのとは対照的に、こちらは同じ文面をそのまま繰り返し送りつける、力技のスタイルです。

■ その3:なぜ対象者が狭い内容を大量に送るのか

実際に搭乗便の遅延・欠航で補償を申請した経験のある人は、ANA利用者全体からすればごく一部のはずです。それなのに、なぜこれほど「搭乗便補償」の文面が大量に送られてくるのでしょうか。考えられる理由をいくつか整理してみます。

  • 送信コストがほぼゼロだから:スパムメールは1件あたりの送信コストが極めて低いため、「対象者を絞り込む手間」より「とにかく数を送る」方が効率的という、歪んだ経済合理性が働いている可能性があります。
  • 手持ちのテンプレートを機械的に消化しているだけ:マイル・ポイント(対象者が広い)と補償申請(対象者が狭い)が同じ送信元グループから混在して届いていることから、「効果を見極めて絞り込む」判断がされないまま、テンプレート一式を順番に送っている可能性も考えられます。
  • 「開封・クリックの生存確認」が目的の可能性:詐欺メール業界には、受信者がメールを開いたりリンクをクリックしたりする反応そのものを検知し、「生きているアドレス」としてリスト化する「生存確認」という手口が存在します。内容の的中率よりも、色々なパターンを試して「どのアドレスが反応するか」を調べることが目的なら、対象者が狭い内容を送ることの説明がつきます。

※これはあくまで観測データから導いた1つの仮説であり、断定はできません。ただ、内容の的中率を度外視した大量送信という行動パターンは、「反応の有無を見ている」という説と矛盾しない、ということは言えそうです。

■ ちょっと笑える小ネタ2つ

件名を1件ずつ見ていく中で、思わず二度見した誤字がありました。「【ANA】情報登録時にエラーが表示された場合の対処の対処について」——対処の対処とは一体何を対処するのでしょうか。おそらく「対処方法」と書きたかったのが、言い換え処理のどこかで壊れたものと見られます。

送信者表示名にも珍事がありました。「からのお知らせ(ANAマイレージクラブ)」——本来「◯◯からのお知らせ」となるべきテンプレートの、肝心の「◯◯」部分が抜け落ちたまま送信されています。急いで量産した副作用と考えると、なんとも人間味(?)のあるミスです。

■ その4:送信者名は14種類も使い分け

35通の送信者表示名を数えると、「ANA」「ANA航空券予約」「ANA予約センター」「ANAからのお知らせ」「ANA重要なお知らせ」「ANA公式」「ANA Japan」「ANA(全日本空輸)」「ANAマイレージクラブ」「ANAトラベル」「ANAお客様サポート」など14種類にも及びました。件名は使い回しつつ、送信者名だけを細かく変えることで、メールフィルターの「同一送信者からの連続受信」検知を回避しようとしている可能性があります。

■ 注意点と対処法

  1. 搭乗予定がなければ即削除:「補償申請」「事前旅客情報」等のメールは、実際に該当する予約がない限り無視して構いません。
  2. 心当たりのないメールを開いたりクリックしたりしない:「生存確認」の可能性を考えると、興味本位で開封すること自体がリスクになります。
  3. マイル・予約状況は公式アプリで確認:必ずANA公式アプリまたはブックマークした公式サイトから確認してください。
  4. 個人情報・口座情報は絶対に入力しない:特に「補償金振込先の登録」を求めるパターンは、口座情報を直接狙う悪質な手口が確認されています。

本レポートの結論

ANAを騙る35通のうち過半数が「搭乗便補償」という対象者の狭い内容で占められており、なぜこれほど非効率に見える手口が大量に送られるのか、という素朴な疑問から出発しました。反応を検知する「生存確認」の可能性も含め、内容の的中率より数を優先する構造が背景にあるのかもしれません。身近な人が騙されてからでは手遅れです。特にANAマイレージクラブ会員の方は、この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
※本記事の集計データは受信サーバーのハニーポットより生成されたものです。

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