【ANA】「補償金お振込先情報のご登録のお願い」は詐欺——先日既報の「補償申請期限切れ」詐欺と同一キット、今度は口座情報を直接狙う

みなさん、こんにちは。街のIT専門家、Heartland-Lab(ハートランド・ラボ)です。先ほどANAの補償申請「期限切れ」を騙る詐欺メールを解析しましたが、同じキットからもう一つ、より実害の大きいバリエーションが見つかりましたので続けてご紹介します。
ご覧の通り、このメールはANA公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族や職場のIT担当にも共有してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
件名:[spam] 【ANA】補償金お振込先情報のご登録のお願い 送信者:"ANAお客様サポート" <hselrrwu@mail05.xpj65600.com> (お客様) 様 平素よりANAをご利用いただき、誠にありがとうございます。 このたびは、運航障害に伴う補償のご申請をいただきまして、誠にありがとうございました。 ご申請内容を確認いたしましたところ、補償金のお振込に必要な「お振込先口座情報」が未登録であることが判明いたしました。誠に恐れ入りますが、このままではお振込のお手続きを進めることができかねますため、下記の情報をご登録いただきますようお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 受付番号:(伏字処理) ご登録いただきたい項目: ・金融機関名 ・支店名 ・口座種別・口座番号 ・口座名義(カナ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 口座情報のご登録ページ https://www.chouka5.com/SEycdLtg?uid=(伏字処理) ※ お手続きは3分ほどで完了します。 ※ ご登録が確認でき次第、審査を進めさせていただきます。 ANA補償サポートデスク All Nippon Airways Co., Ltd.

実際に届いたメールの画面
送信者名は既報の記事とは異なり「ANAお客様サポート」を名乗っていますが、これも他のバリエーション同様、実際のアドレスはANA公式ドメインとは無関係です。
■ 送信ルート及び偽装判定
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。受信者情報はすべて伏字処理しています。
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
送信元IP(Received-SPF: client-ip):35.213.246.83
HELO名:mail05.xpj65600.com
SPF認証:Pass DKIM認証:Pass
送信元IPを逆引きするとgoogleusercontent.comというホスト名が確認でき、既報の記事と同じくGoogleクラウド基盤から送信されていました。送信ドメイン自体は`mail05.xpj65600.com`と別物ですが、同一の攻撃グループが複数のGoogle Cloudプロジェクト・複数の使い捨てドメインを並行運用している構図がうかがえます。
■ フィッシングサイト詳細解析:既報記事と完全一致する誘導キット
メール内のリンクhxxps://www[.]chouka5.com/SEycdLtg?uid=(伏字処理)にアクセスすると、既報の「期限切れ」詐欺と全く同じURLパス「SEycdLtg」を使った、同じ「人間であることを確認」画面が表示されました。

既報記事と同一の「人間であることを確認」画面。ドメインは違ってもパス構造・デザインが完全に一致
今回はウイルスバスターによるブロック画面は表示されませんでした。これは誘導先ドメイン`chouka5.com`がまだ検知データベースに登録されていないためと考えられ、油断できないポイントです。この確認画面を通過すると、既報記事と同一デザインの偽ANA会員ログイン画面が表示されます。

既報記事と完全に同一デザインの偽ANA会員ログイン画面
誘導先ドメイン`chouka5.com`もCloudflareのネットワーク(anycast)を経由しており、IPアドレスから運営者の所在地を特定することはできません。ドメインを使い捨てながら、裏側のキット一式(確認画面・ログイン画面のデザイン・URLパス構造)を丸ごと使い回している点が、既報記事との決定的な共通点です。
💡 ここで!豆知識:「期限切れ」と「口座情報登録」の2段構え
同じキットから性質の異なる2種類のメールが確認されたことは、攻撃者が意図的に文面を使い分けている可能性を示しています。「期限切れ」で焦らせて偽ログイン画面へ誘導する文面と、「口座情報の登録」で直接金銭情報を狙う文面を並行して送ることで、受信者がどちらの状況に置かれていても対応できるようにしていると考えられます。手口の巧妙さというより、量産効率を優先した結果と見るべきでしょう。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 口座情報を絶対に入力しない:メール経由での口座情報登録要求は、実際に補償申請をした方であっても詐欺と判断してください。
- 補償金の受け取りに関する手続きは、必ずANA公式サイトの「補償のお申込みサイト」から、ブックマークまたは直接URL入力でアクセスしてください。
- 送信者表示が「ANAお客様サポート」等でも、実際のメールアドレスがANA公式ドメイン以外であれば偽物です。
- 万が一、口座情報を入力してしまった場合は、直ちに金融機関に連絡し、口座の凍結や不正利用の監視を依頼してください。
本レポートの結論
ANAを騙る今回の詐欺メールは、既報の「期限切れ」詐欺と同一キットを使いながら、今度は口座情報という直接的な金銭被害につながる情報を狙っていました。ウイルスバスターの検知が今回は確認できなかった点も踏まえ、より一層の注意が必要です。身近な人が慌ててリンクを開いてしまう前に、この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Burgundy














