【実録】「窓口の窓口」でご呈示ください?Amazonを騙る詐欺メールの不自然すぎる日本語を徹底解剖

お盆休みも明け、通販サイトへの注文や再配達の依頼が増えるこの時期。今回は、そんな「荷物を早く受け取りたい」という気持ちにつけこむ、Amazonを騙る詐欺メールをご紹介します。件名だけでなく、本文の日本語そのものに大きな違和感がある、分かりやすい実例です。
ご覧の通り、このメールはAmazonを装った真っ赤な偽物です。特に本文中の「窓口の窓口」という不自然な表現に注目してください。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
■ 詐欺メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
お品物のご引取りについて 平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 ご注文いただきました商品を、お近くの指定受取場所まで輸送いたしました。お手元にご用意いたしました引換番号を、窓口の窓口にてご呈示ください。 お引取りの際のご案内や引取番号のご了承につきましては、以下のボタンよりご参照ください。 [お引取り方法を確認する] 本メールは品物のお引取りに関するご連絡のため、送信しております。 本メールに心当たりのない場合は、本メールを破棄していただきますようお願いいたします。 本メールへの返信は受け付けておりません。

▲ 実際に届いたメール画面(画像提供:Heart)
この文面、何度読んでも 「窓口の窓口にてご呈示ください」 という部分が引っかかります。日本語として意味が通らず、同じ単語が意味なく重複しているのです。正規のAmazonがこのような文章を配信することはまずありません。
■ 送信ルート及び偽装判定
■ ヘッダー解析で分かったこと
送信元アドレスのドメイン:storiesoftherabbitkingdom.com(=「うさぎの国の物語」という意味の、Amazonとは無関係な英語ドメイン)
実際に送信に使われたサーバー基盤:Google Cloud(Googleが提供するクラウドサーバーサービス)上のサーバー
SPF(送信ドメイン認証):Pass
※SPFが「Pass」でも安全とは限りません。攻撃者は自分で用意した偽ドメイン自体にSPFを設定できるため、「Amazonのドメインになりすましていない」ことしか証明できず、正規のAmazonから送られたことの証明にはなりません。
■ 画像すら「借り物」だった
メール内のAmazonロゴ画像は、Amazonのサーバーではなく、無関係な第三者サイトのサーバーから読み込まれるように仕込まれていました。攻撃者はロゴすら自前で用意せず、他所のサイトを「間借り」して画像を表示させていたのです。
💡ここで! 専門用語をやさしく解説
■ SPFって何?
「このメールは、名乗っているドメインの持ち主が許可したサーバーから送られましたよ」ということを機械的に確認する仕組みです。あくまで送信元の「自己申告の整合性」をチェックするだけで、メールの内容が正しいかどうかとは関係ありません。
■ Google Cloud・DigitalOceanって何?
どちらも、企業や個人が自分のサーバーを持たずに借りられる「レンタルサーバー」のようなサービスです。世界中の非常に多くの企業が正規の目的で利用している一方、匿名で契約しやすいことから、詐欺師にも悪用されることがあります。
■ AS番号(ASN)って何?
インターネット上の「どの会社の回線か」を示す番号です。今回のフィッシングサイトのAS番号を調べたところ、DigitalOcean社(レンタルサーバー事業者)が管理する回線であることが分かりました。
■ フィッシングサイト詳細解析
■ 誘導先の詳細
誘導先URL(伏せ字):hxxps://aydinderebeldesi[.]com/kdi/ifsd
サーバー運営会社:DigitalOcean, LLC(レンタルサーバー事業者、AS番号14061)
所在地:シンガポール
脅威レベル:低(既にアクセス不能になっているため)
【サイトの状態】:当サイトで確認した時点で「ERR_CONNECTION_TIMED_OUT(接続がタイムアウトしました)」と表示され、既にサーバーが停止済み・またはブロックされている状態でした。詐欺サイトは短期間で使い捨てにされる傾向があり、今回もその一例とみられます。

▲ 誘導先URLにアクセスした際の画面(ERR_CONNECTION_TIMED_OUT)
サイトが既に停止していたとしても、同じ手口のメールが今後別のURLで再送されてくる可能性は十分にあります。「窓口の窓口」のような不自然な日本語を見分けるポイントとして、ぜひ覚えておいてください。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールが届いたら
- メール内のボタンやリンクは絶対にクリックしないでください。リンク先は情報を盗むための偽サイトです。
- 文章の不自然さをチェック:「窓口の窓口」のように、意味の通らない単語の重複や機械翻訳調の言い回しがないか確認しましょう。
- Amazon公式のメッセージセンターで確認:Amazon.co.jpにログインし、「アカウントサービス」→「メッセージセンター」から、本当にAmazonが送ったメールかどうかを照合できます。
- 公式の解説ページを参照:Amazonを装ったフィッシング詐欺メールによる被害を防ぐ3つのポイント(About Amazon Japan公式)
- 不審なメールを報告:Amazonアカウントをお持ちの方は「不審な連絡について報告する」ページから報告できます。
本レポートの結論
今回のメールは、件名や見た目こそAmazonらしく整えられていましたが、本文の日本語は「窓口の窓口」という単純な重複ミスで自ら正体を明かしてしまっていました。この夏、宅配・受取り系の件名だけを変えたばらまき詐欺が急増しています。少しでも文章に違和感を覚えたら、リンクはクリックせず、この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy














