DHLを騙る「関税1.99ドル」少額決済フィッシングに注意!差出人ヘッダーが壊れた粗悪テンプレート

本日最後にご紹介するのは、荷物の関税名目でわずか2ドル弱の支払いを求めてくる、少額決済型のフィッシングメールです。金額が小さいぶん油断しがちですが、作りの粗さも含めてじっくり見ていきます。
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
届いたメールの内容
DHLの本物のロゴ画像を外部サイトから読み込んで見た目だけ整えつつ、「追跡番号の荷物が税関手続き中で、関税1.99ドルの支払いが必要」という、少額決済でハードルを下げる典型的な手口でした。

実際に届いたメール本文の画面
※このメールは差出人ヘッダーの記述が壊れており、メールソフトによっては送信者欄に不自然な文字列が表示されます。画像内の送信者欄はマスク処理しています。
お客様各位 追跡番号 US789******46US のお荷物は現在税関手続き中です。関税が発生する品物が含まれており、通関のために支払いが必要です。 お支払い金額:1.99ドル 関税はウェブサイトからオンラインでお支払いいただけます。手順に従ってお進みください。 [情報を更新する] 注意:2~3回配達を試みても受取人が不在の場合、荷物は送信者に返送されます。 よろしくお願いいたします。 DHL EXPRESS カスタマーサービスチーム
メールの「差出人」情報は、本来「表示名」と「メールアドレス」を山括弧(< >)で区切って書く決まりになっています。今回のメールはこの山括弧の記述が一部欠けており、本来アドレス部分に入るはずだった文字列が表示名の続きとして扱われてしまいました。その結果、メールソフトによっては送信者欄に不自然な文字列が表示されたり、正しいアドレスとして認識されなかったりします。攻撃者側の作りが雑だったために起きた、意図しない表示崩れです。
誘導先サイトの実態
誘導先は無料ホスティングサービスの一角を間借りする形で、実体はAWS(アイルランド・ダブリン)上に置かれていました。クラウドの所在地であり、運営者本人の所在地ではありません。リンクをたどると、DHLの公式サイトを非常に忠実に再現した荷物追跡画面が表示され、入力欄には最初から追跡番号が埋め込まれた状態になっていました。

誘導先の偽サイト。公式サイトのデザインを忠実に再現し、追跡番号まで入力済みの状態で表示される
また、実際のリンクは1段階の転送ではなく、受信者ごとに異なる長い符号が付いた個別のページへさらに遷移する多段構成になっていました。本稿執筆時点で、この誘導先はまだ大手セキュリティベンダーに検知されていない、現在進行形の脅威です。
注意点と対処法
- 「たった1.99ドル」のような少額の請求ほど、深く考えずに支払ってしまいがちです。金額の大小にかかわらず、身に覚えのない請求は疑いましょう。
- 荷物の追跡や関税の支払いは、メール内のリンクではなく、公式アプリや検索して確認した公式サイトから直接行いましょう。
- 送信者欄の表示がおかしい、文字化けしている、不自然な文字列が混じっているメールは、それ自体が警戒すべきサインです。
- 誘導先の見た目が本物そっくりでも、URLのドメイン名が公式のものと一致しているか必ず確認しましょう。
- クレジットカード情報を入力してしまった場合は、速やかにカード会社へ連絡し、利用停止や再発行の手続きを行ってください。
金額が小さいからこそ、かえって疑いにくいのが少額決済型の手口の狙いです。「数百円だから」と流さず、荷物の追跡は必ず公式のルートから確認する習慣をつけましょう。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
参考:ip-sc.net(送信元IP) / ip-sc.net(誘導先サイトIP)
使用配色テーマ:Charcoal














