ANAマイレージクラブ「国内線ペア航空券10万円分を無料進呈」は詐欺——前回記事と同一サーバーIPを使い回す手口を特定

つい先ほど、ANAマイレージクラブを騙る詐欺メールをご紹介したばかりですが、その舌の根も乾かぬうちに、同じANAブランドを騙る別の詐欺メールが届きました。しかも今回は、調査を進めると前回の記事と思わぬ形でつながっていることが分かりましたので、続報としてお伝えします。
| 緊急性レベル | ★★★★☆ (4/5) |
| 偽装工作精度 | ★★★☆☆ (3/5) |
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:10万円相当の国内線ペア航空券を無料進呈!
差出人表示名:ANAのマイレージクラブ|からのお知らせ
送信元アドレス:media@resort.shoe.encyxm.info(ANAの公式ドメイン「ana.co.jp」とは無関係)
受信日時:2026年08月26日 00:10
送信システム:Novell GroupWise Internet Agent 18.5.0(前回とは異なる送信ソフト)
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
ご覧の通り、このメールもANAを装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
【お知らせ】ANAマイレージバンクとなります。(ご確認) 【ご案内】緊急ご案内(重要)! いつもANAグループのサービスをご利用いただき、心より御礼申し上げます。 特別プレゼント企画を、このたび実施いたします! ● 抽選ではなく、(重要) 100名様先着 ※に国内線ペア往復航空券を無料で差し上げます。です。 ※さらに,ご参加いただいた全員に、次回搭乗時に使える優先搭乗券も併せてプレゼント!|ご確認ください ■ 今回の特典内容 ◆ 国内線ペア往復券(希望の路線・期間で利用可) 価値は最大約10万円相当 ご利用期限:1年間が可能です ※■ 応募方法のでご確認ください 下の「今すぐ応募する」を押し、約1分の簡単なアンケートに答えるだけで完了します。 ■結果のご連絡 ご応募いただいた方全員に、約1週間以内にメールにて当選・落選の結果と、特典の受け取り方法をご案内いたします。のでご確認ください。 ※ ⚠ 先着100名様限定!お申し込みはお早めに(定員に達し次第終了)のでご確認ください。|会員向け ◎ 応募はこちら(無料)はこちら ※【ご注意】のでご確認ください ※本キャンペーンは2026年08月27日 時点の情報に基づきます。予告なく変更・終了する場合がございます。 ※当選された方へは1週間以内にメール連絡します。ANAマイレージバンクの会員番号が必要です(入会は無料)。 © 2026 All sfNippon wsiAirways Co., Ltd. All Rights Reserved.
実際に届いたメールの画面。差出人表示は「ANAのマイレージクラブ|からのお知らせ」を騙っている
前回の記事と同じく、今回も日本語がところどころ不自然です。「100名様先着」と言いながら「抽選ではなく」と念押ししたり、「のでご確認ください」で文が唐突に終わる箇所が何度も出てきたりと、機械的な文章生成の跡がうかがえます。「無料で差し上げます。です。」のくだりは思わず二度見してしまいました。(笑)
💡ここで! 今回もフッターに文字化けが
メール本文の一番下の著作権表示「© 2026 All sfNippon wsiAirways Co., Ltd. All Rights Reserved.」も、「All Nippon Airways」であるはずの部分が崩れています。前回ご紹介した記事とは挿入されている余計な文字の位置や種類が違いますが、テキストエディタに貼り付けてHTMLソースとして確認すると、同じように迷惑メールフィルターのキーワード検出をすり抜けるための文字挿入が見つかりました。挿入パターンが毎回変わるところから、自動的にランダム生成されている手口とみられます。
■ 送信ルート及び偽装判定
Receivedヘッダー解析(サーバー通過証明):
Received-SPF: Pass; client-ip=188.84.153.56; helo=resort.shoe.encyxm.info
【偽装判定】:
正規のANAからのメールは「ana.co.jp」ドメインから送信されます。本メールの送信ドメイン「resort.shoe.encyxm.info」はANAと一切関係のない、フィッシング目的で取得されたとみられるドメインです。
発信元ロケーション解析:
スペイン・カスティーリャ・レオン州バリャドリッド/Vodafone España(固定回線・DSL)
ロケーション詳細はip-sc.netにてご確認いただけます。
※前回記事(南アフリカの携帯回線)とは送信元の国も回線種別も異なります。攻撃者は毎回別の踏み台やレンタル回線を使い分けているとみられます。
■ フィッシングサイト詳細解析
メール内ボタンのリンク先(伏せ字):hxxps://encyxm[.]info/record/kw1q1uift87fsvw このURLへは絶対にアクセスしないでください。
最終的な着地サイト(伏せ字):hxxps://yjdsiol[.]cn/rlEIdbAG
【重大な一致】:着地サイトのURLパス「/rlEIdbAG」は、前回記事で解析した詐欺サイトのパスと完全に一致しています。さらにサーバーIPアドレスも、リンク中継サーバー(165.154.241.56)・着地サーバー(165.154.241.48)ともに前回記事とまったく同じでした。ドメイン名だけを使い捨てにしながら、同一のサーバー環境を使い回していることが分かります。
ASN/ホスティング事業者:AS142002 SCloud Pte Ltd(シンガポール登記)。ネームサーバーも前回同様「hichina.com」系列を使用。
ドメイン登録情報:「yjdsiol.cn」は中国の.cnドメインで、レジストラは阿里雲計算(万網)。2025年9月23日に登録されたばかりの新しいドメインで、登録者連絡先には使い捨てとみられるQQメールアドレスが使われていました。
誘導先URLへアクセスすると、ウイルスバスターが「安全ではない可能性があります」と警告してブロックする
警告を越えて進むと表示される、前回とほぼ同じ構成の偽ANAログイン画面(お客様番号・Webパスワードの入力欄)
偽ログイン画面のデザインは、前回記事でご紹介したものとほぼ同一です。サーバーIPが一致していることも踏まえると、同じフィッシングキット(詐欺サイト一式のテンプレート)を使い回し、メール文面と送信元だけを変えて次々に別キャンペーンとして送りつけていると考えられます。この画面に何か入力するのは絶対にやめてください。
■ 注意点と対処法
- URLをクリックしない:リンク先は情報を盗むための偽サイトです。「無料」「先着」「期間限定」といった煽り文句にも注意してください。
- お客様番号やパスワードを入力しない:万が一誘導先を開いてしまっても、情報は絶対に入力しないでください。
- 公式サイト・公式アプリから確認:キャンペーン情報は、必ずANA公式アプリまたはブックマークしたANA公式サイトから確認してください。
- 公式注意喚起の参照:ANAグループを装った詐欺メール・詐欺電話等にご注意ください(ANA公式)
- 万が一お客様番号やパスワードを入力してしまった場合は、速やかにANA公式サイトからパスワードを変更し、ANAマイレージクラブのサービスセンターへご連絡ください。
本レポートの結論
「無料航空券プレゼント」を装う今回の詐欺メールは、送信元こそスペインの固定回線と前回記事とは異なるものの、着地サイトのサーバーIPとURLパスが完全に一致しており、同一犯によるインフラの使い回しであることが判明しました。ANAブランドを騙るメールが立て続けに届いている状況ですので、少しでも「無料」「先着」を謳うメールには警戒してください。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Burgundy
















