【続報】国税庁・e-Tax「還付金の処理状況に関するお知らせ」詐欺——開封確認要求と偽装Receivedヘッダーの新手口を解析

確定申告シーズンでもないこの時期に、国税庁・e-Taxを騙る詐欺メールが届きました。実はこの件名、当サイトでは1年半ほど前にも一度取り上げたことがあります。今回はその「令和版・新インフラ版」ともいえる続報です。
| 緊急性レベル | ★★★★☆ (4/5) |
| 偽装工作精度 | ★★★★★ (5/5) |
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:[spam] 税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】
差出人表示名:文字化けした表示名(デコードすると「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を意図した文字列)
送信元アドレス:noreply@mail03.mgrrqon.cn(国税庁の公式ドメイン「nta.go.jp」「e-tax.nta.go.jp」とは無関係)
受信日時:2026年08月26日 08:26
送信システム:Sylpheed 3.8.0
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
ご覧の通り、このメールは国税庁を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです(一部文字化け含む)。
e-Taxをご利用いただきありがとうございます。 国税還付金の電子発行を開始しました。 令和8年度の税制改正等のうち、以下の申告手続について、追加及び修正を行い。 税制改正に伴い、税金の状況をわかりやすくするため。 E-Tax の個人納税アカウントを持つことを全員に義務付けています このメール受信後24時間以内に下記の専用リンクからE-taxアカウントをご登録ください。 ○ 注意事項 ・以下のリンクから案内に従ってE-tax個人アカウントの登録を行ってください。 ・案内メールの有効期限は2026年08月30日 23:55となりますので、有効期限内に確認を行ってください。 ・e-Taxの利用可能時間は、e-Taxホームページでご確認してください。 ⇒(リンクは危険なため掲載を省略します) e-Taxをご利用いただきありがとうございます。 ご提出された還付申告の処理状況について、ご連絡します。 詳細については、還付金処理状況をご確認ください。 ○ 注意事項 ・メッセージボックスのお知らせの内容の詳細を確認するためには、マイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要です。詳細は、「メッセージボックスのセキュリティ強化について」からご確認ください。 (以下、個人情報保護方針など正規サイトの文面をそのままコピーした長文が続く) 国税庁 〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1 法人番号7000012050002 国税庁Copyright © NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.

本文をよく読むと、前半は「E-Taxアカウントの登録」を求める文面、後半は「還付申告の処理状況」の案内文と、実は性質の異なる2つの文面が1通のメールの中に無理やり継ぎ接ぎされています。しかも「令和8年度の税制改正」と書きながら文末は令和6年度と書かれていた過去バージョンからの使い回しの跡もうかがえ、テンプレートを機械的に組み合わせて量産している様子が透けて見えます。国税庁のプライバシーポリシーの正規文面をまるごとコピペしている点は芸が細かいというか、悪知恵が働いているというか……(笑)
💡ここで! 「開封確認」の要求について
メールソフトによっては、このメールを開いた際に「差出人がこのメールの開封確認を求めています」というバナーが表示されます。これはヘッダーにDisposition-Notification-Toという項目が仕込まれているためです。本来はビジネスメールで「相手が読んだか確認したい」ときに使う一般的な機能ですが、詐欺メールで悪用されると、うっかり「開封確認を送付」を押した瞬間に「このメールアドレスは実際に使われている」という情報が攻撃者に伝わってしまいます。開封確認は絶対に送信しないでください。単に無視するか、確認ダイアログを閉じてください。
■ 送信ルート及び偽装判定
Receivedヘッダー解析(サーバー通過証明):
Received-SPF: Pass; client-ip=20.46.169.85; helo=mail03.mgrrqon.cn
【偽装判定】:
正規の国税庁・e-Taxからのメールは「nta.go.jp」ドメインから送信されます。本メールの送信ドメイン「mail03.mgrrqon.cn」は国税庁と一切関係のない、フィッシング目的で取得されたとみられるドメインです。
【偽装ヘッダーの発見】:
ヘッダーの中には、大手キャリア(au)やポータルサイト(goo.ne.jp)のメールサーバーを経由したように見せかける行が挿入されていました。実際の送信元はSPF認証済みのクラウド事業者(Microsoft Azure)から直接届いており、これらの経由記録は「大手企業を経由した正規メールらしく」見せかけるための偽装です。あわせて、実際の送信ドメイン向けとは別に「aliyun.com」(Alibaba Cloud)を装ったもう一つのDKIM署名も付与されており、二重に権威付けを試みています。
発信元ロケーション解析:
東京都渋谷区/Microsoft Corporation(Azure、クラウドホスティング用途)
ロケーション詳細はip-sc.netにてご確認いただけます。
※送信元自体はAzureの正規IPですが、これはクラウド上に立てた攻撃者の踏み台と考えられ、Microsoft本体とは無関係です。
■ フィッシングサイト詳細解析
誘導先URL(伏せ字):hxxps://soultempleacademy[.]com/Etax2/NTA/isuuse/UJ_APP/riecepstion/logsinInviduals
ドメイン登録情報:2025年9月3日登録、興味深いことに今回のメール送信のわずか2日前(2026年8月24日)に設定が更新されています。ドメインステータスは「Registered And No Website」=通常のWebサイトを持たない状態で、無関係の正規サイトが乗っ取られ、送信直前にフィッシングページを設置し直した可能性が高いです。
サイトサーバーIP:154.195.67.29(香港、Gnet Inc./Asline Limited、AS9294)
【サイトの構成】:アクセスするとまずhCaptchaによるボット判定画面が表示され、人間による操作を要求します。これは自動解析ツールやセキュリティ研究者を弾くための仕掛けです。突破すると、本物そっくりのe-Taxロゴ・マスコットキャラクターを使った偽トップページが表示され、「同意」を押すと氏名(フリガナ)・生年月日・電話番号・メールアドレスの入力フォームへ進みます。

アクセス直後に表示されるhCaptchaのボット判定画面。人間の操作を要求することで自動解析を回避する

本物そっくりのロゴとマスコットキャラクターを使った偽e-Taxトップページ

氏名・生年月日・電話番号・メールアドレスの入力を求める偽フォーム
正規のe-Taxのロゴやキャラクターをそのまま流用しているため、見た目だけでは非常に見分けがつきにくい作りです。前回の記事でご紹介した2025年版の詐欺サイトと比べても、hCaptchaによるボット判定を挟むなど、明らかに手口が進化しています。このフォームに何か入力するのは絶対にやめてください。
■ 注意点と対処法
- URLをクリックしない:リンク先は個人情報を盗むための偽サイトです。「24時間以内」「有効期限」といった期限を切った煽り文句は詐欺の典型的な手口です。
- 開封確認を送信しない:「開封確認を送付」のボタンは押さず、無視してください。
- 氏名や電話番号を入力しない:万が一誘導先を開いてしまっても、情報は絶対に入力しないでください。
- e-Taxからのメールかどうかは公式情報と照合:e-Taxが送信するメールは決まったパターンのみで、原則としてメール本文にURLを記載しません。詳細は国税庁公式サイトでご確認ください。
- 公式注意喚起の参照:不審なメールや電話にご注意ください(国税庁公式)
本レポートの結論
国税庁・e-Taxを騙る「還付金の処理状況に関するお知らせ」は、2025年3月にご紹介した詐欺の令和版・新インフラ版でした。開封確認要求によるアドレスの生存確認、大手キャリアを装う偽装ヘッダー、正規サイトを送信直前に乗っ取ってのフィッシングページ設置と、旧来の手口から着実に進化しています。税金・還付金のテーマは反響が大きく、今後も波状的に類似メールが届く可能性がありますので、このパターンを覚えておいてください。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy
















