【続報】国税庁・e-Tax「還付金の処理状況に関するお知らせ」詐欺——開封確認要求と偽装Receivedヘッダーの新手口を解析

HL-META: date=2026-08-26 | brand=国税庁 | sender_geo=日本 | site_geo=香港 | spf=pass | dkim=unknown | cloaking=unknown

確定申告シーズンでもないこの時期に、国税庁・e-Taxを騙る詐欺メールが届きました。実はこの件名、当サイトでは1年半ほど前にも一度取り上げたことがあります。今回はその「令和版・新インフラ版」ともいえる続報です。

【続報】国税庁・e-Tax「還付金の処理状況に関するお知らせ」詐欺:開封確認要求と偽装Receivedヘッダーの新手口

Heartland-Lab (ハートランド・ラボ) 専門調査レポート

「税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】」という件名は、2025年3月に当サイトで一度解析した詐欺メールまったく同じ件名です。国税庁・e-Taxを騙るこのパターンはこれまでも繰り返し観測してきた定番の手口ですが、今回は送信インフラも仕掛けも新しくなっています。結論は当然、国税庁とは一切関係のない詐欺メールです。

※重要:本文中のリンクを一つでもクリックすると、氏名や生年月日、電話番号などの入力を求める偽サイトへ誘導される恐れがあります。絶対にアクセスしないでください。

緊急性レベル ★★★★☆ (4/5)
偽装工作精度 ★★★★★ (5/5)

■ メールヘッダー解析(送信者情報)

件名:[spam] 税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】

差出人表示名:文字化けした表示名(デコードすると「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を意図した文字列)

送信元アドレス:noreply@mail03.mgrrqon.cn(国税庁の公式ドメイン「nta.go.jp」「e-tax.nta.go.jp」とは無関係)

受信日時:2026年08月26日 08:26

送信システム:Sylpheed 3.8.0

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載

ご覧の通り、このメールは国税庁を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。

※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです(一部文字化け含む)。


e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
国税還付金の電子発行を開始しました。

令和8年度の税制改正等のうち、以下の申告手続について、追加及び修正を行い。
税制改正に伴い、税金の状況をわかりやすくするため。

E-Tax の個人納税アカウントを持つことを全員に義務付けています
このメール受信後24時間以内に下記の専用リンクからE-taxアカウントをご登録ください。
○ 注意事項
・以下のリンクから案内に従ってE-tax個人アカウントの登録を行ってください。
・案内メールの有効期限は2026年08月30日 23:55となりますので、有効期限内に確認を行ってください。
・e-Taxの利用可能時間は、e-Taxホームページでご確認してください。

⇒(リンクは危険なため掲載を省略します)

e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
ご提出された還付申告の処理状況について、ご連絡します。
詳細については、還付金処理状況をご確認ください。

○ 注意事項
・メッセージボックスのお知らせの内容の詳細を確認するためには、マイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要です。詳細は、「メッセージボックスのセキュリティ強化について」からご確認ください。

(以下、個人情報保護方針など正規サイトの文面をそのままコピーした長文が続く)

国税庁
〒100-8978
東京都千代田区霞が関3-1-1
法人番号7000012050002
国税庁Copyright © NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.

本文をよく読むと、前半は「E-Taxアカウントの登録」を求める文面、後半は「還付申告の処理状況」の案内文と、実は性質の異なる2つの文面が1通のメールの中に無理やり継ぎ接ぎされています。しかも「令和8年度の税制改正」と書きながら文末は令和6年度と書かれていた過去バージョンからの使い回しの跡もうかがえ、テンプレートを機械的に組み合わせて量産している様子が透けて見えます。国税庁のプライバシーポリシーの正規文面をまるごとコピペしている点は芸が細かいというか、悪知恵が働いているというか……(笑)

💡ここで! 「開封確認」の要求について

メールソフトによっては、このメールを開いた際に「差出人がこのメールの開封確認を求めています」というバナーが表示されます。これはヘッダーにDisposition-Notification-Toという項目が仕込まれているためです。本来はビジネスメールで「相手が読んだか確認したい」ときに使う一般的な機能ですが、詐欺メールで悪用されると、うっかり「開封確認を送付」を押した瞬間に「このメールアドレスは実際に使われている」という情報が攻撃者に伝わってしまいます。開封確認は絶対に送信しないでください。単に無視するか、確認ダイアログを閉じてください。

■ 送信ルート及び偽装判定

Receivedヘッダー解析(サーバー通過証明):
Received-SPF: Pass; client-ip=20.46.169.85; helo=mail03.mgrrqon.cn

【偽装判定】:
正規の国税庁・e-Taxからのメールは「nta.go.jp」ドメインから送信されます。本メールの送信ドメイン「mail03.mgrrqon.cn」は国税庁と一切関係のない、フィッシング目的で取得されたとみられるドメインです。

【偽装ヘッダーの発見】:
ヘッダーの中には、大手キャリア(au)やポータルサイト(goo.ne.jp)のメールサーバーを経由したように見せかける行が挿入されていました。実際の送信元はSPF認証済みのクラウド事業者(Microsoft Azure)から直接届いており、これらの経由記録は「大手企業を経由した正規メールらしく」見せかけるための偽装です。あわせて、実際の送信ドメイン向けとは別に「aliyun.com」(Alibaba Cloud)を装ったもう一つのDKIM署名も付与されており、二重に権威付けを試みています。

発信元ロケーション解析:
東京都渋谷区/Microsoft Corporation(Azure、クラウドホスティング用途)
ロケーション詳細はip-sc.netにてご確認いただけます。

※送信元自体はAzureの正規IPですが、これはクラウド上に立てた攻撃者の踏み台と考えられ、Microsoft本体とは無関係です。

■ フィッシングサイト詳細解析

誘導先URL(伏せ字):hxxps://soultempleacademy[.]com/Etax2/NTA/isuuse/UJ_APP/riecepstion/logsinInviduals

ドメイン登録情報:2025年9月3日登録、興味深いことに今回のメール送信のわずか2日前(2026年8月24日)に設定が更新されています。ドメインステータスは「Registered And No Website」=通常のWebサイトを持たない状態で、無関係の正規サイトが乗っ取られ、送信直前にフィッシングページを設置し直した可能性が高いです。

サイトサーバーIP:154.195.67.29(香港、Gnet Inc./Asline Limited、AS9294)

【サイトの構成】:アクセスするとまずhCaptchaによるボット判定画面が表示され、人間による操作を要求します。これは自動解析ツールやセキュリティ研究者を弾くための仕掛けです。突破すると、本物そっくりのe-Taxロゴ・マスコットキャラクターを使った偽トップページが表示され、「同意」を押すと氏名(フリガナ)・生年月日・電話番号・メールアドレスの入力フォームへ進みます。

アクセス直後に表示されるhCaptchaのボット判定画面。人間の操作を要求することで自動解析を回避する

本物そっくりのロゴとマスコットキャラクターを使った偽e-Taxトップページ

氏名・生年月日・電話番号・メールアドレスの入力を求める偽フォーム

正規のe-Taxのロゴやキャラクターをそのまま流用しているため、見た目だけでは非常に見分けがつきにくい作りです。前回の記事でご紹介した2025年版の詐欺サイトと比べても、hCaptchaによるボット判定を挟むなど、明らかに手口が進化しています。このフォームに何か入力するのは絶対にやめてください。

■ 注意点と対処法

  1. URLをクリックしない:リンク先は個人情報を盗むための偽サイトです。「24時間以内」「有効期限」といった期限を切った煽り文句は詐欺の典型的な手口です。
  2. 開封確認を送信しない:「開封確認を送付」のボタンは押さず、無視してください。
  3. 氏名や電話番号を入力しない:万が一誘導先を開いてしまっても、情報は絶対に入力しないでください。
  4. e-Taxからのメールかどうかは公式情報と照合:e-Taxが送信するメールは決まったパターンのみで、原則としてメール本文にURLを記載しません。詳細は国税庁公式サイトでご確認ください。
  5. 公式注意喚起の参照:不審なメールや電話にご注意ください(国税庁公式)

本レポートの結論

国税庁・e-Taxを騙る「還付金の処理状況に関するお知らせ」は、2025年3月にご紹介した詐欺の令和版・新インフラ版でした。開封確認要求によるアドレスの生存確認、大手キャリアを装う偽装ヘッダー、正規サイトを送信直前に乗っ取ってのフィッシングページ設置と、旧来の手口から着実に進化しています。税金・還付金のテーマは反響が大きく、今後も波状的に類似メールが届く可能性がありますので、このパターンを覚えておいてください。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy

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