Amazon「返金完了のご案内」は詐欺メール!メール配信サービスMandrillを悪用、Azure送信×クローキングの手口を解説

お盆も明けて、そろそろ夏の疲れが出てくる頃でしょうか。今回は「返金完了」という嬉しそうな件名で届いた、Amazonを騙る詐欺メールをご紹介します。
ご覧の通り、このメールはAmazon公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
返金処理が完了しました いつもAmazonをご利用いただき、ありがとうございます。 下記のご注文について、返金処理が完了いたしました。 注文番号:702-9585578-157483 返金金額:¥9,280 返金方法:ご登録のクレジットカード 詳細はアカウントよりご確認ください。 [返金明細を確認する] カード会社により、反映まで数日かかる場合がございます。 このEメールは配信専用です。返信しないようお願いいたします。

実際に届いたメールの画面。注文番号や返金額まで具体的に記載されている
「返金完了」という、受け取って嬉しいはずの内容で警戒心を緩ませる手口です。注文番号や金額が具体的に書かれていると、つい信じてしまいそうになりますが、これらの数字はいずれもでたらめです。身に覚えのない返金通知ほど、まずは疑ってかかることが大切です。
■ 送信ルート及び偽装判定:正規サービスMandrillの悪用
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
Received-SPF解析:
Received-SPF: Pass; client-ip=40.74.70.49; helo=delivery.szpjs.com
送信元IPロケーション:40.74.70.49(Microsoft Corporation/Azure、大阪府大阪市)
SPF認証は「Pass」となっていますが、これは「delivery.szpjs.com」という、Amazonとは無関係な攻撃者側ドメイン自体の認証が通っているだけで、Amazon公式であることの証明には一切なりません。
さらにメールヘッダーを詳しく調べたところ、DKIM署名の中に「mandrillapp.com」という文字列が見つかりました。これは「Mandrill(マンドリル)」という、正規のメール配信APIサービス(Mailchimpが提供する法人向けメール送信基盤)の名前です。詐欺グループは、こうした正規サービスのアカウントを取得(あるいは他者のアカウントを不正利用)してメールを送信することで、SPFやDKIMといった送信元の正当性を示す仕組みを形式的に「合格」させ、迷惑メールフィルターをすり抜けようとしています。
■ 用語解説:ESP(メール配信サービス)の悪用とは?
企業が大量のメールを安定して届けるために使う配信代行サービスを「ESP(Email Service Provider)」と呼びます。SendGridやMandrillなどが代表例です。これらは本来正規のサービスですが、誰でもアカウントを作成できるため、詐欺師がアカウントを取得して悪用するケースが後を絶ちません。送信元の技術的な認証(SPF・DKIM)が通っていても、それは「ESP自体が正しく送信している」ことの証明にすぎず、「本物の企業から届いた」ことの証明にはならない点に注意が必要です。
■ フィッシングサイト詳細解析
■ 誘導リンクの解析
誘導先URL(伏せ字):hxxps://jinlingc.com/wiki/PqxuUPzMBA
リンク先IPアドレス:43.165.185.180
回線情報:Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited(Tencent Cloud、AS132203)
ロケーション表示:東京都渋谷区(※クラウドホスティングのため、実際の運営者所在地とは限りません)
【現在の状態】:調査時点で本リンクにアクセスすると、YouTubeへ転送される状態になっていました。詐欺サイトが閉鎖・凍結された際の典型的な挙動の一つですが、アクセス環境によって表示が変わる可能性もゼロではないため、油断は禁物です。
メールに添付されていた「63IJs.dapgp」というファイルについては、拡張子が不審なため当編集部では開封・解析していません。不審な添付ファイルは、開くだけで被害につながる恐れがあるため、絶対に開かないようにしてください。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 身に覚えのない返金通知は疑う:注文番号や金額が具体的でも、それだけで本物と判断しないでください。
- メール内のリンクや添付ファイルを開かない:Amazonからのメールかどうかは、メッセージセンターで確認できます。
- 公式アプリ・ブックマークからアクセスする:「返金明細を確認する」のようなボタンは押さず、必ずご自身でAmazon公式サイトにアクセスしてください。
- 不審なメールは報告する:Amazonアカウントをお持ちの方は「不審な連絡について報告する」ページから、アカウントをお持ちでない方は reportascam@amazon.com(受信専用)まで転送して報告できます。
詳しい見分け方は、Amazon公式の「Amazonを装ったフィッシング詐欺メールによる被害を防ぐ3つのポイント」でも詳しく解説されています。ぜひ一度目を通しておくことをおすすめします。
本レポートの結論
「返金完了」という嬉しい話題で油断させつつ、裏側では正規のメール配信サービスMandrillを悪用してフィルターをすり抜けるという、手口の巧妙化がうかがえる一件でした。身近な人が油断してからでは手遅れです。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Teal














