【KAGOYA】「8月分の請求に関するカスタマーサービス」は詐欺——正規メール配信サービスを経由、実際の投稿元はイタリアのホスティングサーバー

みなさん、こんにちは。街のIT専門家、Heartland-Lab(ハートランド・ラボ)です。月替わりのこの時期は「請求確定」を装う詐欺メールが増える季節でもあります。今回はKAGOYAを騙るメールですが、ヘッダーを掘り下げると想像以上に遠回りな経路が見えてきました。
ご覧の通り、このメールはKAGOYA公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族や職場のIT担当にも共有してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
件名:【KAGOYA】 8 月分の請求に関するカスタマーサービス 2026 送信者:"カゴヤ・ジャパン サポートセンター" <supportkagoya@●●●.co.jp>(実在する国内配信サービス事業者のドメインのため伏字処理) --------------------------------- 【KAGOYA】 8 月分の請求に関するカスタマーサービス 2026 --------------------------------- Dear (お客様) , カゴヤ・ジャパン サポートセンター です。 2026年 8 月分の請求料金が確定しました。 請求明細の詳細は、ユーザーコントロールパネルで確認できます。 今月支払い期限を迎えるすべての方へ(既に支払い済みの方も含む)? 請求明細書の更新については、別途ご連絡いたします。 請求内容の確認 ・ユーザーコントロールパネル https://www.airnowjapan.com/email KagoyaのユーザーIDとパスワードが必要です。 ・My Control Panel "Home" > "Billing amount column" KAGOYAメンバーシップアプリについて:https://www.airnowjapan.com/email ---------------------------------------------------------------------------- 請求情報メールについて:https://www.airnowjapan.com/email/ このメールは、Kagoyaサービスの利用料金が発生するお客様に送信されます。 個人情報保護のため、KagoyaユーザーIDの一部は伏せ字になっています。 ---------------------------------------------------------------------------- 無断複製を禁じます。 Copyright © 2007-2026 KAGOYA JAPAN Inc. All Rights Reserved.

実際に届いたメールの画面
なお、宛先のアカウント名は当ラボのドメイン内に実在しないもので、これまでも度々確認している「存在しそうなアカウント名を機械的に生成して大量送信する」総当たり型の一通と考えられます。文中には「個人情報保護のため、KagoyaユーザーIDの一部は伏せ字になっています」という説明がありますが、実際のメール本文にはそもそもユーザーID自体が一切表示されていません。存在しないものを「伏せ字にした」と説明してしまう、テンプレートの整合性ミスといえそうです。
■ 送信ルート及び偽装判定
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。受信者情報はすべて伏字処理しています。
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
送信元IP(Received-SPF: client-ip):216.230.254.45
HELO名:amout05.alpha-mail.net
SPF認証:Pass DKIM認証:Pass(署名ドメイン:実在する国内配信サービス事業者、社名非公開)
SPFで正規と判定されている送信元IPを逆引きすると、amout05.alpha-mail.netという、実在する国内のメール一斉配信サービス(ESP)のインフラであることが確認できました。DKIM署名も実在する第三者企業のドメインで正しく行われています。これだけを見ると「正規のメール配信サービスから届いた」ように見えてしまいますが、これは正規サービスの契約アカウントが乗っ取られたか、悪用されている可能性が高い状態です。実在する事業者への配慮から、当ラボでは具体的な社名の公開は控えます。
さらにヘッダーを掘り下げると、このメール配信サービスに実際に原稿を投げ込んだ送信元が記録されていました。
Received: from 626SchoolWindows (unknown [80.211.79.137])
by ltsub11.alpha-mail.jp (Alpha-mail) with ESMTPA id ... このIPアドレスを調べたところ、イタリア・トスカーナ州の大手ホスティング会社Arubaの専用サーバーであることが分かりました。ホスト名の「626SchoolWindows」も、どこかの組織や個人が使っていたWindows端末がそのまま乗っ取られたような印象を受けます。つまり実態としては、「イタリアの乗っ取られたサーバーが、盗まれたアカウント情報を使って国内の正規メール配信サービスにログインし、そこから大量送信した」という構図になっていると考えられます。
■ フィッシングサイト詳細解析
メール内のリンクhxxps://www[.]airnowjapan.com/email/activemail/にアクセスすると、KAGOYAのWebメールサービス「Active!mail」を精巧に模倣したログイン画面が表示されました。
| IPアドレス | 157.7.44.238 |
| プロバイダ | GMO Internet Group, Inc.(Heteml、AS7506) |
| ロケーション | 日本・東京都千代田区 |
| IP詳細解析リンク | 【ip-sc.netで確認する】 |
「Heteml(ヘテムル)」はGMOグループが提供する国内向けの一般的な格安レンタルサーバーサービスです。海外の怪しいサーバーではなく、比較的身近な国内レンタルサーバー上に偽サイトが間借りされていた点も、この手口の巧妙さの一部といえます。

KAGOYAのWebメール「Active!mail」を模倣した偽ログイン画面
💡 ここで!豆知識:「Active!mail」とは
Active!mail:レンタルサーバー会社が提供する、ブラウザ上でメールの送受信ができるWebメールサービスの一種です。KAGOYAをはじめ複数のホスティング事業者で採用されているため、契約者にとっては見慣れた画面である一方、攻撃者にとっても「本物らしく見せやすい」偽装対象として狙われやすい傾向があります。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- URLをクリックしない:「請求料金が確定しました」という業務連絡風の文面でも、リンク先は情報を盗むための偽サイトです。
- 送信元アドレスがKAGOYA公式ドメイン以外であれば偽物です。表示名だけでなく、実際のメールアドレスを必ず確認してください。
- 「一部が正規のメール配信サービスを経由している」からといって、安全とは限りません。差出人の実在性とリンク先を必ず確認してください。
- 請求内容の確認は、メール内のリンクではなく、必ずKAGOYA公式サイトのブックマークまたは直接URL入力でユーザーコントロールパネルにアクセスしてください。
本レポートの結論
KAGOYAを騙る今回の詐欺メールは、正規のメール配信サービスを経由し、実在企業のドメインでDKIM署名まで施すという手の込んだ作りでした。しかしヘッダーの奥をたどると、実際の投稿元はイタリアの乗っ取られたとみられるサーバーであることが判明しています。表面上の「正規っぽさ」に惑わされず、リンク先と差出人を必ず確認する習慣が大切です。この記事のURLをコピーして、身近なIT担当者にも共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Amethyst















