SBI証券宛のはずが中身は三菱UFJ銀行——ブランドが混線した詐欺メール、JAXA・墨田区も騙る捏造ヘッダーで偽装

日曜の未明、SBI証券を名乗るメールが届きました。しかし開けてみると中身は完全に別の銀行になりすましているという、なんとも珍しい一通でしたので解析します。
ご覧の通り、このメールはSBI証券・三菱UFJ銀行いずれを装っていても真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果をご家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。件名(SBI証券宛)と本文(三菱UFJ銀行)のブランドが一致しない点にご注目ください。
MUFG 三菱UFJ銀行 お客様各位 平素より三菱UFJ銀行をご利用いただき、誠にありがとうございます。 このたび、金融機関としての法令義務に基づき、お客様のご登録情報のご確認をお願い申し上げます。 ご登録の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)の有効期限が近づいている可能性がございます。 ご確認・ご更新が必要な項目 ・本人確認書類の有効期限 ・ご住所 ・お電話番号 ・メールアドレス お手続き方法 下記の公式サイトにログイン後、「お客様情報設定」よりお手続きをお願いいたします。 公式サイト(三菱UFJ銀行): https://mg-iwaimsdas.com/pc_0010021312/sp_001239u1923/login/loginUsername お手続き期限 2026年8月2日まで ※期限までにお手続きが完了していない場合、一部のお取引に制限がかかる場合がございます。 ※また、お客様の口座に付与されている「6,053ポイント」も失効・消滅となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。 ご不明な点がございましたら、三菱UFJ銀行コールセンターまでお問い合わせください。 今後とも三菱UFJ銀行をよろしくお願い申し上げます。 MUFG 三菱UFJ銀行

実際に届いたメールの表示画面。件名は「SBI証券」宛だが本文は完全にMUFG三菱UFJ銀行
■ 送信ルート及び偽装判定
表示上の送信者:“株式会社SBI証券” <info@mail38.nmgtywhyp.com>(件名はSBI証券だが本文はMUFG、という不一致)
送信元(SPF client-ip):35.236.182.63
HELO:mail38.nmgtywhyp.com
この送信元IPはGoogle Cloud Platform(台湾・桃園)に割り当てられたものです。SPF・DKIMともに「Pass(合格)」ですが、これは「mail38.nmgtywhyp.com」という送信元ドメイン自身への認証にすぎず、SBI証券・三菱UFJ銀行いずれの公式とも一切無関係です。
【注目の偽装ヘッダー】:ヘッダーの中継記録の中に、「mail.2fnv3dx20kr.jaxa.jp」(宇宙航空研究開発機構=JAXAを騙るホスト名)や「mail.zl4p3jbgg1.sumida.tokyo.jp」(東京都墨田区を騙るホスト名)という、実在する公的機関・自治体のドメイン名を勝手に組み込んだ、捏造された中継記録が確認できました。さらに`X-Mailer`欄には「UFJ・MUMSS-Mail」という、いかにも三菱UFJ系のメールソフトを思わせる名称が自称されています。実在組織の名前を勝手に紛れ込ませて信頼性を演出する手口は、直前に解析したETC利用照会サービスの記事とも共通するパターンです。
【メールキットの特徴】:本文のHTMLデザインは、背景が白で末尾の署名部分だけ背景が水色になっているテンプレートで、以前から確認している古参の詐欺メール作成キットの特徴と一致しています。
💡ここで! 用語をやさしく解説
ブランドの取り違え:詐欺メールは同じ文面のテンプレートを使い回し、件名や署名部分だけを差し替えて大量生産されることがよくあります。今回のように件名と本文のブランドが食い違ってしまうのは、その差し替え作業のミスが表に出てしまった例です。「文面が本物らしくても、件名と中身が一致しているか」も見分ける手がかりになります。
Receivedヘッダーの捏造:メールの中継記録は、送信側が自由に書き加えることができてしまいます。実在する官公庁や自治体のドメイン名を勝手に紛れ込ませることで、「信頼できる経路を通ってきたメールだ」という誤った印象を与えようとする手口が確認されています。
■ 誘導先の状況
誘導先URL(伏せ字):hxxps://mg-iwaimsdas[.]com/pc_0010021312/sp_001239u1923/login/loginUsername
現在、このドメインは名前解決不能(DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN)の状態になっており、既に失効・停止しているとみられます。日曜未明に届いて手続き期限が「本日中」という設定自体、被害者が冷静に確認する時間を与えない典型的な焦らせ戦術です。

■ 注意点と対処法
- 件名と本文のブランドが一致しているか確認する:今回のように件名と中身が食い違っている場合、内容を精査するまでもなく詐欺メールと判断できます。
- 送信元アドレスを確認する:SBI証券・三菱UFJ銀行いずれも、公式ドメイン以外からのメールは偽物です。
- メール内のリンクからログインしない:登録情報の確認が必要な場合は、必ず公式アプリまたはブックマークからアクセスしてください。
- 「本日中」「即座に失効」の脅し文句に注意:期限を極端に短く設定して焦らせる文面は典型的な詐欺の手口です。
本レポートの結論
今回のメールは、件名と本文のブランドが一致しないという、テンプレート使い回しの失敗がそのまま露呈した一通でした。実在する公的機関の名前を勝手に騙るなど手が込んでいる部分もある一方、肝心の中身がちぐはぐという、詐欺メール全体の「大量生産・粗製濫造」という実態がよく見える事例です。身近な方が慌ててリンクを開いてしまう前に、この記事のURLをコピーして、ご家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Navy















