Amazon配送なりすまし詐欺メール特集——件名・送信者名だけで133通の亜種を確認、代表例はゼロ幅文字混入と不審な添付ファイル付き

ご覧の通り、これらのメールはAmazonを装った真っ赤な偽物です。133通ものバリエーションが確認されているため、ご家族にもこの記事を転送して注意喚起してください。
■ 代表例:メール本文の再現
数あるバリエーションの中から、直近で届いた1通を詳しく解析します。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。
Amazon.co.jp 公式メール お客様のご注文 配達のお知らせ 日ごろよりAmazonのサービスをご利用くださり、感謝申し上げます。 お客様がご注文された商品を、本日中にお届けいたします。 配送先のご住所や受け取り方法(「置き配」)の設定にお間違いがないか、 配送状況確認ページよりご確認をお願いいたします。 なお、配達の際、担当ドライバーからお電話(050-3131-5572)または ショートメッセージにてご連絡させていただく場合がございます。 あらかじめご了承ください。 配送業者:Amazon.co.jp お問い合わせ伝票番号:FA085237247 [配送状況を確認する] ※本メールは自動送信しております。ご返信には対応しておりませんので、 あらかじめご了承ください。 ※Amazonポイントの有効期限やご注文履歴につきましては、 カスタマーサービスにお問い合わせください。
実際に届いたメールの画面(件名:[spam] ご注文商品 本日配達のご案内)

テキスト表示に切り替えた際のゼロ幅文字混入状況
💡 ここで!豆知識:見た目には映らない「ゼロ幅文字」の罠
■ 用語解説
ゼロ幅文字:画面上には何も表示されないのに、データとしては存在している特殊な文字のことです(例:U+200B、U+200C、U+200D、U+FEFFなど)。今回のメールでは、本文中の単語と単語の間にこうした文字が大量に埋め込まれていました。
発見方法:メールのHTMLソースを表示したり、本文をプレーンテキストエディタに貼り付けたりすると、こうした見えない文字が「​」のようなエスケープシーケンス(コンピューターが理解できる特殊な記号)として可視化されます。今回のメールも、ソース表示によってこの仕込みが判明しました。
なぜ仕込むのか:スパムフィルターは「同じ文面の大量送信」を検知して自動的にブロックしようとしますが、単語の間に見えない文字を挟むことで、コンピューターから見ると「毎回微妙に違う文章」に見せかけることができます。これにより、目視では全く同じ文面に見えても、検知をすり抜けやすくなるのです。
■ 送信ルート及び偽装判定
送信元IP(Received-SPF: client-ip):
34.125.112.148(SPF認証:Pass、HELO: floor.gt58pk.com)
【偽装判定】:
送信者表示名は「Amazon.co.jpデリバリー」となっていますが、実際のメールアドレスは「floor.gt58pk.com」というAmazonと一切関係のないドメインです。送信元IPはGoogleクラウド基盤(アメリカ)に割り当てられています。
また、ヘッダーの中継記録には「smtp.access-authentication.hiroshima.jp」「smtp.network-publisher.mizuho.jp」という、一見すると公的機関や金融機関を思わせるホスト名が挟まっていました。しかし実際の広島県や、みずほ関連のドメインとは一切無関係で、送信者側が用意した紛らわしい名称とみられます。実際に認証された送信経路をたどると、中国の大手ポータルサイトが提供するメール配信基盤(126.com)を経由していることが分かりました。もっともらしいホスト名が並んでいても、それだけで信頼できる証拠にはならないという典型例です。
発信元ロケーション:
アメリカ(Google Cloud Platformのデータセンター所在地)
詳細:【ip-sc.netで確認する】
■ 不審な添付ファイルについて
このメールには「Amazon.co.jp.zsdl」という、見慣れない拡張子のファイルが添付されていました。中身は暗号化されたようなデータであり、正体不明のファイルを開くこと自体に感染・情報漏洩のリスクがあります。拡張子が不審なため、当サイトでは開封・解析していません。不審な添付ファイルが付いたメールを受け取った場合は、開かずに削除することを強くおすすめします。
■ フィッシングサイト詳細解析
誘導先URL(伏せ字):hxxps://imm5713[.]com/wkkYSjSoiD.gr.jp
このドメインへのアクセスを試みたところ、現時点では名前解決自体ができない状態(サイトが存在しない状態)になっていました。フィッシングサイトが短期間で使い捨てられ、すでに閉鎖された後の姿と考えられます。
誘導先サイトはすでに閉鎖済みで、アクセスできない状態だった
ただし、サイトが閉鎖されているのはこの1通・このドメインに限った話です。攻撃者は次々に新しいドメインへ切り替えながら送信を続けているため、「このURLは死んでいるから安全」と考えるのは禁物です。
■ 件名・送信者名バリエーション一覧(133通)
今回の集計期間中に確認した「配送」テーマのAmazonなりすましは、件名・送信者名の組み合わせを変えながら大量に届いていました。主なパターンは以下の通りです。
■ よく使われる件名パターン
- 【お届け予定】ご注文商品の配送状況および受取方法の確認(最頻出)
- 【配送実施のご案内】お客様のご注文商品
- 【お届け案内】ご注文商品が本日到着いたします
- お客様のご注文 本日配達のご連絡
- 本日お届け予定のご注文につきまして
- 【本日配達】ご注文のお届け状況のご案内
- 置き配設定のご確認をお願いいたします
- ご注文商品 本日配達予定のお知らせ
- 【本日配達のお知らせ】ご注文商品をお届けします
- 【配送ご連絡】ご注文商品は本日到着予定です
- 本日のお届けに関するお知らせ
- 【配送確定】本日中にご注文商品をお届けします
- 配達日程確定:ご注文商品は本日到着です
- ご注文いただいた商品の本日お届けにつきまして
- 配送手配完了のお知らせ
■ よく使われる送信者表示名パターン
- 【Amazon】配送状況のお知らせ
- 【自動送信】Amazonカスタマーサービス
- Amazon配送センター
- Amazon.co.jp(自動送信メール)
- Amazon.co.jp 配送について
- Amazon.co.jp デリバリー
- Amazon.co.jp 配信システム
- アマゾンサポート
- 自動配信
件名・送信者名をこれだけ細かく変えているのは、スパムフィルターの学習・検知を回避するための工夫と考えられます。「見たことのない件名だから大丈夫」ではなく、「配送」「お届け」というテーマ自体を警戒する視点が重要です。
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- 送信元アドレスを確認:表示名が「Amazon」でも、実際のメールアドレスがamazon.co.jp以外であれば偽物です。
- 不審な添付ファイルは絶対に開かない:見慣れない拡張子のファイルは、開かずに削除してください。
- 配送状況は公式アプリで確認:メール内のリンクではなく、必ずAmazon公式アプリまたは公式サイトのブックマークから確認してください。
- 同じテーマの件名が何種類届いても慌てない:件名・送信者名を変えているだけで、正体は同じ詐欺キャンペーンです。
本レポートの結論
Amazonの配送・受け取り通知を装う詐欺メールは、件名・送信者名を細かく変えながら133通ものバリエーションで届いていました。代表例ではゼロ幅文字による解析妨害や不審な添付ファイルまで確認されており、手口は年々巧妙化しています。身近な人が慌ててリンクや添付ファイルを開いてしまう前に、この記事のURLをコピーして、ご家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Charcoal














