どの口が言ってるんだ! 相変わらず「えきねっと」に成りすましたフィッシング詐欺メールが後を絶ちません。 今日もこんなメールが届きました。  書かれているのは、私のアカウントがサイバー犯罪に関与しているためアカウントを制限したとのこと。 12時間以内に情報提供をしないと司法当局に通報すると言った内容。 ってか、そう言うお前が犯罪者だろうにどの口が言ってるんだ… では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【重要】アカウントセキュリティについて」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”eki-net” <info@eki-net.com>」 ”eki-net.com”は確かに「えきねっと」のドメインですが、件名の”[spam]”を見せられた後では 全く信じられませんね。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 すぐにバレたアドレス偽装 では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<jreast-update@yipin1688.cn>」 あららもうバレちゃいましたね。 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが全く違うメールアドレスが かかれています。 | Message-ID:「<20220424071356412776@yipin1688.cn>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from hxghkqkj (unknown [103.45.69.204])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”eki-net.com”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  ”184.28.110.129”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”に書かれているのが”103.45.69.204”ですから全く異なるので、この方はやはり アドレス偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! ”Received”のIPアドレス”103.45.69.204”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられたのは、「香港荃湾区(せんわんく)」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サイトは稼働中 では引き続き本文。 日頃より「えきねっと」をご利用いただきありがとうございます。 ——————– お客様のアカウントがサイバー犯罪による不正利用に関与していることを当社が発覚し、 アカウントが制限されました。 12時間以内に関連情報を提出してください。提出するには、以下のリンクをクリックしてください。 ——————– 「えきねっと」 ttps://www.eki-net.com/ ——————– 制限時間を超えた場合は、司法当局にアカウント情報を提出します。 ご不便をおかけして申し訳ございません。 ——————– | 「制限時間を超えた場合は、司法当局にアカウント情報を提出します」なんて恐ろしいことが 書いてありますね。 「そういうお前は何やっているんだ!」と言いたくなります。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、本文に直書きされています。 リンク先のURLで使われているドメインは再び「えきねっと」の正規ドメイン”eki-net.com”ですが これは当然ウソ。 実際にリンクされるURLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「詐欺サイト」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、”ekl-netto.xyz” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスは”107.174.93.129” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 ピンが立てられのは「テキサス州ダラス」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  ご覧の通り「えきねっと」のログインページです。 もちろん偽のサイトですから絶対にログインしたりしないでください。 まとめ メールアドレスも偽サイトのURLもどちらも偽装されていました。 これらは立派な犯罪! 人のアカウントをどうのこうの言う前に自分の方がよっぽど司法当局に訴えられますよ。 とにかく「えきねっと」ってメールを見たらみんな詐欺メールのつもりでいてください! いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |