本人確認だってさ週明けの今朝は、相変わらずフィッシング詐欺メールがわんさかと届いております。 そんな中で今回はこちらのメールにスポットを当ててみたいと思います。  このメールは「三井住友銀行」に成りすまし、大胆にも何の理由も無く法令をちらつかせ 個人情報を取得しようとするフィッシング詐欺メールです。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【三井住友SMBCダイレクト】本人確認のお知らせ」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”三井住友銀行” <SMBC_service@dn.smbc.co.jp>」 ”smbc.co.jp”は確かに「三井住友銀行」のドメインですが、件名の”[spam]”を見せられた後では 全く信じられませんね。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
差出したのはレンタルサーバー「WebARENA」のユーザーでは、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<qanlny@ghvzj.asia>」 早速ボロが出ましたね! もう”smbc.co.jp”はどこかに消えちゃいましたね(笑) ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 普通なら差出人と同じメールアドレスになるはずですが… | Message-ID:「<F1F9B23B37BA485AAA9A33B746F3D5F2@ghvzj.asia>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from ghvzj.asia (unknown [116.80.75.210])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
まずは、”smbc.co.jp”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか? 
”23.216.94.122”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”に書かれているのが”116.80.75.210”ですから全く異なるので、この方はやはり アドレス偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! 今度は、このIPアドレスにどんなドメインが割当てられているか逆引きしてみましょう。 
このIPアドレスには”indigo.static.arena.ne.jp”ってドメインが割当てられているようです。 ”arena.ne.jp”は、NTTPCコミュニケーションズが提供するレンタルサーバー「WebARENA」のもの。 この差出人は、このレンタルサーバーのユーザーって事なのでしょうね。 ”Received”のIPアドレス”116.80.75.210”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
ピンが立てられたのは、「東京都千代田区内神田」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
安全なわけがないでしょ!?では引き続き本文。 三井住友銀行SMBCダイレクトご利用のお客様 いつも三井住友銀行をご利用いただきありがとうございます。 本人確認等に関する各種法令に基づき、お客さまのお名前とご住所などを確認させていただく必要がございます。恐れ入りま すが、以下へアクセスの上、個人情報の確認にご協力をお願い致します。 |
「恐れ入りま」で改行されている不思議な本文。 いくら法令に基づくって言ったって、突然送られてきたメールで個人情報を確認するって 絶対にあり得ません! このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは本文に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。 
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。 
いやいや、ちょっと待った! このようなフィッシング詐欺サイトが安全なわけないでしょうに… 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”direct.smbc.co.jp.jnmjyj.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 

持ち主は、シンガポールにあるレジストラでした。 このドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.144.10” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカであるロサンゼルス近郊のリトルトーキョーにほど近い場所。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 
偽のサイトかな?と思ってふとアドレスバーを見ると”https://www.smbc.co.jp/” これ本物の三井住友銀行のサイトじゃん!! どうやらリダイレクトでここにつながったようです。 詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。 こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。 先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に 復活することが可能な状態です。
まとめ突然のメールで、各法令によりなんて言いながら個人情報を抜き取ろうとするのは 間違いなく詐欺の手口です。 こうしてしっかりと内容を確認すれば本物からではないことは分かるはず。 怪しいと思うか思わないかは論外にして、特に金融機関からのメールは最初から疑いの 目を持って相対してください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |