久々のMyEtherWallet
久しぶりに見つけたんで早速(笑)
イーサリアムのウォレットであるMyEtherWallet(マイイーサウォレット)を騙ったフィッシング詐欺メール。
無料でトークンが貰えると嘘を書いて詐欺サイトへ誘導します。
このメールに出てくるチリーズ(Chiliz)とは、海外サッカーなどのスポーツクラブとそのファンをつなぐ
プロジェクトと、そのプロジェクトで用いられる仮想通貨の名称です。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 無料でトークンがもらえるイベント、30000個のCHZトークンを受け取ることができます」
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Chiliz $CHZ" <info_jp@chiliz.com>」
”chiliz.com”は確かに「Chiliz」のドメインですが、件名の”[spam]”を見せられた後では
全く信じられませんね。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
やっぱり偽装
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<info_jp@chiliz.com>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
|
Message-ID:「<2C56D0ED407C29C7BE7921B08CFE87D1@mrauxz.org>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
|
Received:「from mrauxz.org (unknown [121.226.226.250])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
|
まずは、””について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
”104.26.8.93”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に書かれているのが”121.226.226.250”ですから全く異なるので、この方はやはり
アドレス偽装。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”Received”のIPアドレス”121.226.226.250”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、「中国江蘇省縦湖」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
30000個なの?5000個なの?どっち??
では引き続き本文。
スポーツとエンターテイメントで世界をリードするブロックチェーン・フィンテックプロバイダ
5000個のCHZトークンを受け取ることができます。 |
あれ?件名には「30000個のCHZトークンを受け取ることができます」って書いてあったけど
ここには5000個って…あれは嘘なの?
このメールの目的はリンクに誘い込むことなのでそんなのどーで良いんですよね(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは本文に直書きれていてますが、これは嘘。
本当のリンク先はリンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.myetherwallet.icu”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
持ち主は、中国北京市の方
このドメインを割当てているIPアドレスは”143.92.42.39”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは「香港上環(じょうかん)」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
「このサイトは安全に接続できません」と書かれています。
「ERR_SSL_PROTOCOL_ERROR」って書いてあるので、サイトが閉鎖されたとか
一時停止たのではなく、SSLに関連したエラーにより接続がブロックされた感じですね。
画面脇にもウイルスバスターからの警告が表示されました。
おまけ
このメールにはサラダがおまけでついていました。(笑)
本文以外にヘッダーとフッター部分に意味のないアルファベットや数字が書かれていますよね?
これ、「ワードサラダ」と言われる技法。
なんの意味が有るのかと言うと、意味の分からない文字列を並べることで、サーバーに備えられた
スパムフィルターと言う迷惑メールを仕分けするセキュリティーを混乱させ、迷惑メールを分別
されないように受信者にメールを届ける手法。
でも、件名の[spam]が示す通り、残念ながらうちのサーバーには無効だったようです。
MyEtherWalletに絡むフィッシング詐欺メールにはいつもこのサラダが付けられていますね。
このような件名と本文の内容が乖離しているメールに騙される方は少ないと思いますが、
これ以外にもおかしなメールが多いのでくれぐれもお気を付けください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |