”paypay-bank.com”はPayPay銀行のものではありません 「PayPay銀行をご利用のお客様へ」と、PayPay銀行ユーザーではない私に送られてきました。 それも仕事用のメールアドレスに…  書いてあるのは、例によって第三者不正利用を疑う内容。 では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【PayPay銀行】お客様への重要なお知らせです。」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「PayPay Bank <info@paypay-bank.com>」 使われているドメインが”paypay-bank.com” それらしいドメインを使ったメールアドレスですが、これ、本当にPayPay銀行のものなんでしょうか? これは、PayPay銀行のサポートサイトで掲示されているPayPay銀行が発信するメールのドメイン一覧。 ”paypay-bank.com”なんてこの中にありませんね。(笑) 偽装するならするでしっかりしらべてからにすればよいのにね。。。  あれもこれも嘘ばっか! では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<root@memberscard.shop>」 なんだ、差出人の本当のメールドメインはこれだったのか。 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20220419020637.DB0D1A9786A@mail.memberscard.shop>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from mail.memberscard.shop (unknown [45.116.214.174])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”memberscard.shop”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  って、これも偽装かい! ”Received”のIPアドレス”45.116.214.174”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられたのは、「香港湾仔(わんし)」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サイトの危険性が未評価って(汗) では引き続き本文。 PayPay銀行をご利用のお客様へ いつもPayPay銀行をご利用いただき、誠にありがとうございます。 このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がございますので、 誠に勝手ながら、カードのご利用を一時制限させていただき、ご連絡させていただきました。 つきましては、下記よりご本人様のカードのご利用内容についてのご確認をお願いいたします。 | もう何度も何度も見てきたこのくだり、暗記できてしまいました。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「カードのご利用確認のお知らせについてはこちら」って書かれたところに張られていて リンク先のURLがこちらです。  当然、このサイトのドメインも先ほどのPayPay銀行のサポートサイトで掲示されているPayPay銀行が 発信するメールのドメイン一覧にもありません。 このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”login.paypay-banks.top” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  持ち主は、マレーシアクアラルンプールにある「Whoisprotection.cc」ってレジストラ。 そしてドメイン管理は、シンガポールにあるプロバイダー「webnic.cc」 このドメインを割当てているIPアドレスは”103.13.222.162” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは「韓国ソウル」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 無防備に放置されているリンク先のサイトに安全な方法を利用し調査目的で訪れてみました。 やはりセキュリティソフトにブロックされることなくあっさり表示されたのはこのページ。  詐欺サイトですから絶対にログインしてはいけません。 まとめ 特に金融機関から届く第三者不正利用を疑ったメールは要注意! メールアドレスにあるドメインが本当にその金融機関のものか、リンク先のURLのドメインも同様に その金融機関のものかを必ず確認するようにしてください。 特に詐欺サイトのURLは、偽装できませんのでそこで偽者かどうか判断してください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |