ジャックスカードが中国ドメインで?!
4月最初の日曜日、外は花散らしの雨がしとしと降っていて肌寒く感じます。
さて、次の話題は、ジャックスカードに成りすましたフィッシング詐欺メール。
なんだかたくさん活字が書いてありますね。
では、このメールもプロパティーから見ていきます。
件名は
「[spam] 【ジャックスインターコムクラブ】お取引のご確認」
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「JACCS株式会社ジャックス <jaccs-service@g343m98q.cn>」
「株式会社ジャックス」さんには、れっきとした”jaccs.co.jp”ってドメインをお持ちです。
それなのにこのような数字とアルファベットを組合わせた”g343m98q.cn”なんて中国の
トップレベルドメインを使ったメールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて
言語道断です!
皆さんは、ここに気づいてください!
メールアドレスに偽装なし
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<jaccs-service@g343m98q.cn>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「<20220403065030745765@g343m98q.cn>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from g343m98q.cn (unknown [134.122.196.176])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”g343m98q.cn”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
このドメインを割当てているIPアドレスは”134.122.196.176”と出ました。
”Received”のIPアドレス”134.122.196.176”と同じものなので、偽装はありませんでした。
このIPアドレスは、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、千代田区九段付近。
気のせいか、最近この地図をよく見るような気がします。
URLに偽装あり
では引き続き本文。
いっぱい文字が書かれていますが、要は第三者不正利用の疑いがあるのでリンクへ行き
利用確認をしてくれと言った内容です。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは本文に直書きされていますが、実はこれ真っ赤なウソ!
本当のリンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「詐欺サイト」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.jcass.co.jp-services-traniid-0001-0001n.hotjham.cn”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
持ち主は、私には読めない文字を含む漢字3文字の氏名の方。
ドメインの管理は中国のアリババに委託されているようなのでその国の方でしょう。
このドメインを割当てているIPアドレスは”204.44.75.236”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い所。
みてください、ここでもこのIPアドレスは危険な物とされており、脅威のレベルは「高」で
その詳細は「Webによるサイバーアタック」と書かれています。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
残念ながら、サイトは既に閉鎖されてしまったようです。
但し安心はできませんよ!
調査の通り、IPアドレスは現在のドメインを割当ててありますから、スイッチを押せば
いつでも再開できる状態。
いつまた稼働させるか分かりませんから注意が必要です。
まとめ
フィッシング詐欺サイトの旬は本当に短いものです。
でも、ウェブサーバーに割当てるドメインを転々と変えてすぐにまた別のドメインで
同じサイトを再開しますから要注意ですね。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |