『ろうきん』と同一犯っぽい感じ
いつもご覧くださりありがとうございます!
前週の『ろうきん』に続き、また新たな標的『農業協同組合(以降JA)』にも照準を当てたようです。
私のところにこのようなメールが届いていましたので早速ご紹介していこうと思います。
先週の『ろうきん』を引きずっているのか、メールアドレスのアカウント名(@より前)には、JAのはずがなぜだか『rokinbank(ろうきんバンク)』と記されています。それにドメイン(@より後ろ)にはJAには全く関連の無い”putianxny.com”なんてドメインが使われていますね。
そしてメールの後半の空白部分、確かこちらのメールでも同じように意味の無い空白が空いていましたよね?
『詐欺メール』『【労働金庫】【要返信】お客様の直近の取引における重要な確認について』と、来た件
その時と同様にHTMLで表示されたこのメールをTEXT表示に切り替えてみます。
ああ、全くこの時と同じ文面があぶりだされてきました。
薄々は気付いていましたが、これらの詐欺メールはどうやら同一犯の仕業のようです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『[spam] 【農業協同組合】振込(出金)、ATMのご利用(出金)利用停止のお知らせ』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は『"農業協同組合" <rokinbank@putianxny.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
『ろうきん』と同じ発信地
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail1.putianxny.com (unknown [203.138.144.238])』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くしたものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレス”203.138.144.238”は、差出人が利用したメールサーバーの情報でこれを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、『ろうきん』と同様JR神田駅西側付近。
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。
そして送信に利用されたプロバイダーは、『ろうきん』の物とは異なるNTT系の『Simpleia』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバーを介して届けられたようです。
最初の一行からさっぱり意味不明
では引き続き本文。
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本メールはお客さまの生体情報を利用登録することをご利用され、ログイン異常によって、振込(出金)、ATMのご利用(出金)が一時利用停止されました。
提携企業サービス商品のご案内を配信登録されているお客様にお送りしています。
※※農業協同組合 ログイン異常確認済環境のご案内です。
※リンクをクリックすると農業協同組合のサイトに遷移します。
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お客様の農業協同組合はセキュリティ強化手続きが完成していません。
安全のためサービスを振込(出金)、ATMのご利用(出金)が一時利用停止しました 。
ご不便をおかけすることとなりますが、ご理解賜りますようお願い申しあげます。
以下の通りでございます。振込(出金)、ATMのご利用(出金)が一時利用停止の制約が解除手続きしてください。
▼解除手続 |
ごめんなさい、最初の一行から何言っているのか全然入ってきません…(^^;)
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『▼解除手続』って書かれたところに付けられていて、
そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』で検索するとその危険度はこのように評価されていました。
おやおや?
未評価ですと!?
『Norton Safe Web』でも確認しましたが、同様の評価でした。
どうやらまだ新しくて評価対象にされていないようですね。
危険なので私の方から評価変更を依頼しておきます。
このURLで使われているドメインは”kbhushan.com”
このドメインにまつわる情報を『aWebAnalysis』さんで取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスは”137.220.142.150”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地は
東京都庁付近。
こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。
利用されているホスティングサービスは、シンガポールを拠点『RackIP Consultancy Pte. Ltd.』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の
詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。
そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。
案の定あっさり開いてしまったのは、こちらの『JAネットバンク』と書かれた地域を選択するページ。
『ろうきん』と同じように全国に広がる組織が独立して運営しています。
因みに、関東⇒東京⇒JA東京あおば と選択してみるとこのようなページが開きました。
面倒なのでいちいち確認はしませんが、もちろんどこの地域を選択しても同じようなページが開くものと思われます。
ここでログインIDやその他の口座情報を入力させ、その情報を盗み取るのが手口なんですね。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |