おかしな漢字 いつもご覧いただきありがとうございます! 最近国の行政機関を名乗る不届きな詐欺メールが多く見られるようになってきました。 今日も厚生労働省と称する輩から国民健康保険料が未納だとの催告が届きました。 それがこのメールです。 私、曲がりなりにも会社員ですから国民健康保険料は会社がきちんと納めているはず。 もし本当にこのようなことがあるのであれば会社の失態なのですぐに報告する必要があります。 でのこのメール、その割にメールアドレスも怪しいし、何より宛名に使われている文字列が 私の氏名ではなく私のメールアドレスの@以前のアカウント名が使われています。 それに読み進めていくと上記のようにおかしな漢字が使われていたりとか不審な点ばかりです。 では、このメール本当にか厚生労働省からの物なのかを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『【厚生労働省】重要なお知らせ、必ずお読みください』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 受信者が気を引くような件名を使っていますが騙されてはいけませんよ! 差出人は 『【厚生労働省】 <ss-*****@members.netflix.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 国の行政機関は利用できるドメインが決められています。 因みに厚生労働省に利用を許されているドメインは”mhlw.go.jp”でこれ以外のドメインは いかなる場合でも利用することはできません。 それにもかかわらずこの差出人は”netflix.com”なんてドメインメールを利用しているので 一目瞭然で厚生労働省からではないことが分かりますよね! メールアドレスは偽装 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 あれれ?ここにはまた別の”myenel.net”なんてドメインまで記載されています。 いったいどれが本当なのでしょう? 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”netflix.com”が差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。 これがドメイン”netflix.com”の登録情報です。 これによると”52.38.7.83”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”46.17.42.157”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”netflix.com”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”52.38.7.83”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、アメリカオレゴン州にある ポートランドと言う街付近。 そして送信に利用されたプロバイダーはAmazonが運営するクラウドサービスとされています。 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 厚生労働省が香港でサイトを開くって?! では引き続き本文。 ※本文をそのままコピペしているので文字化け等はご容赦ください。 先に書いた通り宛名の『*****催告書』にある『*****』部分には私のメールアカウントが記載されています。 それに支払期限は明日と猶予はありません。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『支払いリンク』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”myzyjy.net” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは埼玉の輩が登録申請していますね。 割当てているIPアドレスは”154.82.67.86” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、香港の九龍地区付近。 利用されているホスティングサービスは、シンガポールに拠点を置く『Tcloudnet』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 すると開いたのはメールと同じような文言が書かれたアラート。 あれ?でもメールでは納付期限が5月17だったのに1日繰り上がって5月16日に変更されています。(;^_^A 確認と書かれたところを押してみます。 するとまた同じ文言の書かれたページが開きました。 ちょつとしつこいですね!(# ゚Д゚) いくつか表示されている納付方法で選択できるのはなぜだか電子マネーのVプリカのみ。 まあ、それが一番足が付きにくいですからね。 深追いしてもろくなことが無いのでこの辺りで追跡調査はやめておきます。 まとめ このようなメールが届くとドキッっとしますが、冷静になってよく見ると詐欺メールであるヒントが いくつか隠されているものです。 でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |