最近の詐欺メールのトレンド いつもご覧いただきありがとうございます! 皆さんは、詐欺メールにも流行り廃りがあるのをご存じでしょうか? 時にはAmazonの詐欺メールが多かったり、三井住友系の詐欺メールが多かったりと。 どうやら今現在は仮想通貨関連の詐欺メールがトレンドのようで、今日もこのようなメールが 複数届いております。 今回は、オンラインで暗号資産を保管するホットウォレットの『MetaMask(メタマスク)』を騙った 詐欺メールをご紹介していこうと思います。 本文を読んてみましたが仮想通貨には全く興味が無い私には全然頭に入ってきません。(;^_^A でも実際に仮想通貨で資産運用されている方も多くいらっしゃると思うので、そういった方々での 被害者が一人でも少なくなることを願って、このメールを検証していこうと思います。 ではまずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 【重要なお知らせ】MetaMask(メタマスク) ご利用確認のお願い』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『MetaMask <web-reply@metamask.io>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 『MetaMask』のオフィシャルサイトでURLを確認すれば簡単に分かりますが”metamask.io”は 『MetaMask』の公式ドメイン。 しかしながら件名の見出しの[spam]が示す通りこのメールには悪意があり、このメールアドレスは 偽装されています。 その辺りは、次の項にてしっかりと確認していくことにしましょう! 台北が発信地 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”metamask.io”が差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。 これがドメイン”metamask.io”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”185.199.108.153”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”219.85.183.13”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”metamask.io”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”219.85.183.13”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、台湾の台北付近。 そして送信に利用されたプロバイダーは『Sony Network Taiwan Limited』とあるので『So-net 台湾』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 リンクまで偽装 では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、MetaMaskの公式ドメインを使ったURLで直書きされていますが、当然これはウソ。 クリックしてみるとThunderbirdからこのようなメッセージが! 実際のリンク先は”metamask.io”ではなく”metamaskc.org”だと警告しています。 その実際のリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは、先程も見ていただいた通り”metamaskc.org” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは、匿名でドメイン取得代行を行っているとして問題視されている企業の 『PrivacyGuardian.org』に取得を依頼しています。 割当てているIPアドレスは”27.124.32.152” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、香港の『Sheung Wan(上環)』付近。 利用されているホスティングサービスは、シンガポールに拠点を置く『Rackip Consultancy Pte. LTD』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 すると開いたのはこのようなページ。 本物のMetaMaskの公式サイトを見てきましたが、そっくりです! まあ英語なのでこの先の調査はやめておきます。(笑) おまけ うちのサイトで『おまけ』と言えばコレ。 これはHTML形式で届けられた先程のメールをTEXT表示に切り替えたもの。 私はいつも先メールと判断されたものをこのように表示切替を行って確認しています。 HTMLでは見られなかった数字やアルファベットが日本語の文章の間に無秩序に並べられています。 これは『ワードサラダ』と呼ばれる手法で、各受信サーバーに迷惑メールを検知するために設置された セキュリティーのスパムフィルターを混乱させることが目的です。 うちのサイトでも特集を組んでいますので、ご興味があればご覧ください。
『詐欺メールに付き物』「ワードサラダ」とは? ワードサラダは悪意のある証拠ワードサラダは、フィッシング詐欺メールでよく使われる手法です。上のメールを見てください。これはメールの本文をHTML形式からTEXT形式に表示を切り替えたもの。イエローでマーキング文字列は、HTML形式の際には見... まとめ 仮想通貨関連の詐欺メールは、しばらく続くものと思われますがそのうち下火になるでしょう。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |