連絡先はが携帯電話?!
件名と送信者だけじゃどこの誰から送られてきたのか分かりにくいメールが届きました。
『親愛なる顧客様,』なんて翻訳したような挨拶から始まるこのメール。
どうやらTポイントを運営する『Tサイト』から送られてきたようです。
これによると14829ものポイントが[12-26]に期限切れになるとか。
それにしても大きな企業からのメールにしてはなんとも不親切な日付の書き方ですね。(^^;)
ふと、こんなおかしなメールの送信者ってどんなメールアドレスなんだろうかと確認すると
”n-izuhara@uber.com”…あれ?このドメインあの『Uber Eats』を運営する『Uber』のものじゃ…
どうして『Uber』がTポイントのこのようなメールを送信しているのでしょうか?
はい、もうお分かりですよね?
そう、このメールは悪意のあるフィッシング詐欺メールなのです!
このメール、末尾に連絡先として書いてあるのは090から始まる携帯電話の番号です。
個人からのメールじゃあるまいし、携帯電話の番号ってのはいかにもおかしいですよね。
この番号に付いて『電話帳ナビ』さんで調べてみると、このような結果が出ました。
これによるとこの番号は、詐欺メールによく使われているもののようです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は『[spam] ポイントの有効期限が迫っています – 今すぐ利用をご検討ください!』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
それにしてもこんなにポイントが貯まっていたら有効期限なんて忘れるはずがありませんよね!(笑)
差出人は
『"T-SITE" <n-izuhara@uber.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
そのIPアドレスはサイバーアタックの攻撃元!
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail.dci-logistics.com.cn (unknown [89.104.66.203])』 |
あらら、今度は”mail.dci-logistics.com.cn”なんて中国のドメインが記載されているではありませんか。
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
もう間違いないとは思いますが、一応メールアドレスにあったドメイン”uber.com”が差出人本人の
ものなのかどうかを調べてみます。
これがドメイン”uber.com”を割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”34.98.127.226”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”89.104.66.203”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”uber.com”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”89.104.66.203”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
このIPアドレスを元に割り出した危険度は『脅威レベル:高』
その詳細は『サイバーアタックの攻撃元』表示とされています。
地図に立てられたピンの位置は、ロシアのモスクワ付近。
そして送信に利用されたのは、『"Domain names registrar REG.RU", Ltd』と言うロシアに拠点を置く
プロバイダーです。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
ポイント+現金でクレカ情報を盗み取る
では引き続き本文。
ポイント期限のご案内
親愛なる顧客様,
ご利用いただきありがとうございます。T-pointプログラムの一環として、ご通知申し上げます。貴重なポイントが間もなく期限切れとなります。
現在、[14829pt] ポイントが [12-26] に期限切れになります。ポイントをお早めにご利用いただき、特典を最大限に享受してください。
ポイントを使用する
ポイントを利用して、お気に入りの商品やサービスをお得にご利用いただけます。この機会をお見逃しなく。
ご不明な点がございましたら、以下の連絡先までお気軽にお問い合わせください。
T-point カスタマーサービス
電話: 090-9028-4212 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『ポイントを使用する』って書かれたところに付けられていて
そのリンク先はGoogleの『透明性レポート』のサイトステータスはこのようにレポートされていました。
既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。
このURLで使われているドメインは”jhtx178.com”とこれまたTポイントには全くかすりもしないドメイン。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
中国広東省の方が取得されているこのドメインを割当てているIPアドレスは”89.22.168.5”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
先程とは異なるものの、地図に立てられたピンの位置はまたしてもモスクワ付近。
そして利用されているホスティングサービスもロシア最大の携帯電話業者の『Mts Pjsc』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
すると何の説明もないこのような商品選択画面が開きました。
よく見ると、必要ポイントの他にプラス現金の金額が書かれていますよね。
これがミソなのです!
この金額をポイント消費に併せてクレジットカードで決済させると見せ掛け、そのクレジットカードの
情報を盗み取るのが目的です。
確かメールには”14829”ポイントが失効すると書いてありましたよね?
ここに上げられた商品の消費ポイントは、どれもこの金額を足せば交換できるポイント数になっています。
まとめ
よくもまあこう色々と悪知恵がはたらくものですね。
このようなひらめきを他に利用すれば良いのにと思うのは私だけではないはずです!
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |