NHKが中国の国別ドメインで?! NHKを名乗る者からNHKプラスのアカウントを確認するようにメールが届きました。 賢明なお方ならすぐにお分かりになると思いますが、このメールはもちろん悪意をもあった詐欺メールです。 それが証拠に、差出人のメールアドレスがNHKのものではなく、”.cn”なんて中国の国別ドメインが 用いられていますし、本文はおかしな日本語表現が使われています。 特に『システムは正常に料金を引くことができません』ってくだりは、何かの料金を値引きもしてくれる のかと勘違いしてしまいそうです。(笑) それに、末尾の署名欄は『日本放送協会』とあるのみで連絡先など全く書かれておらず、更には 『このメールの返信によるお問い合わせは受け付けておりません』と失礼極まりないものとなっています。 これじゃ甚だしいビジネスメールマナー違反と言わざるおえません。 ま、詐欺メールの本文にケチをつけてても仕方ないので先に進めましょうか。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 「NHKプラス」□アカウント停止のお知らせ□(自動配信メール)』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”日本放送協会(NHKプラス)” <nhk-update@i7fdp98a.cn>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 もしこのメールが本当にNHKからのものだとすれば@以降のドメイン部分に必ず”nhk.jp”や “nhk.or.jp“と”nhk”の文字が入るはずです。 ダウンタウンに設置されたメールサーバーより では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、”Received”にあったドメイン”mail3.i7fdp98a.cn”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”mail3.i7fdp98a.cn”の登録情報です。 もし主の方は、漢字2文字の氏名の方で使われている漢字からすると恐らくは中国の方。 これによると”192.210.185.140”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 もちろん差出人はNHK関係者ではないものの”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので このメールアドレスは差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 送信に利用されたのは、アメリカに拠点を置く『ColoCrossing』と言うプロバイダーです。 位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを ご承知いただいた上でご覧ください。 代表地点としてピンが立てられたのは、『ニューヨーク州 バッファロー ダウンタウン』付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サイトはChromeにブロックされ閲覧不可 では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『NHKプラスログイン』って書かれたところに付けられていて 接続しようとするとこのようにChromeにブロックされ先に進むことができません。 詐欺サイトを見るのは諦めて、このURLで使われているドメインに付いて調査してみたいと思います。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”nhk-noreply.qiljcas.top” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 アメリカアラバマ州の方が管理しているこのドメインを割当てているIPアドレスは”5.180.41.56” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 利用されているホスティングサービスは、アメリカの『Enzu Inc』 こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 今度ピンが立てられたのもアメリカの『ダラス』付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 まとめ NHKがニューヨークのダウンタウンに設置されたメールサーバーから、中国の国別ドメインを 使ったメールアドレスでユーザーに連絡を行い、ダラスに設置されたウェブサーバーでサイトを 運営するって、普通に考えたらどれ一つとっても腑に落ちるものはありませんよね! と言う訳でこのメールは詐欺メールだと断定できました。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |