見に覚えのない請求書『さくらインターネット』から、身に覚えのない請求書がメールで届きました。  事務所も、私個人的にもさくらインターネットさんとは何も契約を結んでいませんから 請求されることは何もありませんが、どうしてこのようなメールが届いたのでしょうか? これと同じメールが、日をまたいで翌日には別の個人用のメールアドレスにも届いておりますので このメールはどうやら悪意を持った詐欺メールのようです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 11月度 クレジットカード決済のお知らせ [請求書No.30302996]』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”さくらインターネット” <support@sakura.ad.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 確かに”sakura.ad.jp”はさくらインターネットさんのものですが、どう見ても怪しいので偽装が疑われます。 その辺り次の項で解明していくことにしましょう!
偽装を暴く!では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 Received:『from sakura.ad.jp (unknown [163.43.208.132])』 |
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”sakura.ad.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。  これがドメイン”sakura.ad.jp”の登録情報です。 これによると”163.43.179.80”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIPと同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”sakura.ad.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”163.43.208.132”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。  このIPアドレスを元に割り出した危険度は『脅威レベル:高』 その詳細は『サイバーアタックの攻撃元』表示とされています。 送信に利用されたのは、何と『SAKURA Internet Inc.』です。 まあ、IPアドレスの前から2セグメントが”sakura.ad.jp”と同じだったので、おおよそ想像はしていましたが。 代表地点としてピンが立てられたのは、さくらインターネットの本社がある『大阪市北区』付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リンクはロサンゼルスのサーバーででは引き続き本文。 ******************************************************************** ・11月度 クレジットカード決済予定についてお知らせします。 ・クレジットカード決済は、2023年11月22日に自動で行われます。 ・カード変更または解約される場合は、11月26日までに お手続きが必要です。 ********************************************************************平素はさくらインターネットをご利用いただき誠にありがとうございます。 ご契約サービスの継続利用料金について、以下のとおり請求させていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ クレジットカード決済日 ■ ─────────────────────────────────── クレジットカード決済日 2023年11月22日 ※クレジットカード決済は自動で行われます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ご請求内容 ■ ─────────────────────────────────── 請求書番号 :30302996 請求合計額 :15714 円(消費税含) 対象サービス:以下の請求明細よりご確認ください ▼請求明細 h**ps://secure-sakura.wakvps.ky7tg4g.com/ ※決済対象のクレジットカードは下記よりご確認ください。 ▼クレジットカード情報 h**ps://secure-sakura.wakvps.ky7tg4g.com/ ※クレジットカード決済完了までは、お支払い状況に関わらず、 会員メニュー内の支払状況欄は「決済予定」となります。 ※会員メニューログインパスワードが不明な場合は下記の手順にてお手続きください。 |
(直リンク防止のためURLの一部文字を変更してあります) このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、本文内に直書きされています。 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価がこちらです。  既にしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”secure-sakura.wakvps.ky7tg4g.com”と さくらインターネットには全く関連性の無いものです。 このドメインにまつわる情報を取得してみます。  しっかり管理者の氏名まで書いてあります。 中国遼寧省瀋陽市の方が管理されているこのドメインを割当てているIPアドレスは”192.161.176.35” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。  利用されているホスティングサービスは、アメリカの『QuadraNet Enterprises LLC』 こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 今度ピンが立てられたのは『ロサンゼルス』付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で接続してみると。 ウイルスバスターに強固にブロックされてChromeじゃ先に進むことができません。  別のブラウザに変え何とかブロックを乗り越えてみるとこのようなページが開きました。  本物そっくりのログインページが開きました。 ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで 詐取されることでしょう。
まとめさくらインターネットユーザーってそんなにたくさんいるとは思えませんが、このようなメールたくさん 送られているのでしょうか? 効率としてはあまり良くないと思われますが…. 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |