『詐欺メール』新『楽天銀行のメール設定に異常が発生しています』と、来た件

★フィッシング詐欺解体新書★

中国の国別ドメイン

先月、これと同じ件名のメールを複数受信しブログエントリーしましたが、本文が異なるので
改めて『新』を見出しに付加してご紹介しようと思います。
以前のブログエントリーをご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。

『詐欺メール』『楽天銀行のメール設定に異常が発生しています』と、来た件

で、今回届いたそのメールはこちらです。

件名で『楽天銀行』を名乗っているにも関わらず、メールアドレスが中国の国別ドメインって
あり得るの？…
そんなこと絶対あり得ませんよね！
それにリンク先のURLにも中国のドメイン。
もう呆れてものが言えなくなってしまいますね。

では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう！
まずはプロパティーから見ていきましょう。

件名は『[spam] 楽天銀行のメール設定に異常が発生しています』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
本文と件名の内容がかなり乖離していますね。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。

差出人は
『RakutenBank <Rakuten1@gadmmby.cn>』
皆さんはご存じでしょうか？
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。

先にも書きましたが、このメールアドレスは楽天銀行のメールアドレスではありません。
『楽天銀行の公式サイト』のURLを見れば簡単に分かることですが、こちらの公式ドメインは
“rakuten-bank.co.jp“です。
怪しいメールが届いたときは、必ず差出人のメールアドレスのドメインを確認するように
癖をつけることはとても大切ですよ！

最近多い『サンクトペテルブルク』発信

では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか！
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。

”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字”95.215.108.46”は、そのサーバーのIPアドレスになります。
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。

送信に利用されたのは、ロシアにある『Global Internet Solutions LLC』と言うプロバイダーです。

位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。

代表地点としてピンが立てられたのは、ロシアの『サンクトペテルブルク』付近。
詐欺メールの発信地として最近急に良く見掛けるようになったロシア第二の都市です。

『いついつも♪』

では引き続き本文。

(直リンク防止のためURLの一部の文字を変更してあります)

『いついつも♪』なんて歌詞みたいな謳い文句で始まるこのテンプレートは、あちらこちらの金融機関を
騙る詐欺メールにも使われていますね。

このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていて、そのリンク先のURLとトレンドマイクロの
『サイトセーフティーセンター』での危険度評価がこちらです。

既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。

このURLで使われているドメインは”remoteworkrobot.com”

このドメインにまつわる情報を取得してみます。

管理されているのは中国山東省の方。

そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”38.54.89.6”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。

利用されているホスティングサービスは『Kaopu Cloud HK Limited』

こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
今度ピンが立てられたのは、シンガポールの山中。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。

危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。

本物のようにも見えますが、それとは全く異なるログインページが開きました。
本物のログインページはこちら。

全然違いますよね。
でも行き慣れないと、URLのドメインを確認しないとコロっと騙されてしまいそうです。

ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。
そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで
詐取されることでしょう。

まとめ

個人情報を確認しろだとか本人確認が必要だとかでリンクからサイトへ誘導するメールは
詐欺メールの可能性大！
必ず差出人のメールアドレスのドメインや、リンクのURLのドメインが本当に差出人名のものかどうか
確かめるようにしてください。
そう知れば間違いなく被害は防ぐことができます！

恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。

いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;