「あくん番号」ってなに?
Appleサポートチームからこのようなアカウントに関するメールが届きました。
「親愛な」から始まるこのメール、この後ろに何故だかメールアドレスが書かれています。(笑)
読んでみると、Apple IDがセキュリティ上の理由からロックされたとのこと。
アカウントをアンロックするためにリンクをクリックして認証プロセスを完了するように促しています。
ところで件名にある「あんく番号」って何でしょう?
皆さんはお聞きになったことあります??
調べてみたのですが、古代エジプトの言葉としか出てこなくて明確な答えは出てきませんでした。
ご存じの方いらっしゃれば教えてください。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[Аррlе ID] あなたのアカウントを確認。【あくん番号: 94273247】」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
なぜか「Аррlе ID」の”Аррlе”だけ全角アルファベットになっているのでしょうか?
これ、詐欺メールの「あるある」で詐欺メールや迷惑メールでは時々見られますね。
差出人は
「"Аррlеチーム" <suport-service@unsubscribe-4965.carandbikemag.com>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
どこのIT企業さんでも自社の顔となるドメインをちゃんとお持ちです。
もちろん「Apple」さんにもあって、”apple.com”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
Appleが自社外のサーバーを使うはずがない
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド」がこちらです。
Message-ID:「1674271985-eb9ddd6327e8c65cd9ffcb6dd2b251af-f261dd8ad7074b350674f585de98cb12-whrm@」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from carandbikemag.com (carandbikemag.com [147.182.232.147])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”carandbikemag.com”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”carandbikemag.com”について調べてみます。
”143.244.147.199”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”147.182.232.147”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”147.182.232.147”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、ニューヨークマンハッタン付近です。
左の欄にアメリカのクラウド サービス プロバイダー「DigitalOcean, LLC」と書かれています。
世界で有数のIT企業であるAppleが自社以外のプロバイダーのサーバーを使うでしょうか?(笑)
ドメイン「Reseller」(再販業者)は「Yahoo!JAPAN」
では引き続き本文。
保護のため、 Apple IDは自動的に無効になります。
親愛な ****@*****.*** ,,
あなたのApple IDは、セキュリティ上の理由によりロックされましたことをお知らせします。
これは、不正なアクティビティが検出された場合や、パスワードが不正に使用された場合などのセキュリティ上の問題がある場合に発生する可能性があります。
アカウントをアンロックするには、以下のリンクをクリックして認証プロセスを完了してください。
本人確認
もしこのアクションを自分では実行していない、またはアカウントが不正に使用されたと思われる場合は、すぐにサポートチームに連絡してください。 ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ご理解いただきありがとうございます。 |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「本人確認」って書かれた青色のボタンに張られていて、リンク先の
URLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”app-slgn-appleld.verify-log.com”
何度も言いますが、Appleさんの正規ドメインは”apple.com”ですからお間違いなく!
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者住所は、どうやら東京。
そして「Reseller」(再販業者)は「Yahoo!JAPAN」とされています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”143.110.185.184”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
ピンが立てられのは、インドの バンガロール付近…
Appleがインドにね…(;^_^A
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると、どこからも
ブロックされることなく無防備に放置されているであろう危険なサイトへ安全な方法で
調査目的で訪れてみました。
開いたのは、本物のApple IDへのログインページにそっくりなサイトです。
何も知らずにこのようなそっくりさんサイトへ誘導されたらついつい騙されてしまいそうです。
まとめ
「親愛な」から始まるメールにロクなメールはありません。
見る人が見れば一目でわかる詐欺メールでしたが、免疫の無い方がこのような偽サイトに
連れ込まれてしまうと一瞬で暗闇に突き落とされてしまうかもしれません。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |