「メンバーシップ・リワード」とは? 週末日曜、1日PCを開けなかったら、私のメールボックスがおぞましい数のスパムで 埋め尽くされていました。(-_-;)  皆さんの所にもこんなに届いているのでしょうか? それとも私だけ?(-_-;) それにしてもどれだけAmazonに頼るのでしょうね…(笑) もちろんAmazonばかりでなくて他にも色んな詐欺メールが有るのですが、そんな中から 今回私が選んだのがこちらのメール。  このようなメールは初めて見たのですが、「American Express」のバナーがあるので アメリカンエキスプレス(以降アメックス)から送られてきたようです。 「メンバーシップ・リワード」のアイテム交換が申し込まれたと書いてありますが、何の事だか 私にはさっぱり分かりません… 因みに私、アメックスのカードは残念ながら持ち合わせておりませんけどね。。。(笑) 調べてみると、「メンバーシップ・リワード」とは、簡単に言えばカード利用の際にためられた ポイントを商品(アイテム)に交換することを言うようです。 ということはこのメールに依れば、私はこの方法で970,000ポイントを使い「くろす監修和の3段」と言う アイテムにポイント交換をしたことになります。 この「くろす監修和の3段」っての、気になったのでこれが何なのか調べてみると どうやら料亭「神楽坂くろす」が監修する三段の「おせち」のようです。 時節柄、詐欺師もおつなことしますね。(笑)  ま、予断はそれくらいにしておいて、では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] メンバーシップ・リワード® のアイテム交換のお申し込みを承りました。」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「American Express <qnzutk@campaign-vps.com>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 “campaign-vps.com“なんてアメックスさんにかすりもしないドメインが使われていますよね。 「アメックス」さんには、”americanexpress.com”って正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。 それにこの”qnzutk@campaign-vps.com“なんてメールアドレスもキナ臭い匂いが プンプンしますよ! その辺りも含め次項でしっかり調査してみましょうか! やっぱり偽装アドレス では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「qnzutk@campaign-vps.com」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「8671BDC1CCD86C7A6BEF1B64B394F21B@campaign-vps.com」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from campaign-vps.com (unknown [103.138.83.211])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | この差出人は、あくまで自分のドメインは”campaign-vps.com”と言い張るようですね。 ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか! 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”campaign-vps.com”を割当てているIPアドレスを 調べてみます。  (IPアドレスが割出し易いよう頭に”www.”を付加しています) ”202.61.137.94”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”103.138.83.211”ですから全く異なります。 ほらね、結局この”qnzutk@campaign-vps.com“なんてメールアドレスもアドレス偽装でした。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”103.138.83.211”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、隣国のソウル付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 中部地方に実在する企業名が!? では引き続き本文。 メンバーシップ・リワードのアイテム交換をお申し込みいただいたカード会員 様 へ 平素はアメリカン・エキスプレスのカードをご利用いただき、誠にありがとうございます。 メンバーシップ・リワードのアイテム交換のお申し込みを承りました。 あなた様のお申し込み内容は以下の通りです。 アイテム名 くろす監修和の3段 数量 1 交換ポイント数 970,000 参照番号 45960806 ポイント交換履歴のご確認はこちら (「オンライン・サービス」へのご登録およびログインが必要です。) | このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「こちら」って書かれたところに張られていて、リンク先のURLと トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での評価がこちらです。  このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”amexp.re-model.co.jp” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請者には、なんと中部地方に実在する企業名が記載されていました。 当然、このような詐欺に実名をさらされることはあり得ないと思うので、想像するに、この企業さんの サーバーが乗っ取られた上で詐欺サイトに書き換えられたものではないかと思われます。 このドメインを割当てているIPアドレスは”45.205.1.40” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 開いたのは「アメックス」のパクリサイト。  この右上のボタンからログインページを開いてみると、このように「アメックス」会員専用サイトへの ログインページが開きました。  もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! まとめ アメックスを騙る詐欺メールは多くが「ご請求金額確定のご案内」って件名のものが大半を 締めていますが、今回のようにポイント交換をネタにするものは初めてでした。 今後このような手法のものも増えてくるのかも知れませんね。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |