一般人には意味不明 「株式会社カゴヤ」を名乗る差出人からこのような不審なメールが届きました。 私、このメールがどこに成りすましているか分かっているので本文の意味が分かりますが、 一般の方にはさっぱり分からないでしょうね… まず「株式会社カゴヤ」って会社名は間違っています。 これは、京都の本社を持つ大手レンタルサーバー「カゴヤ・ジャパン」さんの事。 で、本文内に書かれている「カゴヤアクティブメール」は、レンタルサーバー内にあるメールサーバーの コントロールパネルの事。 ここまで書けば分かると思いますが、このメールは、本日メールサーバーのメンテナンスを行うので メールサーバーが停止する旨の通知で、日程をリンクで確認するように促しています。 でもまず、サーバーメンテナンスが本日ってのはあり得ません。 通常は1か月程度前にクライアントユーザー側に通知する必要があります。 もし百歩譲って本日だとしても、わざわざリンクにせずメールに日程を書けば済むはずです。 これは、リンクにすることでログインを称したページに誘い込んでサーバー管理用のユーザー名と パスワードを盗み取ることが目的だからです。 そして、コピーライトの社名。 こんなところの社名を間違えるでしょうか? あり得ませんよね!(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] メールアカウントに関する重要なお知らせ」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 これもおかしいですよね? 本文はメンテナンスの日程通知なのに件名には「メールアカウントに関する重要なお知らせ」 なんて全然違うことが書かれています。 でも、こういったことも詐欺メールではよくあることですね。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”KAGOYA” <mari@i4putt.com>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 「カゴヤ・ジャパン」さんには、”kagoya.net”・”kagoya.com”・”kagoya.jp”などの社名の入った 正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで ユーザーさんにメールを送るなんてレンタルサーバー企業の信用問題に関わる大きな問題です。 メールアドレスは偽装 では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”i4putt.com”について調べてみます。 ”67.180.134.39”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”20.110.236.16”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”20.110.236.16”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその危険性と割り当て地を確認してみます。 これによるとこのIPアドレスは相当危険なようで、脅威レベルは「高」でその詳細は Webによるサイバーアタックの攻撃元とされています。。 割り当て地は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた 上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、アメリカバージニア州ボイドトン(Boydton)付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サーバーはアトランタにあり では引き続き本文。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「ここで検証」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。 おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”lida-nrcd.org” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 申請は、カンボジアのプノンペン所在の方から申請されています。 そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”184.154.221.146” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 ピンが立てられのは、アメリカジョージア州アトランタ付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 恐らくこのサーバーも乗っ取ったものでしょうね。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 すると真っ赤な画面でChromeがブロックしてきました。 Googleでは既に危険なサイトとして登録済みのようです。 更に先に進んでみます。 すると開いたのは、「Active!mail」ろ書かれたログインページです。 でも、実際は「Active!mail」にカモフラージュしたただのWebページ。 奴らは、ここにユーザーIDとパスワードを入力させその情報を詐取しサーバーを乗っ取り その乗っ取ったサーバーを用いて更に詐欺メールを送信したり詐欺サイトを構築し サーバーを詐欺の温床とさせます。 まとめ このメールは、私の私用メールアドレスに届いたもので、特にサーバー管理者を標的に したものではなく、ばらまいたメールがたまたまサーバー管理者に当たればラッキーなつもりで 送っているものと思われます。 ですから、管理者でない方には何の事かさっぱり分からないメールでしょうね。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |