「ibjuh@amazon.co.jp」ってダレ? ここ数日、Amazonに成りすまし第三者不正利用を疑う詐欺メールの配信が多く見られます。 このように「ログイン日時」と「IPアドレス」を記載し、あたかも本当に不正アクセスが あったように装う手の込んだメールとなっています。 但し、「お客様がご利用しているお支払い方法を変更したいと考えています。」などと 少し日本語に難ありなのですが…(;^_^A  それにしても「お客様のAmazonアカウント:ibjuh@amazon.co.jp」とありますが、 これ、ダレのメールアドレスなのでしょうね?(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【Amazon.com 重要なお知らせ】 1669039560」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 末尾の連番は、このメールの識別番号のようにも思われますが、これはランダム関数が導き出した 適当な数字です。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”Amazon.co.jp” <order-card@amazon.co.jp>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”amazon.co.jp”は確かに「アマゾン」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 メアドは当然偽装されています では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「ibjuh@amazon.co.jp」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「202211212207063516438@amazon.co.jp」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from amazon.co.jp (unknown [42.6.177.176])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | この差出人は、あくまで自分のドメインは”amazon.co.jp”と言い張るようですね。 ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか! メールアドレスの@より後半はドメインと呼ばれる部分で、ネットワーク上の機器に割り当てられる インターネット上の住所であるIPアドレスを分かりやすくするために文字を割り振ったもの。 このドメインを調べることで、その持ち主の割出しや割当てているIPアドレスを調べることで、 その利用地なども調べることが可能です。 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”amazon.co.jp”について調べてみます。  当然ちゃんと「アマゾン」さんの持ち物です。 そして”52.119.161.5”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”42.6.177.176”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”42.6.177.176”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその危険性と割り当て地を確認してみます。  これによると、このIPアドレスの脅威レベルは「高」で、詳細はメールによるサイバーアタックと されていますから、その危険度は相当高そうです。 位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 ピンが立てられたのは、中国遼寧省瀋陽市(しんようし)付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 愉快犯の仕業? では引き続き本文。 お客様のAmazonアカウント:ibjuh@amazon.co.jp 弊社のモニタリングによると、異常ログインを発見し、お客様がご利用しているお支払い方法を変更したいと考えています。 ログイン日時: 2022/11/21 IPアドレス:80.220.7.127 お客様の個人情報を保護するため、以下の措置を行います –アカウントを一時的に無効します。 –不正アクセスによると他の変更は無効になります お客様のアカウントを再度に有効することができるため、下のリンクをクリックして、指示された手順に従ってください。 確認用アカウント Amazon.co.jpのまたのご利用をお待ちしております。 | この手のメールっていつも「お客様のAmazonアカウント」にアマゾンのドメインを使った メールアドレスが記載れているのですが、意味がよく分かりませんね。。。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「確認用アカウント」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  因みにこのURLに接続してもこのようにエラーページが表示されます。  これは、端からアマゾンの偽サイトへ接続させるつもりはなく、リダイレクト(自動転送)で ”localhost”に転送されるように仕組んだものです。 恐らくは、どさくさまぎれの愉快犯の仕業だと私は思います。 まとめ 詐欺メールの多い昨今、このようなメールも多くなる傾向にあります。 でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも本当に騙そうとするフィッシング詐欺メールが 大量に発信され、たくさんのフィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |