日付間違っていますよ!
1週間に何通かサーバー乗っ取りを目的とした詐欺メールが迷い込みます。
大抵はメールに関わるものが多く、保留のメッセージが残されているから時間内に処理を促すもの。
今日もこのようなシステム管理者宛とされる怪しいメールが届いております。
宛てられたメールアドレスの持ち主は、システム管理者ではなく遠く昔に退社した女性スタッフ。
まあ流出したメールアドレスのリストをどこかで仕入れ、そのアドレス宛に機械的に送って
いるのでしょう。
フッターのある著作権表示には「Kagoya JAPAN Mail Service © 2022 | All rights reserved.」と
有るので、差出人は、大手レンタルサーバーの「カゴヤ・ジャパン」さんに成りすましているようです。
句読点が有ったり無かったり、少々片言の日本語を操るこのメールも、いつものように解体し
詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「あなたのアカウントは保留中です. – 27, October 2022」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
ご丁寧に日付まで付けてきていますが、残念ながら今日は10月28日です。(笑)
もしかして、時差がある所からのメールだったりして…
差出人は
「"***** ID#37552″ <jimiv@jimivphoto.com>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「*****」部分には、受信したメールアドレスのドメイン部分が書かれています。
差出人のメールアドレスはおそらく偽装で嘘だと思います。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
やっぱり偽装
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「jimiv@jimivphoto.com」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「2016129f-cb7a-3d79-c332-d3d4815ce4ae@jimivphoto.com」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from vps.server.com ([185.243.112.59])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”jimivphoto.com”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”jimivphoto.com”について調べてみます。
”199.181.197.11”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”185.243.112.59”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”185.243.112.59”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスにドメインが割当てられていないか、逆引きしてみます。
どうやらこのIPアドレスには”srv5.poloneixs.site”なんてドメインが割当てられているようです。
このドメイン、「重要なセキュリティ通知」なんて詐欺メールを受け取った時の調査でも
メールアドレス偽装解明の時に出てきましたね。
『詐欺メール』「重要なセキュリティ通知」と、来た件
では次に、”Received”のIPアドレス”185.243.112.59”を元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、オランダフレボランド州ドロンテン付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトはチリの首都サンティアゴ付近にあり
では引き続き本文。
システム管理者
ユーザー : *****@*****.***
君の
*****@*****.***
メールボックスにはいくつかの着信メッセージが保存されています。
迷惑メールですので、確認して必要に応じて公開してください。
メッセージが承認されない場合、すべてのメールは完全に削除されます
これは無料のサービスです
表示 / 共有
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メールで「君の」なんて使わないですよね?(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「表示 / 共有」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、”escueladelalma.cl”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスは”119.8.155.130”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、チリの首都サンティアゴ付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
「ActiveMail」と書かれていますね。
これは、メールサーバーのコントロールパネルへのログインページです。
ユーザーIDとパスワードを記入するフォームが表示されていますが、ここを入力し「ログイン」ボタンを
押すと、詐欺師にその情報が詐取されてサーバーが乗っ取られてしまいます。
まとめ
サーバーが乗っ取られてりまうと、メールアドレスやウェブの改ざんはおろか乗っ取ったサーバーから
フィッシング詐欺メールを送ったり、詐欺サイトを運営したりされてしまいます。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |