何が人道主義だ!
ウクライナでは、日々悲惨な戦火の中、被害を受けた方も多くインフラの被害や物資の不足など
市民への影響も多く出ています。
そんな中、人の善意に付け込んだ悪質極まりないフィッシング詐欺メールが届きました。
片言の日本語を操り、仮想通貨での募金を呼び掛けています。
半年ほど前にもこのようなメールを受け取りブログエントリーしたことがありますが、善意を何だと
思っているのでしょうか!
『詐欺メール』「ウクライナ人道危機救援金の募集」と、来た件
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] ウクライナ人道主義寄付」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
「人道主義」なんてこと書いていますが。このメールは「人道主義」に反しています!
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「imo99@deluxe.ocn.ne.jp」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”ocn.ne.jp”とOCNのドメインメールですが、こんな奴らがまともなメールアドレスなんて
使うはずが無いのでおそらく偽装です。
では、その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
何故そこまで嘘を付くのか?
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「ac@rtvinkgm.com」
ありゃりゃ、早速”ocn.ne.jp”じゃなくなっちゃいましたね。
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「B2CF39BC6EDC063122FC2F8CDECC5093@rtvinkgm.com」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from rtvinkgm.com (unknown [121.230.90.205])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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”Return-Path“や”Message-ID”から判断すると、結局”imo99@deluxe.ocn.ne.jp”なんて
メールアドレスは真っ赤なウソ。
それにどうやら”Return-Path“に記載の”ac@rtvinkgm.com”なんてメールアドレスも
ウソっぽいです。!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、”Return-Path“にあったドメイン”rtvinkgm.com”について調べてみます。
うん~、「対応するIPアドレスがありません」なんて書かれていますね。
それに「No match for “RTVINKGM.COM".」とも…
もしかしてと思って「お名前.com」さんで空き状況を調べるとこのような結果が。
このドメインは、現在誰にも使われていないようで空きドメインとなっています。
空きドメインは、ネット上で利用することができませんから”Return-Path“にあったメールアドレスも
ウソと言うことになります。
これでアドレス偽装は確定。
そこまで嘘を付くということは、もはやまともなメールだとは思えませんよね!
メールの発信元サーバーの在りかは?
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”121.230.90.205”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、中国江蘇省にある景勝地「大縦湖」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
まとめ
募金は仮想通貨で支払うようにされていますが、仮想通貨だと足が付ないからでしょう。
善意に付け込む卑劣なメールは絶対に許してはいけません!
このような悪質なメールは、国や行政として何らかの対処はできないものなのでしょうか?
国をまたいでしまっているので無理もあるとは思いますが…
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |