難しいカタカナで焦らせる 「楽天市場」を名乗っておかしなメールが届きました。 「プライム会費のお支払い方法に問題があります」って… Amazonなら聞いたことあるけど、楽天に「プライム」ってありましたっけ? メールの使い回しにも程がありますよ! それにしてもいつも難しいカタカナ使ってきますよね。 「バインディング」なんて言葉だれが使うでしょ?(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【楽天市場】プライム会費のお支払い方法に問題があります、支払方法を更新する. 1665886707」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 末尾の数字は乱数関数で導き出された適当な数字です。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”【楽天市場】” <id-user-profile-update@mkrm.rakuten.co.jp>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 上手く化けたつもりしょうか?… ”rakuten.co.jp”は確かに「楽天グループ」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 なんとフィールドに空きドメインを記載 では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する もう偽装は間違いありませんが、一応メールアドレスにあったドメイン”rakuten.co.jp”に ついて調べてみます。 当然ちゃんと「楽天グループ株式会社」さんの持ち物です。 そして”133.237.16.234”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”175.150.109.123”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! では今度は、フィールド御三家に書かれていたドメイン”yafncpuo.co”について調べます。 「対応するIPアドレスがありません」と書かれていますね。 もしかして空きドメイン? って事で「お名前.com」さんのお力をお借りしてこのドメインが取得可能なものかどうか 確認してみると… やっぱりこのドメインは空きドメインでしたね。 と言うわけで、フィールド御三家も偽装されていました。 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”175.150.109.123”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、「中国 遼寧省 瀋陽市」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 隠れ文字が浮き出した! では引き続き本文。 これは、メール本文をそのままコピペしたものです。 冒頭の宛名が「楽天市場 お 客様」ってのも不思議な宛名ですが、楽天ならユーザの氏名を 知っているはずなので、ここはその氏名が書かれるはずです。 それに「楽天市場 お 客様」の後ろに原文では見られなかった「R」の文字が浮き出てきました。 これは何の意味があるのでしょう? そして末尾の意味不明な文字… もしかしてWeb場だと文字化けしているかも知れませんから画像でも貼り付けておきます。 恐らくこれはワードサラダ。 さて、何と書いてあるのでしょうか?(笑) (ワードサラダについてはこちらで詳しく解説していますのでそちらをご覧ください) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「楽天市場 ログイン」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。 IPアドレスがむき出しで、更にプロトコルが”https”ではなく”http”なんて、危険な臭いしかしません! このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。 このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このむき出しのIPアドレスは”3.38.246.171”の割り当て地を確認してみます。 おっと! このIPアドレスはこちらでも危険なものとしてブラックリストに登録されて、脅威レベルは「高」 とされておりその詳細はWebによるサイバーアタックと書かれています。 使われているのはAmazonが提供するサーバーのようです。 ピンが立てられのは、隣国の「ソウル広場」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 おやおや、Googleでも既に危険なサイトとして既に登録済みなんですね。 危険を承知で先に進んでみました。 表示されたのは「Rakten Card」と書かれたログインページ。 もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! もし誤ってログインしてしまった場合は、「ヘルプ・お問い合わせ」から至急連絡をしてください。 まとめ 「Amazonプライム」の詐欺メールで使った件名とメール本文をそのまま「楽天市場」に付け替えて 流用したメールでしたが、あまりにもいい加減ですよね。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |