本物と異なるドメインメール
早いもので8月も今日を入れて残り2日。
と言うことは夏シーズンもこれで終わりですね。
今年は、不順と言うのかカラットした夏空になることは少なく、花壇への水やりも
かなり少なく済んだ夏となりましたが、皆さんがお住まいの所はいかがでしたでしょうか?
さて、そんな話はさて置き、今回の詐欺メールはこちらのメールです。
株式会社丸井グループの子会社で、クレジットカード会社である「エポスカード」になりすましたもの。
本文の内容は、例によって第三者不正利用の疑いがあるのでリンクから利用確認を促すものです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 「エポスNet」お支払いが停止されました。」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「エポスカード <info@01epos.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”01epos.jp”なんてそれらしいドメインを使ったメールアドレスを記載してきていますが、
「エポスカード」さんには、”eposcard.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
それ以前にこのメールアドレスだって差出人のものかどうか眉唾ものです。
その辺りも含め、次の項で詳しく見ていきましょう!
”info@01epos.jp”もウソ
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「info@01epos.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20220829132651405680@01epos.jp」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from 01epos.jp (unknown [152.32.234.181])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”01epos.jp”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”01epos.jp”を割当てているIPアドレスについて調べてみます。
これによると”61.204.227.145”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”152.32.234.181”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”152.32.234.181”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、アメリカロサンゼルスの「カリフォルニア州交通局」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
本物そっくりな詐欺サイト
では引き続き本文。
「エポスNet」利用いただき、ありがとうございます。
このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引があり
ましたので、誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、。ご
連絡させていただきました。
つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致
します。
お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。
何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。
ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございま
すので、予めご了承下さい。
h**ps://www-eposcard-co-jp.baockm.com?ni.d5sp
(直リンク防止のため一部文字を変更してあります)
ご不便とご心配をおかけしまして誠に申し訳ございませんが、
何とぞご理解易りたくお願い申しあげます。 |
句読点が連続するこのおかしな本文は、きっと海外の方が書かれたのでしょう。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www-eposcard-co-jp.baockm.com”
これまた「エポスカード」さんらしからぬドメインですよね。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者の登録住所は、CN(中国)fu jian(福建省)となっていますが、それ以外はプライバシー保護で
マスクされています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.61.44”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、カナダのトロントにある「トロント市庁舎」付近。
この地も詐欺サイト調査ではおなじみの場所です。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
早速、Chromeが接続をブロックしてきました。
構わず先に進んでみます。
すると開いたのは、「EPOS Net」と書かれた、「エポスカード」会員専用サイト「エポスNet」への
ログインページです。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!
まとめ
詐欺サイトは、本物の「エポスNet」のサイトを丸ごとダウンロードし作成されているので、本物と全く
見分けが付きませんね。
詐欺メールや詐欺サイトを見分ける一番の近道は、リンク先のURLにあるドメインです。
本家サイトのドメインと見比べれば一目でわかりますのでご参考になさってください。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |